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17/24

第17話 晩餐会で、私は料理人と名乗ります

秋の晩餐会は、予定どおり開かれることになりました。


公爵家が毎年、領地の冬支援のために催す、小さな集まりです。

今年も、寄せられた費用で峠の宿へ食糧と毛布を送ります。

公爵様は、最初の挨拶と食事だけに出席する予定でした。


ベラさんは、私にも料理の説明をする役をくださいました。

夜食担当が作った、温かな月麦の一品を出すのです。


「大勢の前で、怖くない?」


私は、少し、と答えました。

鍋つかみを持って立っていた、あの夜を思い出します。


「なら、私も前へ出る。厨房は、一人の名前だけでは動かないから」


その言葉を聞いて、私は献立の紙を持ち直しました。


同じ日に、菓子の販売停止と回収が、監査から正式に通知されました。

アルノー様が行っていた「私の監修による」という説明も、訂正の対象です。

グロウ商会の責任者は、原料と検査品について取り調べを受けています。


アルノー様は、伯爵である父上と一緒に、晩餐会へいらっしゃいました。

以前から招待されていたのです。

私たちが料理の準備をしている廊下で、二人に会いました。


「ソフィア。話を、大きくしすぎじゃないか」


彼は、声を落としました。


「俺の父まで、返金の話をされている」

「私の名前で売った品です。食べた方へ知らせる必要があります」

「君も、俺と一緒に売り出せばよかっただろう」


私は、彼の顔を見ました。

婚約を続けたかった頃にも、料理を売りたいと言ったことはありませんでした。

私はただ、食べた相手に好きだと言ってほしかったのです。


「私は、あなたの妻になるために作ったこともありました。でも、今は別の仕事をしております」


父上が、アルノー様の肩へ手を置きました。


「これ以上は、書面で話す。彼女の勤務を妨げるな」


彼は口を閉じました。

私の言葉より、父上の言葉で止まったことが、少し悲しくもありました。

でも、それを変える役目まで、今の私にはありません。


広間へ向かう扉の前で、父と会いました。

私の手紙へ返事をくれた後、約束どおり王都へ来て、この集まりにも招かれたのです。


父は、私の前掛けを見ました。


「その姿を見るのは、ずいぶん久しぶりだ」

「母の鍋は、今も使っています」


父は一度うなずいてから、言いました。


「今日は、おまえの話を聞きに来た。後で、料理のことを教えてほしい」


私は、できた椀を、最初に父へ渡しました。

それだけでは、父に任せきりにされた年月はなくなりません。

でも、私の説明を遮らずに聞く姿を見て、次の話はできそうだと思いました。


広間へ運んだ月麦は、小さな器に盛ってあります。

とろりとした魚と卵を添え、好みで冬の葉を加える料理です。


私はベラさんの隣へ立ちました。


「夜食担当の料理人、ソフィア・エルドです」


声は、思ったほど震えませんでした。


「今夜は、月麦の柔らかな香りを残して作りました。葉は、少し苦みがございます。お好きな方だけ、加えてください」


健康になるとも、眠れるとも言いませんでした。

味と、食べ方を伝えます。


一人の老婦人が、葉を半分だけ加えました。

若い男性は、そのまま一口。

公爵様は、卵の多い場所へ匙を入れました。


「おいしいわ。次は、葉をもう少し」


最初に聞こえたのは、老婦人の声でした。


私は、皿を差し出しました。

かつて恥ずかしいと言われた手を、ここで引っ込める理由はありませんでした。

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