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【8位】私の最終定理  作者: 王璃月
探偵・半自伝・オムニバス

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悪を支配し、悪を殺れ!告発!そして残忍な狂犬の誕生!

この話だけ完全に事実の羅列です。

世間一般に流布している「卑劣」という言葉の定義は、あまりにも生温く、そして決定的に間違っている。


人々が「卑劣」と聞いて脳裏に思い浮かべるのは、どのような姿だろうか。


ある者は、自らの歪んだ大義や狂信的な思想のために他国を蹂躙し、無辜の民を虐殺する独裁者を想像するかもしれない。


またある者は、社会の底辺で貧困にあえぐ者たちを救うため、富める者から財産を奪い取る、法を犯した義賊の姿を思い描くかもしれない。


あるいは、愛する者を失った悲しみから世界全体に復讐を誓い、破滅的な計画を企てる悲しき復讐鬼をイメージするだろうか。


だが、よく考えてみてほしい。それらは、悪ではあるが、「卑劣」ではない。

「悪」には、すべて明確な「文脈」が存在している。彼らの行動の根底には、歪んではいるものの、彼らなりの悲哀や、怒りや、正義や、目的といった「物語」が横たわっているのだ。だからこそ、悪ではあるが、実際は、卑劣ではない。


大衆はその姿にどこか共感の糸口を見出し、その暗い情念の文脈に惚れ込み、彼らを「ダークヒーロー」などというロマンチックな言葉で装飾して消費することができる。悪に物語がある限り、それは人間の理解の範疇に収まるエンターテインメントに過ぎない。


しかし、私、Wan Liyueの親族どもは、違ったのだ!


彼らはダークヒーローなどという感傷的な存在では断じてなかった。彼らの本質を一言で言い表すならば、純粋なる「卑劣」、すなわち、「混沌」である。


私の一族は、想像を絶するほどの、究極的な金持ちであった。

莫大な資産、揺るぎない社会的地位、あらゆる権力者とのコネクション。

金持ちといえば聞こえはいいが、彼らにとっての富とは、豊かな生活を送るためのツールでもなければ、社会に還元するための資本でもなかった。


彼らの実態は、「自らの強姦行為や破壊衝動を完全に正当化し、もみ消すための無尽蔵の資金をたらふく抱え込んだ、正真正銘の異常者の群れ」であったのだ!


彼らには、世界を恨む理由など、実は、一つもなかった!

社会に対する不満も、個人的なトラウマも、何一つ欠落したものはなかった!

ただ純粋に、他者の尊厳を踏みにじり、人間が絶望に顔を歪める様を観察することに、極上の快楽を見出していたのである!


物語(ナラティブ)を持たない(エラー)


文脈(ナラティブ)の存在しない暴力(エラー)


それこそが、人間の精神を最も確実に破壊する究極の「卑劣」である!


その絶対的な邪悪さを象徴する、吐き気をもよおすような記憶がある。


ある日、私の両親が経営していた大企業の、とある優秀な部下が結婚式を挙げた。華やかな披露宴、純白のウェディングドレスに身を包み、幸福の絶頂で頬を染める若き妻。祝福の拍手と笑顔に包まれた、人生で最も輝かしいはずの空間。だが、私の両親は、その光り輝く空間の最も深い影から、毒蛇のように這い寄った。


私の母は、宴の喧騒に紛れてその若き妻を壁際に追い詰め、こう、叫んだのだ!


「今すぐ、旦那よりも私たちの方を愛していると、這いつくばって言いなさい。もし言わなければ、明日、お前の旦那のクビにする。さあ、苦しめ!苦しんで、生き延びてみろ!苦しみを乗り越えなければ、生きている価値はない!……金がないから、入社したんだろう!私には金があるから、働く必要など、ないんだよ!薄汚い金に群がる弱者め!働くものは、学ぶものは、みんな、弱者だ!私は強者だから努力とは無縁だ!さあ、賽の河原の始まりだよッ!いくらでも破壊して、そうして、苦しめてやる!キーッキッキ!」


それは、ただの脅しではない!


