廃村
半地下を出てから、
一時間ほど。
三人は古い廃道を歩いていた。
エルドが前を見ながら呟く。
「本当にあるのか?」
「たぶんな」
レイは短く答える。
避難路。
避難拠点。
ならば。
途中の補給地点もあるはずだった。
リナが周囲を見る。
草が深い。
木々も伸び放題。
人の気配は全くない。
その時だった。
「……あれ」
リナが指を差す。
森の先。
石造りの建物が見えた。
三人は足を止める。
近づいてみると、
それは小さな村だった。
家が十軒ほど。
井戸。
倉庫。
畑跡。
完全に放棄されている。
だが。
「思ったより残ってるな」
エルドが驚く。
屋根が落ちた家もある。
それでも。
倉庫の形は残っていた。
三人は中を調べ始める。
食料はない。
当然だった。
だが。
使えそうな物はある。
縄。
鍋。
工具。
木箱。
リナが少し笑う。
「当たりじゃない?」
「かなりな」
エルドも頷く。
拠点に持ち帰れば役立つ。
その時。
レイが古い井戸を見る。
ゆっくり覗き込む。
そして。
「水あるな」
二人が顔を上げる。
かなり綺麗だった。
地下水が生きている。
リナが驚いた顔をする。
「ここ、
普通に住めそう」
その言葉で。
三人とも少し黙った。
確かにそうだった。
半地下より広い。
井戸もある。
畑も作れる。
エルドが小さく呟く。
「……そのうち、
人増えたらありかもな」
レイは村を見る。
壊れた家。
空っぽの広場。
誰もいない。
だけど。
少しだけ。
未来の形が見えた気がした。




