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木屋町ホンキートンク Ⅰ  作者: 鴨川 京介
第6章 木屋町はてんやわんや
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75 さあエサは撒いた

 会議が終わり、その参加者は各々帰宅の途についた。


 しかしその道中で、ほとんどの参加者はチンピラ風の男たちに囲まれ、拉致されようとしていた。

 そこに女の子が数人現れ、男たちはいきなり意識をなくし、崩れ折れていた。その状況に呆けていると。

 「お気をつけてお帰りくださいませ。」と一斉に頭を下げ、先ほど会議があったホテルのほうに歩いていった。


 切羽詰まった暴力団たちは、同盟の阻止を狙って、その参加者を襲った。が、一人として拉致に成功した者はおらず、襲撃した若い連中が返ってくることはなかった。組員の数が激減し、学生のチンピラまで動員したのに、そのことごとくが返ってこなかった。


 あくる日、組長の家には逮捕状を持った捜査官が、家宅捜索に踏み込んできた。

 罪状は「拉致監禁教唆」だ。


 襲われた現場のことごとくに警察が駆けつけ、その場で事情聴取を行い、襲撃者たちを拘束して逮捕していった。警察はどこから撮っていたのか、犯行の一部始終の模様を撮った映像も手に入れていた。


 この日を境に、木屋町のやくざは一掃された。


 しかし、居なくなればなったで、ほかの土地からやってくる。物陰でうごめく黒いあいつらとおんなじだ。

 害虫ホイホイよろしく、京介の持つビルに殴り込みをかけ、またいなくなっていく。


 さて、そろそろヤマトの方もだいぶ進んだだろう。進捗状況を確かめてみるか。

 俺は愛、輝乃を連れてヤマトの王城に転移した。



 …ん?あれ?ヤマトの王城ってこんなんだった?


 やたら近代的なオフィスビルって感じなんだけど…。

 お、レティが迎えに来てくれた。


 「ご苦労様です、京介様。」


 「お、おぉ。そっちこそご苦労様、レティ。ところでこのビルって…。」


 「新規に建て直した王城です。詳しいことは中でお話しいたします。」


 俺はオフィスビルの中に入っていった。オフィスビルといっても高層のものではない。しいて言うなら少し昔の役場といった感じか。3階建てで、とにかく横に広い。


 「魔道具の開発、各地からの情報収集、各種会議などが行いやすいように、機能的なオフィスビルにしました。王城としての機能は元のまま、あちらの方で執り行われています。」


 廊下の窓から見ると、そこには確かに元々の王城が残っていた。もっときれいに、立派になって…。

 これってひょっとして、王城の周りをぐるっと囲んでるのかな。

 …おぉ、ペンタゴンみたいになってるじゃない。


 俺は『王直轄補佐執務室』と書かれたドアを開けた。ここが俺の部屋らしい。


 「間もなく王と宰相がこちらに参ります。しばらくお待ちください。」


 レティはそういって、コーヒーを入れてくれた。


 うん、あっけにとられて何から聞けばいいのか。とりあえず王たちを待つこととするか。

 しばらくして、王と宰相がやってきた。


 う~ん。二人ともスーツ姿だ。

 いったい何があった?


 「それではこの2か月ほどの進捗報告をさせていただきます。」


 え?あれからもう2か月も経ってるの?あ、そっか。前回の会議から日本に戻って、日本の政府のえらいさんと手を組むことになって、木屋町を掃除してた。


 うん、確かに2か月ほどたってるな。

 …それにしても変わりすぎじゃない?


 なんだろ、この原始時代がいきなり、昭和の時代にタイムスリップしたような感覚は。


 「まず、日本での京都の町、ここヤマトでの王都での復興進捗を報告いたします。」


 目の前に立体ビジョンで現在の王都の姿が映し出された。そこにはもとのヤマト王国の面影はなく、きれいに区画整理され、道路も南北、そして東西に延びた姿が映し出されていた。


 「現在、すでに王都の区画整理及び道路の敷設は完了しております。次に王都の南側、日本でいうところの四条以南の土地は新たに農地として開発を行い、現在すでに作物を育てている状況です。」


 おぉ。すごい。たった2か月でここまでできるんだ。


 「これらの作業は、ほぼすべて眷属の皆さんの手によるものです。何でも日本での京都市の範疇だけでも早急に復旧せよという厳命が下っていた模様です。シオンの街、ドットの街も同様に既に活動を再開しております。特にドットの街は眷属の皆さん1万8千人が暮らすための、住居と設備が既に完成しており、稼働しております。また、京介様の懸案事項でありました下水道の処理の問題ですが、木属性のスライムが、糞尿及び生ごみなどを肥料に変える特質を持ち合わせたため、これらによるリサイクルシステムが稼働しております。」


 おぉ。やっぱりそんな特性があったんだ。こちらに来てやたら森林が濃くて、ひょっとしてと思ってたけどやっぱりか。いや、よかった。


 「次に、ヤマト王国の領土の復元についてですが、すでに1か月前には東西南北それぞれ、近畿圏の領域に達しており、城壁の構築を済ませております。また、その際、山城、摂津、河内、和泉、紀伊、淡路、丹後、丹波、但馬、近江の地は、それぞれヤマト王国に再編入することを了承し、現在すでにヤマト王国の庇護下に入っております。これらの人口が合わせまして10地域、3万人ほどとなっております。多少のばらつきはございますが、一つの地域で約3,000人ほどとなります。これら10地域と王都である京都を合わせてヤマト王国としての領土発布を、既に近隣所領に伝令を送っております。また、その際、相当数の領地からヤマト王国への加入希望が寄せられておりますが、京介様の指示通り、現時点では加入を保留しております。しかし、放置すると餓死者が続出する恐れもあったため、食料の販売は行っております。以上が周辺各国とヤマト王国の現在の状況です。」


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