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コミカライズ決定【8位】ヴェリタスの最終定理7 番外編 THE ORIGIN  作者: 王璃月
探偵・半自伝・オムニバス

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26/31

豚よ!人を喰らえ!屠殺場に轟く咆哮!

結局、私は現在、何らかのせいで死ぬ寸前である。


冷たいコンクリートの感触が、私の背中から体温を奪っていくのがわかる。視界の端から徐々に色が失われ、灰色のノイズが浸食してきている。呼吸をするたびに、肺の中で血が泡立つような嫌な音が鳴り、鉄の匂いが鼻腔の奥にへばりついている。おそらく、致命傷だ。この肉体が活動を停止するまで、もはや数分、いや、数秒の猶予しか残されていないだろう。だが、私の意識はかつてないほどに研ぎ澄まされ、この狂った世界に対する完全なる解答を抱きしめながら、静かに、そして圧倒的な歓喜と共に終わりを迎えようとしている。


世の中には、死後の世界がどうのというやつや、臨死体験がどうのというやつが、なんだか、そこいらにうじゃうじゃいる!


三途の川を見た、美しい花畑が広がっていた、光に包まれた存在が迎えに来た。


素晴らしい!お前らは、全員嘘つきだ!


死という絶対的な恐怖を直視できない、馬鹿という病に頭を食い尽くされた狂いの野郎たちが、自らの脳髄が機能停止する直前に分泌した化学物質の幻覚に縋りつき、それをなんか、宗教やスピリチュアルという薄っぺらなオブラートで包んで慰め合っているに過ぎない!


吐き気がするほどの欺瞞である!


私は知っているのだ。そんなものは一切存在しないということを!


……なぜなら、私はすでに何度か、この死の淵を覗き込んでいるからだ!


以前、私は自ら高所から飛び降りたことがある。

風が耳元を通り抜ける轟音の後、私の肉体は容赦なく地面に激突し、身体中の骨という骨をバキバキに折った。骨が皮膚を突き破り、内臓がひしゃげるその瞬間、私を迎えに来た天使などどこにもいなかった。


またある時は、自転車ごと吹き飛ばされる壮絶な事故に遭い、めちゃめちゃに頭をカチ割り、アスファルトに脳漿をぶちまけんばかりにして気絶したこともある。あの時、神はいたか。仏はいたか。私に救いの手を差し伸べる慈悲深い存在は、虚空のどこかに隠れていたのか。天国や地獄はあったか。

ない。ないのだ。断じて、ない。


そこにあったのは、ただ圧倒的で、絶対的で、無機質な「闇」だけであった!


意識が途切れる瞬間の、スイッチを切られたような完全なブラック!


神も仏も、天国も地獄も、善悪の概念すらも存在しない、絶対零度の虚無!


それが死の正体であり、この宇宙の唯一の真理である!


先日の、あの忌まわしい男を半殺しにした事件の時もそうだ。私は正義の代行者であると勘違いし、一人の人間を肉塊に変えた。あの血まみれの部屋に、神の裁きはあったか。ない!ないんだよ!


そして、私が最も憎悪するべき対象、すなわち血の繋がった親族たちから、私が半殺しにされた時も同じだ。私をこの世に生み出した血族どもが、私を囲み、群がり、私の肉体を徹底的に破壊したあの凄惨な時間。家族という名の地獄の釜の中で煮込まれていた時、私を救済する光はどこにも差し込まなかった。あるのはやはり、底なしの闇だけであった!


もちろん、私が誰かを半殺しにした時も、同じである。時計を巻きつけた拳で他者の顔面を砕き、その尊厳を泥水の中に沈めた時、私の両の手に残ったのは、神聖な正義の感触などではなく、ただ純粋な「暴力の痛み」だけであった。自らの拳の骨が軋み、皮が破れる痛覚。それだけが、私がこの世界に物理的に存在しているという事実を証明する、唯一の確かなものだった!


そうして、気絶という名の短い闇から目覚めた時、そこにあるのはいつだって……圧倒的な暴力の痛みだけなのだ。生きているということは、痛いということだ。息を吸い、血を巡らせるだけで、この世界は私に痛みを強要してくる!


まあ、暴力というと、世間の温室育ちの怠けた豚人間たちは眉をひそめ、「そんなことわ、よくないよお」と非難するだろう。彼らは暴力を、野蛮な肉弾戦や、刃物を使った流血沙汰だけだと勘違いしている。


だーかーら!


だから、彼らは一生、搾取される側の家畜なのだ!


豚狩りをされて、自分が豚である自覚もないまま、ただ、煮込まれて食われるだけで、いいのか?


いいかい!


私が定義する暴力とは、そんなチャチなものではないのわよ!


