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虐待され続けて辛かった  作者: Liu
フィクション・ポエム

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33/45

食の安全を破壊するもの!空腹とドカ食い!地獄!死ぬ間際の最後の告発!

99パー事実の羅列

探偵というものは、この世界に散らばる因果関係の糸を拾い集め、ひとつの論理的な結末へと紡ぎ上げる職業である。


誰が、なぜ、どのようにしてそれを行ったのか。


動機があり、行動があり、結果がある。


この世界は、少なくとも表面上は理路整然としたルールの法則性の上に成り立っていると、多くの人間は信じて疑わない。


私が探偵という生業を選んだのも、あるいは無意識のうちに、この世界に「意味」と「理由」が存在することを証明したかったからなのかもしれない。


しかし、私の人生の根源には、いかなる論理も因果律も通用しない、純粋な「不条理」がぽっかりと口を開けている。


因果律の崩壊。


理由なき暴力。


そして、それらを記録し続ける冷酷な眼差し。


それらはすべて、私がまだ探偵になる前、学生だった頃の記憶として、私の脳の奥底に血の匂いとともにこびりついている。


私は今、目の前に置かれた温かい食事を見るだけで、全身から冷や汗が噴き出し、視界が歪み、胃の腑が痙攣を起こす。


食事が、嫌いなのだ!


いや、嫌いなどという生易しい言葉では到底表現しきれない!


食事という行為そのものが、私にとっては死の恐怖と同義である!


私はもう、何も食べることはできない!


極限の飢餓状態に陥り、肉体が限界を迎えるその瞬間まで、私は固形物を胃に流し込むことを拒絶し続ける。


そうして、空腹が限界を超えた時、片っ端から食い漁り、血糖値を上げ過ぎて、道端で倒れる!


なぜ、そんなことをするのか?


その答えは、もちろん、私の父であるカズヒデと、母であるミカコが創り上げた、あの完璧な狂気の空間にある!


……以下の文章は、私にとっては完全なる事実の列挙であるが、皆さんにとっては「ニュアンス」の羅列である。何年何月何日の何時何分何秒で地球が何回まわった時の事件かを指定できなければデマとか虚言だと言いだすような、正論に縛られた高齢の幼児は、以下の文章を読む必要は一切ない。

私がその時どう思ったかという、「感情」の話を、「理論」で読み解くな。では、語りだそうか……


あの日、学生だった私は、父カズヒデに連れられて川崎のミューザにいた。巨大なシンフォニーホールを擁するその洗練された空間は、本来であれば都市の平穏と文化を象徴する場所であるはずだった。

私たちは、そこに入っている鍋料理屋「鳥源」に向かった。出汁の香りが漂い、客たちの穏やかな談笑が聞こえる、ごくありふれた日常の光景。だが、父カズヒデがその空間に足を踏み入れた瞬間、世界の物理法則は唐突に歪み、崩壊を始めた。


父は、店に入るなり、すかさず暴れた。


「ぴじもーーーーーーーーーーーッ!……ヤァ!」


そこには何の理由もない。

店員に無礼な態度をとられたわけでも、注文を間違えられたわけでもない。

ただ、突如としてスイッチが入ったかのように、破壊衝動を爆発させたのだ。父は凄まじい力で店の看板を破壊し、破片を周囲に撒き散らした。そして、慌てて止めに入ろうとした無実の店員を、情け容赦なく蹴り飛ばした。店員の体が宙を舞い、床に叩きつけられる鈍い音が響く。悲鳴が上がり、鍋のスープがこぼれ、平穏な空間は一瞬にして地獄絵図と化した。


理由がないのに、暴れる!


これほど恐ろしいことがあるだろうか!


怒りや恨みという感情がベースにある暴力であれば、まだ対処のしようがある。

だが、父の暴力は自然災害のように脈絡がなく、悪意すら超越した純粋な「狂気の発露」だった。

暴れ狂う中、父の口から発せられたのは、人間の言語の形を借りた、理解不能な呪文だった。


「おいしいでつか?あかまちかみら?」


「だりぽ!じーじじじ!」


「るーるるる!ダ!マ!ヤ!ビ!ぴぴぴぴーっ!」


それは、言葉としての意味を完全に喪失していた!


抑揚は狂い、発音は奇妙に歪み、その声帯から響く音は、まるで異次元の怪物が人間の言葉を模倣しているかのようだった。「だりぽ!」「じーじじじ!」と叫びながら周囲を破壊する父の姿は、恐怖を通り越して、絶対的な不条理の極致であった。


そして、その凄惨な光景の只中で、さらに私の精神を凍らせたのは、母ミカコの存在だった!


