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追放された《解読》士、魔王が世界を守っていると気づく  作者: 北こたろう


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22/28

崩れない隊列

エルドが反射的に剣を振る。


 侵食体の腕とぶつかり、

火花が散った。


「ぐっ……!」


 重い。


 腕が痺れる。


 だが。


 止められた。


「下がるな!」


 レイの声が飛ぶ。


「そいつは押し込むと崩れる!」


 エルドが歯を食いしばる。


 怖い。


 本能が逃げろと叫んでいる。


 だが。


 さっきとは違った。


 今は、

何が来るか分かる。


「右から二撃目!」


「っ!」


 エルドが身体を捻る。


 黒い腕が、

鼻先を掠めた。


 直後。


 副団長が踏み込む。


 長剣が侵食体を斬り裂いた。


「浅い!」


 レイが叫ぶ。


「核は胸の中心じゃない!

 少し右だ!」


 副団長の目が変わる。


 侵食体を見る。


 空間の揺れ。


 歪み。


 そして。


「……なるほど」


 副団長が剣筋を変える。


 次の一撃。


 黒い核へ亀裂が走った。


「■■■■■!!」


 侵食体が絶叫する。


 周囲の騎士たちが息を呑む。


「見えてる……?」


「いや、

 あの男が読んでるんだ」


 戦場の空気が変わり始めていた。


 恐怖だけじゃない。


 “戦える”という感覚が、

少しずつ広がっている。


「左側押されてます!」


 騎士の叫び。


 左の侵食体が、

隊列を崩し始めていた。


 転移距離が短い個体。


 だが。


 動きは直線的だ。


「囲むな!」


 レイが即座に叫ぶ。


「前を空けろ!

 逃がす方向を作れ!」


 騎士たちが戸惑う。


「逃がす!?」


「いいから開けろ!」


 半信半疑のまま、

前方が開く。


 その瞬間。


 侵食体が一直線に飛び込んだ。


「やっぱりか」


 レイの目が細くなる。


「単純な個体ほど、

 抜け道へ寄る」


 副団長が低く呟く。


「誘導したのか」


「ああ」


 そして。


「今だ!」


 左右から騎士が踏み込む。


 侵食体の逃げ道は、

既に読まれていた。


 剣が核を貫く。


 黒い身体が崩れ落ちた。


「倒した……!」


 騎士たちの顔へ、

初めて希望が混ざる。


 だが。


「まだ一体いる!」


 中央の侵食体が、

急激に膨張していた。


 空間歪曲が強くなる。


 石畳が浮き上がる。


 空気が裂ける。


 副団長の顔が変わった。


「まずい!」


 レイも理解していた。


 この個体。


 今までで一番深い。


 そして。


「……核が二重?」


 初めて見る構造だった。


 《解読》へ、

異常な量の情報が流れ込む。


 頭が軋む。


 だが。


 見えた。


「副団長!

 そいつは正面から斬るな!!」


 次の瞬間。


 侵食体の周囲で、

空間そのものが爆ぜた。

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