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追放された《解読》士、魔王が世界を守っていると気づく  作者: 北こたろう


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33/53

副団長 ガルド

第一鐘楼の戦いから、

半日が過ぎていた。


 街は静かだった。


 いや。


 静かすぎた。


 避難民たちは、

まだ怯えた顔をしている。


 騎士たちも同じだった。


 侵食体。


 空の亀裂。


 そして。


 空に現れた巨大な目。


 あれを見た者たちは、

誰も普段通りに戻れていない。


 レイは宿の窓から、

街を見下ろしていた。


「……妙だな」


 鐘楼の術式は止めた。


 侵食も一時的に収まっている。


 だが。


 嫌な静けさだけが残っていた。


「入るぞ」


 扉が開く。


 副団長だった。


 鎧は外している。


 だが表情は硬い。


 レイは視線を向ける。


「報告は終わったのか」


「ああ」


 副団長は短く答える。


 そして。


 少しだけ黙った。


「……上は揉めてる」


「だろうな」


 侵食。


 結界。


 空の亀裂。


 しかも。


 侵食を止めた。


 教会側からすれば、

全部が異常事態だった。


 副団長は壁へ寄りかかる。


「お前の扱いで、

 かなり割れてる」


「消したい派と、

 利用したい派か?」


「近い」


 レイは小さく息を吐く。


 予想通りだった。


「で、

 副団長はどっちだ」


 数秒の沈黙。


 やがて。


「……ガルドでいい」


 レイが少しだけ目を向ける。


 副団長――ガルドは、

窓の外を見たままだった。


「騎士団では副団長で構わん」


 ぶっきらぼうだった。


 だが。


 それが逆に、

この男らしかった。


 レイは小さく口元を緩める。


「急だな」


「うるさい」


 短いやり取りだった。


 だが。


 最初の頃の警戒は、

もうかなり薄れていた。


 その時だった。


 扉が勢いよく開く。


「レイ!!」


 エルドだった。


 息を切らしている。


「どうした」


「街の外だ!」


 空気が変わる。


 エルドは少し迷ったあと、

低く言った。


「避難民が集まり始めてる」


「……避難民?」


「侵食が広がった村とか、

 壊れた街から」


 レイの目が細くなる。


 エルドは続けた。


「しかも、

 みんな同じこと言ってる」


「何だ」


 エルドはゆっくり息を吐いた。


「“黒い空を見た”って」

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