母は、看板が割れ、店員が蹴り飛ばされ、私が恐怖に顔を引きつらせているその地獄の中心で、ニヤニヤと薄気味悪い笑みを浮かべていた。彼女の手にはカメラが握られ、そのレンズは真っ直ぐに狂乱の渦に向けられていた。


「いひ。いひひひひ……ッ!」


止めるでもなく、逃げるでもなく、ただその異常な光景を、まるで珍しい見世物でも楽しむかのように記録し続けていたのだ!


狂っていた!


父の能動的な狂気と、母の受動的で冷酷な狂気!


この二つの狂気に挟まれた空間で、私は自分が人間であることを忘れ、ただ震えることしかできない虫けらに成り果てていた!


狂気の宴は、川崎の鍋料理屋だけにとどまらなかった。


またある日は、日本の格式と伝統を象徴する、帝国ホテルのレストランが舞台となった。豪華なシャンデリアが煌めき、重厚な絨毯が足音を吸い込むその気品ある空間に、母と私と弟が呼び出されたのだ。周囲には身なりを整えた紳士淑女が静かに食事を楽しんでいる。だが、父カズヒデにとって、そのような社会的文脈など何の意味も持たなかった。


父は、突如として立ち上がり、皆の面前で、もちろん私だけを標的にして殴り飛ばした!


重い拳が私の顔面に直撃し、私は床に崩れ落ちた。高級な食器が微かに震える音がした。周囲の客たちが息を呑み、沈黙が広がる。だが、誰も助けには来ない。あまりにも唐突で、あまりにも異様な光景に、周囲の人間もまた因果律を見失っていたのだ。

父は、床に倒れ伏す私を見下ろし、再びあの理解不能な言語を紡ぎ始めた。


「おもちろいことは、しまつか?だみ?……誤りましたか?あやまりまちたか?まつだいら……よし!いけそうだね?」


「チンパルキ!チンパルキ!チンパルキったらチンパルキ!チンパルキったらチンパルキ!」


「ぼくわ!ぼくは、六波羅探題三丁目の、あしだたいちくん!あしだたいちくんはいますかー!いませんかー!ロビモッ!…………中町街道?……見えた!ちーがーうーだーろ!ぼくだけを楽しませろ!」


呪文のような連呼!


それは、私の尊厳を泥靴で踏みにじりながら、さらにその上で不気味なダンスを踊るような行為だった。そして父は、両腕を大きく広げ、レストランの天井に向かって咆哮した。


「この世は僕を楽しませるための、ネコ!ネコネコネコネコネコネコネコネコ!おおおおんあ!ひゃーーーっ!ダリボー!ダリボ!ダリボーッ!」


自分が世界の中心であり、万物は自分を楽しませるための玩具であるという、おぞましいまでの自己中心的な宣言。その圧倒的な狂気の圧力の前に、帝国ホテルの洗練された空気は完全に汚染され、そこは父の支配する悪夢の王国へと変貌した。


そして、やはり。


その、地獄の、時間の、帰り際。


父は、私に、さらなる、精神的、凌辱を、加えた。


父は自らの下半身に手をかけ、私に向けて最も屈辱的な行為を強要するような素振りをし、歪んだ声で叫んだのだ。


「おちっこちゃあ!おちっこ、ちゃあ!ちんちん舐めて!ぼくはタキゲン製造の次期社長のタキモトカズヒデだよ?何でもしていいんだよ?お前六波羅探題三丁目を知らないだろ?……お!かーさんに!なって!……はいバーカ!死ね!……ぼくを愛せないようじゃ、お前はぼくの『お・かーさん』にはなれないからな!反省しろよ!……ちーん!ち!ん!な!め!て!」


それは物理的な暴力以上に、私の魂の最も深い部分を決定的に破壊した。


周囲の目、空間の異常性、そして私という存在を単なる排泄物以下の玩具として扱う絶対的な悪意。私はその時、自分の内側で何かが音を立てて砕け散るのを感じた。


またある時は、家の中での出来事だった。


朝、目覚めると、ダイニングの机の上にパンと米が置かれていた。飢餓感に苛まれていた私に対し、父は静かな声で「そこにある朝ごはんを食べて良い」と言った。


私は、一瞬の安堵とともにそれに手を伸ばした!


食べなければならない!


もしここで食べなければ、「なぜ食べないんだ」という理不尽な理由で、血まみれになるまで殴られるからだ!


