追手
森の奥で、
何かが倒れる音が響いた。
三人は動きを止める。
風が止む。
鳥の鳴き声もない。
妙な静けさだった。
エルドが小声で呟く。
「……避難民、
じゃないよな」
「分からない」
レイは短く答える。
だが。
嫌な感じがした。
侵食体の気配ではない。
もっと、
人の動きに近い。
リナが小さく息を吐く。
「どうする?」
レイは煙の方向を見る。
まだ細く上がっている。
つまり。
誰かが火を使っている。
「近づくだけ近づく」
「危なかったら?」
「隠れる」
エルドが苦笑する。
「最近そればっかだな……」
三人は足音を殺し、
森の奥へ進み始めた。
廃道から少し外れると、
木々の隙間から煙が見えた。
かなり近い。
レイは静かに身を低くする。
二人も合わせて隠れた。
その先には。
簡易テント。
焚き火。
そして。
教会本部の紋章だった。
エルドの顔が強張る。
「……本部騎士」
数は五人ほど。
街道封鎖用の小部隊らしい。
「もう外まで出てるのかよ……」
リナが小さく呟く。
しかも。
会話が聞こえてくる。
「逃亡した解読士は、
西側廃道へ向かった可能性あり」
「副団長ガルドは拘束済み」
空気が止まる。
エルドが拳を握った。
リナも黙る。
レイだけが、
静かに焚き火を見ていた。
ガルドは生きている。
だが。
もう完全に、
敵側の扱いだった。
その時。
本部騎士の一人が立ち上がる。
「周辺確認してくる」
三人の空気が変わる。
距離が近い。
見つかれば終わる。
足音が、
こちらへ近づき始めた。