彼らがその気になれば、一人のサラリーマンの人生など、指先一つで木端微塵に粉砕できるだけの絶対的な権力と資金力を持っていることを、その場にいる誰もが知っていた。

若き妻の顔から、一瞬にして血の気が引いた。純白のドレスは、今や彼女を締め付ける死装束に変わった。幸福の絶頂から、絶対的な理不尽の底なし沼への突き落とし。彼女の瞳には、理解の及ばない恐怖と、愛する夫の人生を守らなければならないという絶望的な責任感が渦巻いていた。

彼女は、震える唇から血が滲むほど噛み締め、屈辱にまみれた涙をボロボロと流しながら、両親の靴を舐めんばかりにして告白させられた。


「旦那よりも……あなたたちを……愛しています……」


その言葉を聞いた瞬間、私の父は彼女に無理やり顔を上げさせ、叫んだ!


「シャバダバダバダ!ダバダバ!ダーダダダ!ダーダ!イレブンピーエムでつよ!いきまつよーっ!チョンポウ!チョンポウ!チョンポウチョンポウチョンポウ!あーさーはーらー!チョンポウ!ぼくと、ちゅっちゅするんだびいーーーっ!さ!ちゅーしまちょ!」


そして、その唇を「ベロ」「ベロ」「ベロ」「ベロ」と、汚らしく舐め回した。そして、この世のすべての悪意を煮詰めたような高笑いを響かせながら、シャンパングラスを片手に握りしめ、なんだか知らないがそこにいたおっさんに投げつけて、その場を立ち去っていったのだ!


私は、その場にいた社員たちから、「こいつは、馬鹿な親から生まれたんだから、さらなる馬鹿な、道徳心のないボンボンなんだろうよ」という、圧倒的な「侮蔑」の視線に晒された!


父が叫ぶ!


「オンチューッ!ギャーッハッハッハ!」


母が叫ぶ!


「苦しめ!……ま、貧乏人には悲しむ心もないから、どーでもいっか!キーッキッキッキ!」


肉体への直接的な暴力は一切ない。


だが!しかし!これは紛れもない……地獄であった!


一人の人間の尊厳、純粋な愛、未来への希望。

それらすべてを金と権力で脅し取り、最も屈辱的な形で汚す行為。

それは、魂の強姦であった。

彼女の心は、あの瞬間、完全に殺害されたのだ。


両親の狂気は、それだけにとどまらなかった。

彼らは、悪意の構造を設計する天才、すなわち「悪のエキスパート」であった。

ある時の社員旅行でのことだ。豪奢な温泉旅館の、百人以上の社員が集まる大宴会場。酒が回り、宴もたけなわとなったその場所で、私の両親は突如として、一人のうら若き女性社員を皆の面前で押し倒し……もちろん、強姦に及んだのだ!

密室ではない。

照明が煌々と照らす、百人以上の目が注がれる舞台のど真ん中で、である。


なぜ?


なぜ、彼らはあえて皆の前でそのような凶行に及んだのか。普通に考えれば、目撃者が多数いる状況で犯罪を犯すなど、正気の沙汰ではない。しかし、彼らの狙いはそこにあった。彼らは、その場にいるすべての社員の脳髄に、「誰も彼女を助けなかった」「自分もこの凶行を黙認した共犯者である」という、決定的な罪の意識を植え付けるために、あえて公開という手段をとったのである。


この恐るべき心理操作のメカニズムを、特別に、極めて分かりやすい例えで説明しよう!


