2つの核
空間が爆ぜる。
轟音と共に、
石畳が吹き飛んだ。
「ぐぁっ!?」
騎士たちが弾き飛ばされる。
副団長も咄嗟に後退した。
だが。
もし正面から踏み込んでいたら、
身体ごと消し飛んでいた。
副団長の額へ汗が流れる。
「……今のは」
「核防御だ」
レイが低く言う。
「正面へ衝撃が入った瞬間、
外側の核が空間を弾いてる」
侵食体の胸部。
黒い亀裂が、
二重に脈打っていた。
普通の個体と違う。
核の周囲へ、
もう一層侵食膜が存在している。
「厄介だな」
レイは侵食体を見つめる。
情報量が多い。
空間歪曲も強い。
しかも。
「学習してる……?」
さっきから、
微妙に動きが変わっていた。
核を守るように。
歪み位置を調整している。
エルドが息を切らしながら叫ぶ。
「どうすればいい!?」
レイは侵食体を見る。
歪み。
核。
侵食流。
全部が複雑に絡んでいる。
だが。
「完全じゃない」
副団長が目を細める。
「何が見えてる」
「二重核は安定してない」
レイは地面を見る。
侵食体の足元。
石畳へ、
黒い亀裂が走り続けている。
「負荷が漏れてる」
「つまり?」
「維持しきれてない」
その瞬間。
侵食体が消える。
だが。
今までより遅い。
「副団長!
左!」
副団長が即座に動く。
侵食体の腕を受け流す。
同時に。
「エルド!
右脚!」
「っ!」
エルドが踏み込む。
剣が右脚へ入る。
侵食体が揺れる。
空間歪曲が乱れた。
「今だ!」
副団長が横から斬り込む。
だが核は狙わない。
肩口。
侵食流が集中している場所。
黒い侵食が崩れた。
「■■■■■■!!」
侵食体が絶叫する。
空間が再び歪む。
だが。
さっきより不安定だ。
「核同士が干渉してる」
レイの目が細くなる。
「二重構造のせいで、
逆に崩れやすくなってるのか」
侵食体が暴れる。
石壁が吹き飛ぶ。
だが。
もう動きは読め始めていた。
「次で崩れる!」
騎士たちの顔が変わる。
恐怖だけじゃない。
戦い方を理解し始めている。
レイは静かに息を吐く。
侵食体は強い。
だが。
解析できれば、
対処できる。
その感覚が、
少しずつ戦場へ広がっていた。
その時だった。
《解読》へ、
別の情報が流れ込む。
レイの表情が止まる。
「……違う」
副団長が振り向く。
「どうした」
レイは侵食体を見る。
二重核。
異常進化。
そして。
「これ、
自然発生じゃない」
空気が止まる。
「誰かが、
“作ってる”」




