最初の一歩
帰る頃には、
三人とも両手が塞がっていた。
縄。
鍋。
工具。
木箱。
廃村で見つけた物ばかりだ。
エルドが肩を回す。
「重い……」
「持つって言ったの自分でしょ」
リナが呆れる。
「いや、
思ったより多かった」
半地下へ戻ると、
三人は荷物を床へ下ろした。
静かな空間だった。
だが。
前とは違う。
木箱がある。
鍋がある。
道具がある。
少しだけ、
生活の匂いが増えていた。
エルドが笑う。
「なんか、
拠点っぽくなったな」
リナも頷く。
「昨日まで何もなかったしね」
レイは工具を見ていた。
避難所。
隠れ家。
そう思っていた。
だが。
今は少し違う。
長く使うことを考え始めている。
その時。
リナが木箱へ腰掛ける。
「次は?」
「次?」
「やること」
短い沈黙。
エルドが先に答えた。
「食料」
「ああ」
レイも頷く。
今はそれが最優先だった。
水はある。
寝る場所もある。
だが。
食べ物だけは増えない。
リナが腕を組む。
「畑かな」
「まだ早い」
レイは即答した。
「収穫まで時間かかる」
エルドがため息を吐く。
「じゃあ狩り?」
「それも考える」
少しずつ。
本当に少しずつだった。
だが。
三人は逃亡者ではなくなり始めていた。
生き延びるために。
ここで暮らすために。
何をするかを考え始めていた。
それが。
この拠点の最初の一歩だった。




