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木屋町ホンキートンク Ⅰ  作者: 鴨川 京介
第6章 木屋町はてんやわんや
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76 勢いが止まらない。ってか誰も止めないの?

 レティの説明を追いながら、立体ビジョンは京都市内から、より広域に拡大していき、紀伊半島を含めた近畿全域が映し出され、城壁の位置や他国の位置などその勢力図とともに次々と書き込まれていった。


「次に、京介様のご指示にあった定点観測用人工衛星の開発に成功しております。これについては愛から説明いたします。」


 「はい、マスター。現在人工衛星は直径約1m程のもので、広域の写真撮影、動画撮影、通信ネットワーク構築のための送受信機能などを併せ持ったものを開発済みです。打ち上げについては現在山科にて、静止衛星離発着のための基地を建設しており、離発着には闇魔法と光魔法、それに重力魔法を使った打ち上げシステムを開発し、順次設置予定です。衛星設置位置についてはフラードームの考え方を応用し、正20面体を頂点にしたものとそれらを3分割した位置に静止衛星を打ち上げ、この星に関する情報がリアルタイムで反映される情報システムを構築いたします。また、これに伴い日本より衛星通信設備、天気予報システムなど経済産業省経由で受け取っております。」


 おぉぉぉ。一気に進んだね。時代がさ。さっき昭和とか言ってごめんね。すでに平成どころか次の世代に入っちゃってたよ。日本でも独自にここまでの通信網確保できてないよね?

 こんなに進んで大丈夫なの?やばくない?


 「京介様が危惧されている過度な文明化による軋轢に関しては、これらの制御、技術構築、運用をこの京都限定で行い、他の地域に情報、制御を持ち出すことを禁止しております。具体的にはそれらの設備が京都の市内を離れますと自壊するよう魔道具に組み込んでおります。また、こちらの世界においての『時間』についての概念も曖昧でしたので、時報の放送並びに各家庭における置時計の設置、個人での腕時計使用の推奨を行っております。この時計の推奨に関してはヤマト王国内各都市にすべて行き渡らせております。」


 確かに時計とかは精度にそこまでこだわらなければ、いまどき100円均一でも手に入るからね。普及はあっという間にできるだろう。それにしてもすさまじいな。

 あれ?俺ってせっかく異世界に来たのに冒険したり、旅したり、キャッキャウフフしたりってこと、一回もないんですけど…。


 「マスターの『冒険』については、人工衛星を静止軌道に乗せた後、この星の把握を行い、各土地の勢力情勢の調査が終わり次第『冒険』に出ていただけるようになると思われます。それ以前にまず異界における日本の領土の統一をお願いいたしたいのですが、いかがでしょうか。」


 「え?日本統一?俺が?冗談でしょ。そういうのはタケルの仕事だろ?俺は現代日本で十分だよ。俺には木屋町が合ってる。」


 と、タケルに話を振った。


 「わ、私が日本統一ですか…。善処いたします。」


 「うん、頑張ってね。そのあと諸外国との交易も、戦争もあるだろうから。」


 「ゴーサインがいただけましたらすぐにでも、全国制覇に向けて進軍いたします。京介様、こちらにサインを。…ありがとうございます。これで眷属の皆さんをなだめる日々も終わります。あの人たちときたら近畿を隅から隅まで1か月ほどで調査し終えてからというもの『暇だ~。早く私たちに出撃命令を!』ってうるさかったんです。」


 うっぷ。そういうことか。


 「それならまず街道の敷設、その上で周辺調査を行って、各土地の領主に面会を申し込んで、外交の交渉を行うようにしてくれ。その時にヤマトへの従属を希望した場合は、領主に直接王城まで来てもらってタケルが面会し、優秀そうならそのまま登用して領主としておいて、ヤマトの庇護下に置こう。身辺調査も徹底してね。無能そうならレティ軍曹に預ければ1か月ほどで何とかなるだろう。だよな、レティ。」


 「お言葉ですが京介様。1か月も、となると廃人にしかねません。2週間を限度として訓練に参加させるということで承諾いたします。」


 おっと。俺が思ってたより過酷だったわ。


 「さて次に、学校の進捗ですが、現在人が住む集落全てに、学校の建築が終了しております。眷属の皆さんが集落に到着するたび、魔物除けの堀と塀。住居の整備と代官の居留施設、学校施設、公衆浴場、井戸の掘削などを終えてくれております。また、食料自給率が低い土地では、農作物の育成指導として数名の眷属が、現在も集落ごとに滞在して、指導を行っております。住居は代官居留施設を使っております。約一年間の教育を経て、それぞれの眷属は原隊復帰の予定です。また、これらの集落の代官の任命は国務大臣に一任しております。


 次に国防軍の件ですが、すでに従軍に参加していた400名を除き、500名の志願兵が集まり、日夜訓練を施しております。これらが50名ずつ、2個小隊規模で各所領に駐留する予定です。また、各所領からも志願兵が集まる傾向があるため、これらの訓練、育成も現地駐在軍が行う予定です。各小隊長及び駐留軍総隊長の任命は軍務大臣が行っており、随時駐在決定の場所から順に動向現地での任命式を行う予定であります。」


 うん、これで治安維持と魔物対策は大体できそうかな。あとは城壁の防備がいるな。


 「国境での城壁警備には、現在眷属の一部の部隊が行っております。これらを順次国軍に委譲していく予定ではありますが、現在のところ人手がなく、当分の間この状態は続くと思われます。」


 「眷属の方々は順次交代してあげてね。何もないところで不自由してるだろうから。」


 「いえ、それには及ばないと思われます。現在眷属の方々は街道ごとに作った関所を中心に、一大リゾート地とも呼べるような施設を展開し、休暇を楽しんでおられます。配属された小隊長は『ここは狩りもできて温泉にも入れて山の幸も多いし、海の幸も手に入る。楽園だ。転属?断固拒否する。』とおっしゃっていましたから、心配は無用と思われます。すでにそれらの拠点には地中5mの深さに埋設した魔導ケーブルによって転移装置も設置しております。通信、食料配給なども完備しております。」


 …そ、そりゃ帰ってこないよな。だってある意味あやかしにとって天国みたいな場所だもんな。

 …いいな、温泉…。


 俺はそれから10日間ほど執務室に缶詰となり、各大臣と面会して進捗状況の詳細報告を受けたり、街の様子を視察したりしていた。


街の様子を見て思ったよ。ここはある意味日本より未来になってる(・・・・・・・)と。


だって街角で遊んでる子供、ホバーボードに乗ってたんだぜ?


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