私の人生において、食事とは栄養を摂取することではなく、暴力を回避するための危険な綱渡りであった。


私は、パンと米を口に運んだ。味などしなかった。ただ、胃袋に詰め込む作業だった。


すると突然、空気が凍りついた。


父がゆっくりと立ち上がった。その姿は、異様な興奮に包まれており、彼は自らの暴力的な支配欲と歪んだ欲望を極限まで肥大化させたような、おぞましい状態のまま、私を見下ろして言った。


「そこにある物を食べて良いと言ったが、全部食べて良いとは言ってない。はい負けー。はいおちまいー。パンとごはんどっち食べて良いとはぼく言ってませんー。米一粒かもしれないじゃんー」


言葉の意味を理解するよりも早く、暴力の嵐が私を襲った。

拳が、足が、私の肉体を容赦なく破壊していく。ルールは常に父の中にしかなく、そのルールは秒単位で恣意的に変更される。「食べて良い」という言葉は罠であり、私はその罠に自ら足を踏み入れた愚かな獲物として、徹底的に罰せられたのだ!


私は激痛の中で視界が赤く染まり、やがて気を失うまで、ただサンドバッグのように殴られ続けた!


意識が途切れる直前、口の中に残っていたパンと米の生温かい感触と、血の鉄錆のような味が混ざり合ったあの感覚を、私は一生忘れることはないだろう!


さらに、私の魂にトドメを刺した出来事がある。


小学生時代の、誕生日会という名目の拷問だ。


場所は宇都宮。タキゲン製造宇都宮支店。次期社長を自称する父カズヒデが「私を祝う」と言い出したのだ。そこでは焼肉が振る舞われた。肉の焼ける匂い、脂の跳ねる音。本来であれば、子供にとって最も幸福な時間の一つであるはずだ。


だが、そこはカズヒデとミカコの支配する空間である!


私は、焼肉の火が燃え盛る中、社員全員の面前で完全に裸にされた。一枚の衣服も許されず、全裸にされ、ホースで水をかけられ、冷たい視線と熱い炎の前に晒されたのだ。羞恥と恐怖で身をすくませる私に対し、父は祝祭の言葉の代わりに、自らの権力を誇示する呪文を叫びながら襲いかかってきた。父は、私の誕生日という日を、完全に「自らが偉大であることを証明するための日」へと書き換えた。そして、全裸で抵抗できない私を、狂気に満ちた笑い声を上げながら袋叩きにしたのだ!


「ぼくは、社長になるから、い!いーっ!い!い!いゲームしよ!い!い!いーっ!ぼくの方が偉いよね?たっぴばーすでーとぅーゆー、ぼく!じゃああああああああっ!さーららっちーぱー、らー、ゆーらぱっかーみー、ぼくは、女を、えっちしたから、お前が生まれたみ!ぼくは、暇だから、えっちする!した?したから、お前、誰だよ!こわい!うわーーーん!……あ!じゃあお母さんになって!ちんちん気持ちよくしてよッ!うわーーーん!!!…………はい気持ち切り替えーっ。はい、はっぴい。にこにこぷん。にこに…………ロイチョーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!きたぞ!朝倉少佐発進しまつ!ぶぎゅぶぎゅぶぎゅーーーーん!!!!!!!……タキゲン製造は────あたくし、タキモトカズヒデの所有物であり──我が国、日本国、第六四天王寺マズカの、『意志』に基づく大東亜の安定を…………ラツパチパチパチジキパツカチカチカツパツパツカツ!パツカツラツパツナツラツカツパル!テコテコテコテコツクツクパツカツ!………………あれ?何でこいつ血ィ流してんの?どうした?『敵』にやられたのか!?ミカコーッ!消毒液!早くーっ!こいつ、『敵』にやられたみたいだ!誰に殴られ…………ぴーぴぴぴ!?殺す!死ね!死ね!死ね!はっぴばあすでー、つーゆーッ!」


自分自身を祝うその言葉とともに降り注ぐ無数の打撃。私は肉の焼ける匂いの中で、自分の人間としての尊厳が炭のように黒く焦げ付き、崩れ去っていくのを感じていた。


そして、この時もやはり、母ミカコは私を撮影していた!


「さ!家族団欒!」


フラッシュの眩い光が、全裸で殴り倒される私の無様な姿を、永遠の記録として焼き付けていく。母のレンズを通して見れば、この凄惨な虐待も、単なる「家族の面白いホームビデオ」の一コマに過ぎないのだろう。助けを求める視線を向けても、カメラの後ろにある母の目は、ガラス玉のように冷たく、何の感情も宿っていなかった。


これまでの話を読んだ者は、あまりにも荒唐無稽なフィクションだと思うかもしれない!


出来の悪いホラー小説か、狂人の虚言だと一蹴するかもしれない!


無理もない!


まともな人間性(じょうしき)が支配する世界に生きる人間にとって、これらは想像の範疇を超えているからだ!


あの時だってそうだった!


