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虐待され続けて辛かった  作者: Liu
フィクション・ポエム

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35/45

ペットをいたぶって殺す者!

私は、愛のない鬼畜と評される。

パッと見て、過激なチンピラだと思うのも無理はない。

だがね、それは誤解だよ。

この地獄では、全てが反転して見えるだけなんだ。


地獄。


多くの人間は地獄と聞けば、灼熱の業火に焼かれる肉体や、血の池に沈められる罪人、あるいは無慈悲な鬼たちによる終わりなき拷問といった、物理的で視覚的な苦痛を想像するだろう。

画や書物に描かれたそのような情景は、子供騙しの絵本に過ぎない。


真の地獄とは、決して、そのような騒がしく熱を帯びた場所ではない!


真の地獄とは……もっと、静かで、冷たく、一切の色彩と温度を剥奪された、精神の空洞である……


真の地獄とは……人間の心が、形を完全に失い、愛と憎しみ、生と死、救済と絶望といった、人間を人間たらしめているあらゆる概念の位相が、音もなく「反転」してしまう空間のことなのだ。


「諦め」ともいう。


私は今、その真の地獄、「諦め」の底に、一人で座り込んでいる。


私の周囲には、かつて私を構成していた豊かな感情の残骸が、灰のように降り積もっている。


私はもう、何も感じることができない。


いや、正確に言えば……かつて感じていたような真っ当な感情が完全に焼き切れ、すべてが、歪んだ形でしか認識できなくなってしまったのだ。


私は、この世界の全てが憎い!


嫌いだ!


許せない!


かつて私の内側に燃え盛っていた、あの、鮮烈で攻撃的な悔しさは、今やそのベクトルを完全に反転させ、私自身の魂を内側から貪り食う致死性の毒へと変異してしまった。


私はかつて、両親という名の存在を激しく憎悪していた。


彼らは私の人生における絶対的な悪であり、暴君であり、理解不能な不条理の象徴であった。

彼らに奪われた尊厳や、踏み躙られた心の痛みを燃料にして、私は「絶対に許さない」という強烈な怒りを抱き続けてきた。


【怒りや憎しみという闇の感情は、それがどれほど苦しいものであっても、実は「生きようとするエネルギー」の裏返しである。】


悪を憎むことができるのは、自分の中にまだ、正義や希望、あるいは「こうであってほしかった」という理想が残っているからだ。

相手を呪う力があるうちは、まだ、世界に抗う意志が残っているのだ。


だが!


私はもう、それに……飽きてしまった!


この世の底知れぬ悪意に、抗い続けることに飽きたのだ……


いや、もっと正直に言おうか?


「飽きた」というのは、自らの敗北を少しでも美化しようとする、私の惨めな自己欺瞞に過ぎない。


本当は、私は悪意に「屈服」してしまったのだ。


果てしなく打ち寄せる残酷の波に、私の心の防波堤はついに決壊し、根こそぎ、押し流されてしまった!


憎しみ続けるという行為すら、莫大なエネルギーを消費する。


私はそのエネルギーを完全に枯渇させ、ただ無力に、この世界の不条理の前に両膝を突き、ひれ伏してしまったのである!


その屈服の最も決定的な証拠が、私の内に芽生えた、ある、恐るべき感情の反転である!


私は今、かつて私の心を支え、私に無償の愛を与えてくれた存在たちの死に対して、「死んで良かった」と、心の底から思い始めているのだ!


私の記憶の最も柔らかい部分には、一匹の猫畜生(ねこちくしょう)と、祖父母の存在があった。

彼らは、あの狂気と暴力に満ちた家の中で、唯一の温かい避難所であり、私が人間としての正気を保つための最後の楔であった。

ネコは、その純粋無垢な瞳で私を見つめ、言葉を持たないがゆえに、決して私を裏切ることはなかった。

祖父母は、長年培ってきた慈悲の心で私を包み込み、無条件の肯定を与えてくれる存在だった。私は彼らを深く愛していたし、彼らもまた私を愛してくれていたと信じている。


しかし、彼らもまた、両親の手によって殺された!


世間の法律や警察が定義する「殺人」という枠組みには当てはまらないかもしれないさ!