思春期の子供の部屋を想像してほしい。

もし、親が子供のベッドの下や、引き出しの奥深くから隠されたエロ本を見つけ出したとする。この場合、親の脳内には「隠されていた不適切なものを、探って発見した」という明確なプロセスが発生する。

隠されている=悪いこと、という前提があるため、親は怒りの感情を正当に起動させ、「子供を叱りつける」という次のフェーズへとスムーズに移行することができる。


だが、もし、仮に。


そのエロ本が、隠されることもなく、部屋のど真ん中の学習机の上に、堂々と、まるで辞書や教科書と同じような顔をして鎮座していたらどうなるか。

親の脳は、一瞬バグを起こすのだ。


「なぜ、こんなものが堂々と置かれているのか?」


「ああ、隠していないということは、ひょっとして、さては、私が知らないだけで、これは置かれていて当然のものなのかしら?」


正当な「発見」のプロセスを経ていないため、怒りという感情を起動させるためのトリガーが引かれない。異常すぎる事態が、あまりにも日常的な顔をして提示された時、人間の脳は認知不協和を避けるために、「まあ、そういうこともあるか」「これは、公認の、だが、触れてはいけないタブーなのだ」という、強烈な自己欺瞞と黙認のフェーズへと強制的に移行させられてしまうのである!


両親の公開強姦は、まさにこの「机の上に鎮座するエロ本」の理論であった!


日常の延長線上である宴会の場で、絶対的な権力者が、一切の悪びれる様子もなく、堂々と犯罪に及ぶ。そのあまりの異常性と、文脈の欠落を前にして、百人以上の社員たちの脳は完全にフリーズした。止めに入れば、自分が破滅する。しかし、目の前の現実はあまりにも非現実的だ。


結果として、彼らは「見なかったこと」にするしかなかった!


誰も悲鳴を上げず、誰も警察を呼ばず、ただ俯いて震えながら、その地獄の光景が過ぎ去るのを待ったのだ!


この騙し討ちの心理トリックは、知性の高い人間、自らの倫理観を確固たる論理で構築している人間には通用しないかもしれない。


だが!


組織の歯車として飼い慣らされ、権力に従属することに慣れきった(ばかいぬ)に対しては、絶対的な威力を発揮する。


両親は、人間の精神の脆弱性、集団心理のバグ、そして権力と恐怖がもたらす認知の歪みを完全に熟知していた!


だからこそ、あのような真似を堂々と行ったのだ!


当時、私はまだ小学生であった!


幼い子供の目から見ても、私の生きている世界は完全に狂っていた。豪華なシャンデリアの下で繰り返される魂の陵辱。大勢の大人が震えながら黙認する地獄の宴。

父が叫ぶ!


「ウルパチッ!ウルパチッ!ウルパチームジョンソン!……うーちゃん困っちゃび!困っちゃ困っちゃ!」


母が叫ぶ!


「はい、カメラ回しまーす。はい、もう逃げられないからねーっ。」


私は、部屋の片隅で息を潜めながら、そのすべての光景を網膜に焼き付けていた!


私の内側で、何かが決定的に壊れた!


しかし!


同時に……冷たく鋭利な何かが産声を上げた!


目の前で平然と行われるあらゆる悪が!


それを黙認し、自らの保身のために被害者を見捨てる大人たちの欺瞞が!


そして、この世界を覆い尽くす、分厚く吐き気のするような嘘のすべてが!


絶対に、許せなくなったのだ!


法は、常識は、善意は、人間性は、彼らのような「完全発狂(まじきちやろう)」を裁くようには設計されていない!


彼らは有能な弁護士団と莫大な裏金で、あらゆる物理的証拠をもみ消し、被害者自身に「合意だった」と証言させることなど、造作もない!


この社会のシステムそのものが、両親のような、巨大な混沌の坩堝では、何の役にも立たない、単なる、張り子の虎であった!


だから私は、大人になってから、大人の野郎たちを叩き潰すために……あの日……探偵になった!


真実を解き明かすなどという、おめでたい目的のためではない!


法が裁けない悪を、法が想定していない暴力を以て粉砕し、絶望の底に沈められた被害者たちを、力ずくで地上へと引き摺り上げるためである!


