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虐待され続けて辛かった  作者: Liu
フィクション・ポエム

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食事のマナーを守れ!

空腹で意識が朦朧としてきた。

いま、思い出したことを書いておく。


人にとっての最古の記憶とは、大抵の場合、陽だまりのような温かい母親の笑顔か、あるいは、公園の砂場の無機質な日常の風景であるという。


世の、多くの幸福な人たちは、自らの起源をそのような無害な優しい記憶の中に置くことができる。


しかし。


私の人生のすべての始まりの座標に刻み込まれているのは、それらとは対極にある。


血と、理不尽。


そして。


圧倒的な「悪の矛盾」が支配する、凍てつくような「狂気」の光景である。


神奈川県は横浜、綱島。


そこには、私の両親が所有する別荘があった。


別荘という響きからは、週末の優雅な休息や、家族の温かい団欒が想像されるかもしれない。


だが。


幼い私にとって、そこは、外界から完全に隔絶された、密室の屠殺場(しょけいじょう)に他ならなかった。分厚い壁に囲まれたその空間は、私の両親という絶対的な権力を持った二匹の怪物が、その残忍な本性を一切の隠し立てなく剥き出しにするための、専用の狩り場であった。


当時、園児だった私の日常は、ただひたすらに、いつ降り注ぐとも知れない暴力の嵐に怯え、息を潜めて生き延びることだけで構成されていた。


中でも最も凄惨な儀式が行われるのが、「食事」の時間であった。


食卓という、本来であれば生命を維持するための糧を分かち合い、和やかに言葉を交わすべきその場所は、両親にとっては、私を徹底的に蹂躙し、支配を確認するための絶好のステージであった。

食卓についた瞬間から、空気は重く、冷たくなる。

彼らの機嫌を損ねる理由は、どこにも存在しないし、また、どこにでも存在した。


私が息をする音が気に入らない、私の視線が気に入らない、あるいは、ただ彼ら自身の内側に溜まった得体の知れない苛立ちを発散させるためのサンドバッグが必要だった。ただそれだけの理由で、儀式は唐突に始まる。


言葉による非難などという生易しいものではない。


予測不可能なタイミングで飛んでくる拳が私の小さな体を床に叩きつける。


そうして、母、美賀子は私を捕まえて……父、一秀が、私の口に男性器を入れる。


「タキゲン製造の掟は、にい!はち!ろく!ご!お前は子供じゃない!お前は社員だ!いち!はち!きゅう!きゅう!……ぴーぴぴぴ!波動を受信しましたか?ぼくは次期社長だから、社員を強姦してもいいんだ!ほら、瀧源一秀(たきげんかずひで)さんって、言ってみ?アンダラポンキ!アンダラポンキ!アンダラポンキ!アンダラポンキ!……アンダラポンキ!アンダラポンキ!アンダラポンキ!アンダラポンキ!……おしっこ発射!」


視界が明滅し、肺が酸素を求めて痙攣する中、私はただ、この理不尽な嵐が過ぎ去るのを、無抵抗のまま耐え忍ぶしかなかった。


それが、綱島の別荘における、私の「日常」であった。


ある日の晩餐。

その日もまた、理不尽な暴力の予兆が食卓を支配していた。

空気が張り詰め、両親の目の奥に、あの特有のどす黒い愉悦の色が浮かび上がるのを見た瞬間、私の生存本能が限界を超えて警鐘を鳴らした。


「殴られる」


そう直感した私は、恐怖に突き動かされるまま、椅子から滑り降り、巨大なダイニングテーブルの下へと身を隠した。

暗く、埃の匂いがするテーブルの下。太い木の脚の間に身を丸め、膝を抱えて震えるその場所は、幼い私にとって、狂気の世界から身を隠すことができる唯一の、そしてあまりにも脆弱な聖域であった。

頭上からは、食器がぶつかる嫌な音と、怪物の足音が聞こえてくる。私は息を殺し、ただ彼らが私の存在を忘れてくれることだけを神に祈っていた。

だが、そんなささやかな逃亡が許されるはずもなかった。


「いましたか?」


氷のように冷酷な声とともに、テーブルの下の暗闇に巨大な手が伸びてきた。私の髪が乱暴に掴まれ、頭皮が剥がれるような激痛とともに、私は再びあの地獄の照明の下へと引き摺り出された。

抵抗する間もなく、私は床に投げ出され、数え切れないほどの蹴りと打撃を全身に浴びた。だが、彼らが私に与えた最も深い絶望は、その後に用意されていた。

ひとしきり暴力を振るい終え、荒い息を吐く両親は、床に這いつくばる私を見下ろして、信じられない言葉を口にしたのだ。


「逃げるのは、反則ですよ?お前が原因だから、ぱちんぽされたんだがび?でべき、食事中に机の下に潜り込みました?マナーは、ありますか?ゆ。みぴっ。しつけがなっていない?……ぱちんぽしますか?」