刃物で刺されたわけでも、毒を盛られたわけでもないからね!


だから厳密に言えば、彼らは法的には殺害されていない。

だが、私の魂の次元において、あれは間違いなく最も残酷で、最も狡猾な殺害であったのだ!


ネコは、生きるために必要な塩分を少しずつ、しかし、確実に奪われていくことによって命を落とした。


そもそも、わたしの両親は、馬鹿の自覚がない。


性自認、天皇……


職業、神……


……だからこそ、完全なる馬鹿である。


馬鹿の定義とは、何か。


馬鹿とは、すぐ「考える」者のことだ。


物を知らない狂人(いかれたひと)が考えたところで、頭の中から放り出した結論は、陰謀論かカルトのどちらかにしかなり得ない。


考える材料という食材のない空っぽの調理場で、一体何を料理できるというのか?

どっかから買ってきた、身体に悪いインスタントな料理しか出せないだろう?

それこそが、身体に悪いのだよ。


馬鹿の自覚がある者は、考える前に一旦立ち止まって、目の前を視る。


状況を観察してから、考える材料を見つけに行く。


馬鹿の自覚がある者こそが、秀才なのだ。


で、だよ。


両親は、「天才」の自覚があるから、納豆が体にいいと聞けば、三食納豆を食べて体を壊した。塩分が体にいいと聞けば、三食岩塩を山盛りにして食べて体を壊した。ワクチンが体に悪いと噂を聞けば、近寄る全ての人を罵倒した。また、ワクチンに効果があると知るや、マシンガンのようにワクチンを身体に乱射した。


そんな両親は、ある結論に達した。


「ワ。いーこと考えた!全部の病気にならないためには、全部の病気の、病人の食事を日頃から食べればいい!全部のおくすりをいれたら、全部の病気に、ならない!」


……考えた、だと?


馬鹿の考えは休むに似たりなんだよ!


両親の、(きちがい)・ルールを適用されたネコは、あらゆる栄養を奪われ、虚弱となり、倒れた。石をさかんに舐めていたことから、ナトリウム不足であったと見ている。


愛情も、安らぎも、そして生命を維持するための不可欠な要素すらも、あの冷酷な空間の中で徐々に削ぎ落とされていった!


それはまるで、体内の塩分を極限まで抜き取られ、細胞の一つ一つが干からびていくような、緩やかで凄惨な死であった!


無垢なる命が、抵抗する術も持たないまま、周囲の悪意という目に見えない毒ガスに肺を満たされ、静かに息絶えていく様を、私は……ただ、無力に見つめることしかできなかったのだ!!!


私が殺したようなものだ!!!


祖父母もまた、肉体的な死を迎えるずっと前に、精神を完全に「殺害」されていた!


両親は、直接的に手を下す代わりに、もっと恐ろしい武器を用いた。


言葉である!


祖父母の耳前で、日夜問わず囁かれ続ける呪詛の会話。


「こいつを長生きさせるようなことはするな」


「遺産で旅行に行きたいな。ああ、早く死なないかな」


「ま、もうすぐこいつ、死ぬから、後ででいっか」


鬼畜!


悪意に満ちた刃のような言葉たちが、彼らの老いた耳から脳へと直接注ぎ込まれ続けたのだ!


それは、一滴ずつ滴り落ちる水がやがて硬い岩を穿つように、祖父母の慈愛に満ちた心を削り取り、生きる気力を奪い、彼らの魂を内側から腐らせていった!


彼らの目が光を失い、ただ怯えるだけの抜け殻へと変わっていく過程は、いかなる物理的な拷問よりも残酷な公開処刑であった!


私は、愛する祖父母が言葉という見えない刃によって切り刻まれ、精神の血を流しながら絶命していくのを、ただ指をくわえて見ていることしかできなかったのだ!


かつての私は、彼らを奪った両親を烈火の如く憎んだ!


彼らの死を思い出すたびに、悔し涙で枕を濡らし、なぜ彼らがこんな理不尽な目に遭わなければならなかったのかと、世界を呪った!


愛するものを不当に奪われた悲しみと、それを防げなかった自分への怒りが、私を狂わさんばかりに苛んでいた!


