術式認証
淡い光が、
半地下全体へ広がっていく。
壁の術式。
床の刻印。
天井近くの古い紋様。
全部が、
ゆっくり繋がり始めていた。
エルドが思わず立ち上がる。
「な、
何これ……」
リナも周囲を見回す。
「勝手に動いた?」
レイは壁へ触れる。
その瞬間。
術式が強く反応した。
光が一気に広がる。
エルドが目を見開く。
「うおっ!?」
レイは小さく息を吐いた。
「……解読士に反応してる」
「は?」
「術式認証だ」
普通の人間じゃ起動しない。
だが。
レイが触れたことで、
半地下の機能が動き始めた。
灯り。
簡易結界。
水路維持。
避難用術式。
長く眠っていた場所が、
少しずつ息を吹き返していく。
リナが周囲を見る。
「じゃあここ……」
「本来は、
解読士用の避難拠点だった可能性がある」
短い沈黙。
エルドがその場へ座り込む。
「……もうここでいい」
「雑だな」
「でも寝れる!
水ある!
隠れられる!」
リナも苦笑する。
「まぁ……
今までよりはかなりマシ」
レイは半地下を見回す。
狭い。
古い。
でも。
外から見つかりにくい。
水路もある。
最低限、
生き延びるには十分だった。
その時。
壁の一部へ、
古い紋章が浮かび上がる。
解読士用避難区域。
その文字だけが、
淡く光っていた。
レイは静かに呟く。
「……しばらく、
ここを使うか」