私は、自分の耳を疑った。

暴力によって子供を死の淵まで追い詰め、首を絞め上げておきながら、自らのその狂気を一切棚に上げ、私が逃げたというその「行動の表面」だけを捉えて「マナーが悪い」と断罪したのだ。

そして、彼らはその「マナー違反」に対する罰として、この世で最も残酷な食事を私に強要した。

私の目の前に置かれていた、純白の白米が盛られた茶碗。彼らは床にばら撒き、踏み潰し、そこへ、小便をかけて、そして、灰皿の吸い殻の残骸を次々と放り込み、ぐちゃぐちゃにかき混ぜた。


「食え!食べ物を粗末にするな!百姓をばかにするのか!ちちんとお水をあげて、必死に作ったお米だぞ!ちきんと食べろ!」


私は泣きながら、嘔吐感を必死に飲み込みながら、その汚染された白米を口に運ばざるを得なかった!


もし拒否すれば、さらなる暴力が待っていることは火を見るより明らかだったからだ!


泥のような味。


屈辱の味。


自らの尊厳が、胃袋の中からドロドロに溶かされていく感覚。


私は涙で視界を滲ませながら、ただ、機械のようにそれを嚥下し続けた。


その絶望のどん底、汚濁にまみれた白米を咀嚼しながら、私の内側に、ある決定的な変化が訪れた。

恐怖で麻痺していたはずの私の脳髄の奥底で、異常なほど冷徹で、透き通るような「観察者」としての自我が、静かに目を覚ましたのだ。

私は、涙で歪む視界の向こう側で、再び食事を再開した両親の姿を、まるで顕微鏡で微生物を観察するかのように、じっと見つめた。

「マナーが悪い」と私を袋叩きにし、罰を与えた彼らの、その高貴なる「食事の作法」とやらを、この目に焼き付けてやろうと思ったのだ。


そこに映っていた光景は、あまりにも滑稽で、あまりにもグロテスクであった。


母親も、父親も、彼らの左手はテーブルの上に添えられることなく、まるで神経が切断された振り子のように、だらりと不気味に椅子の下へと垂れ下がっていた。食事中であるにもかかわらず、片腕を死体のようにぶら下げたまま、彼らはただ前傾姿勢で皿に向かっている。


そして、彼らの右手。そこには、目を疑うような光景があった。


彼らは、箸を「正しく」持つことすらできなかった。


親指と人差し指で挟むのではなく、彼らは五本の指すべてを使って、まるで氷を砕くアイスピックを握りしめるように、上から逆手で箸を握り込んでいたのである。


左手を幽霊のように垂れ下げたまま、アイスピックのように握りしめた箸で、肉や魚を「突き刺し」、それを獣のように口へと運ぶ。


手首の返しも、箸先の繊細なコントロールも一切ない。ただ、食物という物体を暴力的に串刺しにし、自らの胃袋へと押し込むためだけの、野蛮で機能的なだけの動作。


それを見た瞬間、私の心の奥底から、恐怖とは全く異なる、強烈な冷笑が湧き上がってきた。


これが、マナーだと?


これが、しつけだと?


食事の際に机の下に逃げ込んだ私を「マナーが悪い」と断罪し、汚物を食わせた人間たちが、自らは左手を死体のようにぶら下げ、箸を凶器のアイスピックのように握りしめて肉を突き刺している。


文化も、教養も、美しさも、そこには一ミリグラムも存在しなかった。ただ、自らの暴力性を食卓という場でも無意識に発露させているだけの、知性の欠片もない獣の食事風景がそこにあった。


私はのちに、食べる時に左手を垂れ下げたまま、箸をアイスピックのように握って食う両親にマナーを言われたくないと思った……。


これは、単なる反発ではない。


私の中で、彼らという存在が「親」から「圧倒的に劣等で、論理的に破綻した蛆虫」へと明確に格下げされた瞬間であった。


彼らは絶対的な権力者などではない。ただ物理的な腕力だけを持ち、自らの行動の矛盾にすら気づかない、極めて滑稽で愚かな生き物なのだ。

私は、口の中の汚泥を飲み込みながら、そのアイスピックのように握られた箸の動きを、脳裏に深く深く刻み込んだ。


そして、時は流れて、現在。


トラウマに苦しむ私を、両親は、親戚は、弟は、ファンは、社会は……「甘え」と評した。


医者は薬を飲めばいいと言う。

違うだろ。なめるなよ。薬は根本解決にはならない。


カウンセラーは10000円もふんだくり、何も話を聞かない。

そんならドリンクとつまみが出るスナックやパブに行ったほうがはるかにマシだ。


私のこの苦しみは、話に耳を傾ける「理解者」が現れたら、ある程度は解決するはずだ。

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