だが、今は違う……。


完全に狂ってしまった今の私は、彼らの死を思い出すたびに、ある種の恐ろしい安堵感を覚えるようになっている!


「ああ。彼らはもう、死んで、良かったんだな」……と。


これが、私の辿り着いた新たなる地獄の景色である!


愛する者の死を悼むのではなく、愛する者が死んだことに感謝しなければならないという、究極の、精神の破綻!


なぜなら!


もし彼らが今も生きていたとしたら、この世の果てしない悪意と残酷さに、さらに、さらに、傷つけられ続けなければならなかったからだ!


あのネコが、これ以上怯え、命をすり減らす姿を見なくて済む!


あの優しい祖父母が、これ以上耳元で呪いの言葉を囁かれ、魂を冒涜される姿を見なくて済む!


彼らは死という絶対的なシェルターに逃げ込むことで、ようやく、あの両親の悪意から、そしてこの狂った社会の残忍さから解放されたのだ!


生きているということは、それだけで無防備に悪意に晒され続けるということだ!


この世界は、優しい者から順に搾取し、踏みにじり、その肉を食らうようにシステム化されている。

社会の残忍さは、もはや個人の力でどうにかなるレベルを超え、空気を吸うのと同じように当たり前に蔓延している。

正義や倫理などというものは、強者が弱者を効率よく支配するための綺麗な包装紙に過ぎない。


私は、その圧倒的で巨大な悪意の前に、完全に心を潰された!


自分の無力さを骨の髄まで悟らされた!


私には、愛するもの一つ守る力がない!


それどころか、私が彼らを愛し、彼らのそばにいようとすればするほど、悪意は……私を通り越して彼らを標的にした!


私の存在そのものが、彼らに不幸を呼び込む触媒になっていたのだ!


だからこそ!


私は彼らが死んでしまったことに、取り返しのつかない「安堵」を抱いてしまう。

この残酷な世界から彼らが退場してくれたことで、彼らは「これ以上傷つく可能性」を永遠に免除されたのだ。

生きて苦しみ続けるくらいなら、死の無に帰した方が遥かに幸福である。このおぞましい逆説の真理に気づいてしまった時、私の心は最後に残っていた人間としての輪郭を失い、完全に崩壊した。


自分が、愛する存在の死を喜んでいる……!?


この事実がもたらす自己嫌悪と虚無感は、両親から受けたどんな暴力よりも深く私の魂をえぐる。


私は彼らを愛している。


愛しているからこそ、生きていてほしかった。


一緒に笑い、穏やかな時間を過ごしたかった。


だが!しかし!


その純粋な愛の願いは、この世界の悪意というフィルターを通すと、「生きてさらに地獄の苦しみを味わい続けちまえよ」という……「呪い」に変換されてしまうのだ!


愛するがゆえに、死を願わなければならない。


存在を消し去ることでしか、彼らを守ることができない。


殺しは、愛。


死は、愛。


救済。


……これほど悲惨で、これほど孤独な地獄が他にあるだろうか?


そして、私のこの歪みきった感情の矛先は、もはや過去の死者たちだけにとどまらず、現在この世界で生きているすべての「愛すべき存在」へと向けられるようになっている。


私は街を歩き、すれ違う見知らぬ人々を見る。


無邪気に笑う子供たち、手を繋いで歩く恋人たち、日向ぼっこをする老犬。彼らは皆、美しく、愛おしい命の輝きを放っている。かつての私であれば、その光景に目を細め、ささやかな幸福を感じていただろう。


だがよね!


今の私の目に映るのは、彼らの背後にピタリと張り付いている……巨大な悪意の影だけだ!


あの子供は、いつか、理不尽な暴力によってその無邪気さを奪われるだろうさ!


あの恋人たちは、裏切りと絶望によって互いを憎み合うようになるかもしれないね!


あの老犬は、冷酷な人間の手によって見捨てられるかもしれない!


ははははは!楽になっちまえ!はやく!


……彼らが美しく、愛すべき存在であればあるほど……この世界が彼らに牙を剥く瞬間を想像してしまい、私の胸は耐え難い恐怖と悲しみで押し潰されそうになるんだよ!