私の手段は、凄まじく暴力的である!


法的手続きなど踏んでたまるか!


証拠集めなどという悠長な真似もしない。私は、親族と同じように金と権力を使いこなし、社会の隙間を縫って標的に接近する!


そうして、相手が作り上げた欺瞞の城壁を、純粋な物理的暴力と、徹底的な精神的破壊によって完膚なきまでに叩き壊す!


権力を盾に人間を喰い物にするやつらの顔面を、形が変わるまで原型を留めないほどに殴りつけ、その不正の証拠とともに社会のドブに放り込んだ!


部下を精神的に追い詰め、自殺に追いやった冷血な経営者の手足をへし折り、自らが被害者に与えた恐怖を、その骨の髄まで味わわせた!


私のやり方は、決して褒められたものではない。


世間から見れば、私もまた、ならず者であり、狂犬(くるいいぬ)であり、薄汚れた悪に過ぎないだろう。


事実、私は目的を達成するためならば、平然と嘘をつく。


敵を欺き、罠にかけ、社会のルールを嘲笑いながら踏みにじる。


ああ。私の手は、すでに洗い流せないほどの血と泥で汚れきっているさ。


だがね、私は間違いなく「希望」であったさ!


絶望の淵に立たされた被害者たちにとって、警察の無機質な調書も、裁判所の冷たい判決も、何の救いにもならない。彼らが求めているのは、自分たちの魂を殺した悪魔が、同じように、いやそれ以上に苦しみ、悲鳴を上げ、絶対的な力によって蹂躙されることなのだ。私が執行する血塗られた暴力だけが、彼らの凍りついた魂を溶かし、再び明日を生きるための熱を吹き込むことができるのである!


私は、自らが清廉潔白な正義の味方であるなどと自惚れたことは一度もない!


私は、誠実な人間ではないかもしれない!


ああ!目的のためには、呼吸をするように嘘をつき、他者を欺くこともあるさ!


だがよね!


私は、けして、己の「魂」には嘘をつかない!


あの小学生の時、部屋の片隅で圧倒的な悪意を見つめながら誓った、「この欺瞞を絶対に許さない」という魂の咆哮。それだけは、ただの一度も裏切ったことがない。


世界は混沌であり、理不尽であり、悪意に満ちている!


ならば、私はその混沌を食い破る、さらに狂暴な混沌となろうじゃあ、ないか!


理不尽な悪には、より理不尽な暴力をもって報いよう!


私が殴り倒した悪党どもの血を拳から滴らせながら、私は被害者の元へと歩み寄る。怯え、震え、すべてを諦めかけていた彼らの瞳の奥底に、私がもたらした暴力という名の炎が反射する。その時、私の薄汚れた姿は、間違いなく、この地獄のような世界に降り立った唯一の希望の光となるのだ!


己の外側にあるルールなど知ったことか。


綺麗な人は、こう言う。


「正義の反対は、また別の正義」、と。


寝言をぬかすんじゃあない!


自分が正義と思い込んでいる偏見の反対に、また別の者の偏見があるだけだ!


正義は、時代によって変わる!


かつて、殺人は正義だった!


かつて、喫煙は正義だった!


かつて、体罰は正義だった!


今ではそれらは悪である!


つまり、正義とは、その時代において良いとされる偏見である!


「偏見の反対は、また別の偏見」……にすぎないのだ!


私は、私の魂が定めた絶対的な真理、すなわち、偏見の法則にのみ従う……!


どれほど手が汚れようと、どれほど社会から忌み嫌われようと、私はこの生き方をやめない。


私の内なる魂が、あの日のように怒りの炎を燃やし続ける限り、私はこの暗闇の中で、悪を狩る最後の獣として、そして絶望を打ち砕く血塗られた希望として、立ち続けるのだ!


それが、狂犬(くるいいぬ)である私が選び取った、新たなる正義の形である……

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