あの、乳首と眼球だけを誇張した主線が000000色の萌え萌え・イラストを描く、人生経験のない低学歴高齢男性エロ・イラストレーターは私を指差してこう言った!


「まーた変な虚言。なに言いたいの。スクショ撮ったわ」


またある時は、ショート動画とXで世界の全てを知り尽くしたかのような、ふやけたような平和な顔をした親元暮らしの無職高齢男性同人編集者はこのように苦言を呈した!


「愚痴ったら、君の、イラストの、評価、下がるよ。辛くても、何も、いうなよ」


またある時は、今まで一度も他人から騙されたことがないから、いずれ詐欺師に一撃で人生を破壊されるであろう温室育ちの脳内お花畑女性作家野郎が私を非難した!


「この世に辛いことなんてないわ。全ての試練は、神様が与えた試練なのよ」


私を殴り続けた父までもが言う!


「ぼくはそんなこと一度もしたことはないよ?まあ、されたと言うなら、そう思うんなら、そうなんじゃない。妄想って、ゆうんだよ。ぼくが覚えていないなら、ぼくはしてないってこと。してないことを言うのは、ウソ!だからあやまれ!もしくは、ありがとうと、いえ!」


馬鹿どもめ!


愚痴ったらそらあ、罵られ、疑われ、評価が停滞するのは承知の上だ!


誰にも辛さを理解されない方が、よっぽど、私の心は黒く塗りつぶされるんだよ!


まだ疑うのであれば、私の弟に聞いてみてほしい!


彼はあの地獄の食卓で、私が理不尽に破壊されていく様を、息を潜めて見つめ続けていた証人だ。


あるいは、事後対応に追われた祖父の会社の幹部たちに聞いてみてほしい。あの野郎たちは、父が残した破壊の痕跡を金と権力で揉み消し、事実を隠蔽するために奔走した人間たちだ。彼らの苦虫を噛み潰したような顔が、私の言葉が完全なる事実であることを証明してくれるだろう。


そして何より、私という存在を心底憎んでいる母ミカコですら、カメラのデータという動かぬ証拠を持っている以上、これが事実であると認めざるを得ないはずだ。


私は探偵となり、他人の人生の謎を解き明かすことで、自らの内にある不条理を薄めようとしてきた。世界には論理があるのだと、自分に言い聞かせるために。だが、どれほどの真実を暴き出そうとも、私の魂の根底に焼き付いたあの記憶だけは、決して消え去ることはない。


私がこれらの凄惨な記憶を通して、最終的に何を言いたいかというとだね。


私は、食事が嫌いだということだ。


鍋料理の湯気を見るたびに、川崎のミューザで看板が砕け散る音が聞こえる。


高級なレストランの照明を見るたびに、帝国ホテルで響き渡った「チンパルキ!」という呪文と、圧倒的な暴力の感触が蘇る。


パンと米を見るたびに、絶望的な罠と、口の中に広がる血の味がフラッシュバックする。


焼肉の匂いを嗅ぐたびに、宇都宮で全裸にされ、「たっぴばーすでーとぅーゆー、ぼく!」と叫びながら殴られたあの炎の熱さと、母のカメラのフラッシュの眩しさが私の脳髄を灼き焦がす。


私にとって、食事が出るたびに、私は殴られていたのだ。


食卓とは、家族の団欒の場などではない。そこは、絶対的な権力者である父が、自らの狂気を披露し、弱者を供物として捧げるための祭壇であった。


「みんなを楽しませるために、宴会芸が必要!い!いーっ!い!い!い!」


父のその言葉が、今も私の頭蓋骨の内側で反響し続けている。食事という行為は、彼らを「楽しませる」ための宴会芸の舞台装置であり、私はその舞台の上で、永遠に血を流し続ける道化師であることを運命づけられていたのだ。


だから、私はもう、何も食べることはできない。


だが。


私が食べはじめるとなると、暴力的な、一方的な、目を瞑って行われるドカ食いにしかならない。


食事を受け入れるということは、あの不条理な暴力と、狂気の呪文と、冷酷なカメラのレンズを再び私の内側に取り込むということに他ならないからだ!


私は、一人静かな部屋に戻ったとき、私を待っているのは、いかなる論理でも解き明かすことのできない、空腹という名の静かな拷問だ。


私は胃の腑の痛みに耐えながら、目を閉じる。


暗闇の中で、再び父の声が聞こえる。


「だりぽ!じーじじじ!」


そして、カメラのフラッシュが白く瞬く。


これが、私の生きる、不条理の世界だ。


食卓という名の地獄に幽閉されたまま、私は今日も、何も食べずに、ただ息をしている……

なお、この経験は、「ヴェリタスの最終定理」の全てのエピソードの元ネタである。

https://ncode.syosetu.com/n0276lk/10

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