だから私は、涙をボロボロとこぼしながら、心の中で彼らに向かって叫ぶのだ!


……「死んじまえ」と。


早く死んでしまえ。


この世界の悪意に触れる前に。


誰かに心をズタズタにされる前に。


理不尽な力によって尊厳を奪われ、私のように心を反転させられてしまう前に。


美しいまま、純粋なまま、無の暗闇へと消えてしまえ。


私は、世界に対して「死んじまえ」と呪詛を吐き続ける。それは、他者を憎んでいるからではない。怒りに任せて破壊を望んでいるからでもない。


私は、この、美しい世界のすべてが愛おしいのだ!


純粋な命が、美しい心が、ただそこにあることを愛しているのだ!


だが!私の心は誰よりも深く傷つき、潰れてしまっている!


私は知ってしまった!


この世界において、命とは、残酷な悪夢をより際立たせるための、単なる舞台装置に過ぎないということを!


愛や優しさといった感情は、悪意という刃が最も深く突き刺さるための、柔らかい急所に過ぎないということを!


だから私は、愛すべき皆に、死ねと言わなければならない。


死ね!


死ねよ!


頼むから、こんな地獄にはもう居ないでくれ!


誰も傷ついて欲しくないんだ!


だから、死ね!


……彼らを守るための唯一の手段が、彼らの存在そのものをこの世界から消去することだと、私の狂った脳が確信してしまっている。


「死んじまえ!みんな、死んじまえ!この恐ろしい世界から、一刻も早く逃げ出してくれ!」


私は今日も、誰にも聞こえない声で世界を呪い続ける。


両頬を伝う涙は枯れることなく、私の顔を濡らし続けている。


この涙は、奪われたネコと祖父母のためのものでもあり、これから残酷な目に遭うであろうすべての命のためのものでもあり、そして何より……愛する者に「死ね」と呪わなければ生きていけない、惨めで哀れな私自身のための涙である。


かつて私を支配していた、熱く激しい憎しみは、今や完全に冷え切ってしまった。


憎しみという名の炎が燃え尽きた後に残ったのは、この世界全体に対する底なしの絶望と、祈りだけだ。


私はもう、怒ることすら、できない。


ただ、あらゆるものが消滅し、二度と誰も傷つくことのない、永遠の静寂だけを渇望している。


私は、自分の心が完全に狂ってしまったことを自覚している。


本来であれば、愛する者の死を悲しみ、生きている者の幸福を願うのが人間の正しい姿だ。


しかし、私の精神は完全に壊れ、針は常に「死による救済」という方向を指し示している。


私は、自分がもはや人間としての正常な機能を失った、一種の怪物になり果ててしまった。


いったい、誰が私をそこまで責める権利があるのだろうか?


私は、自ら望んでこの地獄に足を踏み入れたわけではないのだよ?


そもそも、あの両親の冷酷な暴力が、ネコをじわじわと殺し、祖父母の魂を言葉の刃で切り刻んだあの狂気の空間が、私をこの場所へと力ずくで引きずり込んだのだ!


社会の残忍さが、私の微かな希望の光をことごとく踏み消し、私を絶望へと突き落としたのだ!


他責と笑うがいいさ!


自覚があるからね!


私は、被害者であると同時に、世界を呪う加害者でもあるのさ!


愛するがゆえに死を願い、涙を流しながら刃を振り下ろす、矛盾と悲哀に満ちたピエロだ!


……この悲しみに、終わりはない……。


私は、ネコや祖父母のように死というシェルターに逃げ込むこともできず、ただこの狂った世界で、一人きりで呪詛の言葉を吐き続けなければならない!


いつか、私という存在が完全に消滅するその日まで!


私は、愛する皆に向かって、「死ね」と、愛を持って叫びつづける。


その言葉が孕む、身を引き裂かれるような辛さと、愛情の深さを、誰一人として理解することはない。


これが、悪意に屈服し、心を潰された人間が行き着いた地獄の全貌である。


無限の悲しみ。


反転した愛。


永遠の荒野。


君たちは、生き続けてくれ……!

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