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追放された《解読》士、魔王が世界を守っていると気づく  作者: 北こたろう


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崩れる術式

副団長の剣が、

術式陣へ振り下ろされる。


 狙うのは破壊じゃない。


 術式流の綻び。


 レイが見抜いた、

唯一のズレ。


 長剣が触れた瞬間。


 黒い術式陣が、

大きく脈打った。


「っ——!?」


 空気が震える。


 侵食流が乱れた。


 鐘楼へ集まっていた結界流が、

急激に逆流し始める。


「止まった……?」


 騎士の一人が呆然と呟く。


 だが。


「まだだ!」


 レイが叫ぶ。


 術式陣は崩れていない。


 流れが暴走している。


 ラドスの顔が歪んだ。


「なぜだ……!

 なぜ解析できる!!」


 黒い侵食が、

ラドスの腕へ広がっていく。


 侵食に呑まれながらも、

無理やり術式を維持していた。


「結界は必要ない!

 あれは檻だ!」


 鐘楼が揺れる。


 空の亀裂が、

さらに広がった。


 レイは術式を見る。


 流れが乱れている。


 だが。


 完全には止まっていない。


「……核が残ってるな」


 副団長が振り向く。


「どこだ!」


「鐘楼内部!」


 レイは即座に走り出した。


 エルドも続く。


 鐘楼の入口は、

既に侵食で黒く染まっていた。


「うわ……」


 内部の空気が異様だった。


 壁一面へ、

黒い侵食術式が刻まれている。


 まるで。


 鐘楼そのものが、

巨大な結晶になっているみたいだった。


「ここ全部、

 術式化されてるのか……?」


 エルドの声が震える。


 レイは階段を駆け上がる。


 《解読》が、

侵食流を追い続けていた。


 上だ。


 核は鐘の近くにある。


 その瞬間。


 前方の壁が崩れた。


「っ!」


 黒い腕。


 侵食体だった。


 だが今までと違う。


 身体が細い。


 代わりに。


 異常な数の腕が、

背中から伸びている。


「また新型かよ……!」


 エルドが剣を抜く。


 侵食体が消える。


 だが。


「下がるな!」


 レイが叫ぶ。


「こいつは速くない!

 数で視界を潰してる!」


 次の瞬間。


 無数の黒い腕が、

通路全体を埋め尽くした。

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