暴力とは、すなわち「学」と「武」である。


学とは、この世界の構造を見抜き、他者の弱点を丸裸にし、論理と知識を用いて相手の精神と社会的地盤を解体する力のことだ!


そして武とは、その解体作業を現実の物理空間において実行し、自らの生存を力ずくで確定させる圧倒的な腕力であり、行動力である!


学と武!


この二つの暴力が結びついた時、豚は、初めてこの狂った社会という屠殺場の中で、食われる側から食う側へと回ることができるのだ。


人喰い豚!


そうして、それらの豚暴力(ぶたぼうりょく)を社会生活という名の泥沼の中で正当化し、刃を隠し持ちながら相手の喉元に迫るための究極の迷彩服。それこそが「外見」である!


ここでいう外見を、生まれ持った「顔」の造作だの、ブランド物の「服装」だのと思っている浅はかな人間がいるならば、今すぐその辺の電柱にでも紐を括り付けて首を吊るべきである。生きて酸素を消費する価値もない。違う。断じて違う。


外見とは、すなわち「言葉」であり、「その場にあった完璧な振る舞い」のことである。外見、すなわち、相手の目に映る自分なのだ。


想像してみろ!


血の気の多い極道の目の前で、アニメやゲームの知識しか持たない異常者(おたく)の振る舞いをしたらどうなる。直ちにその場で殺害されるか、身ぐるみ剥がされて海の底に沈められるのがオチだ!


冷徹な利益至上主義の会社員たちの前で、ルール無用の暴走族の振る舞いをしたらどうなる。商談はそもそも行われず、警備員を呼ばれて社会からつまみ出されるだけだ!


人間は、相手が発する言葉の選び方、声のトーン、視線の動かし方、筋肉の緊張具合、そのすべてを総合して「外見」として認識している!


自分がどれほどの学と武を持っていようとも、相手の脳内に「私はあなたにとって無害であり、有益な存在ですよ」という外見を完璧に投影できなければ、その暴力は宝の持ち腐れとなる。学と武による静かなる豚暴力(ぶたぼうりょく)、あるいは社会生活という名の果てしない生存競争(ひとくい)を正当化し、円滑に進めるための最強の武器が、外見、すなわち、圧倒的な「国語力」と「演技力」なのである!


そして、その計算し尽くされた外見を、ただの機械的な虚構から、血の通った迫真の現実へと昇華させるための最後の一滴。それが「愛」である。


愛とは何か!


世間の連中は愛という言葉を、安っぽいメロドラマの小道具のように扱っている。


人とセックスして快楽を貪ること?


好きな人間に金を貢いで承認欲求を満たすこと?


映画やアニメのキャラクターのグッズを、誘拐犯のように部屋中に溜め込むこと?


もし、お前たちが愛をそんな程度のものだと思っているのならば、やはり今すぐ高いビルの屋上から飛び降りて死ぬべきだ。そんなもん、ホスト狂いと引きこもりオタクの合わせ技だろうが!そんなもん、社会の貧しさをトレースしたに過ぎない!そんなもん、お前の意思ですらない!そんなもん、愛ではない!ただの幼稚な自己愛と、消費活動の言い訳に過ぎない!性欲と加害欲を、収集癖と消費欲にすり替えているだけだ!


やはり、てめえらは、食い意地の張った「豚」じゃあねえかッッッ!


そうして!ここまでいっても貴様は、頭が悪いのではなく、性格が悪いから、私の話に「わざわざ」耳を傾けることをしないッッッ!


いいか!


私が到達した真理における愛とは、究極の「理想論」である!


愛とは、血まみれの顎で獲物を引き摺り回し、その肉を引き裂き、骨を砕いて食らいつくその瞬間に、「あたくしの生存権はここにある!」と宇宙に向かって絶叫するためのものである!


さらに、自らの手が血に染まっているにもかかわらず、その横で同じように血をすする他者に対して、「そして、隣人であるこいつの生存権もここにある!」と、厚顔無恥にも主張するためのものだ!


人間は、生きている限り、必ず他者を食い殺している!


この、私の演説を聞いて、「ちがうゆーっ!ぼくわ、良い子だから、他者を食べてないもん!お母さんから貰ったごはんお、食べてるだけだよッッッン?」……などと思うのならば、お前は……いや、もう、お前に何かを語る気はない……


いいか?


仕事で他社を出し抜いて利益を得ることも、学問で競争相手を蹴落として地位を得ることも、ゲームで他プレイヤーを倒すことも、あるいは部屋に引きこもって何一つ生産せずに親の金で生きることも、すべては他者の時間と労力と生命を間接的に奪い、食い殺している行為に他ならないんだよ!


私たちは!全員!例外なく!人喰い豚なのだ!


豚ぁッッッッッッ!!!


だが。


その、豚自覚(ぶたじかく)に耐え切れるほど、人間の精神は強くはない!


自分が他者を食らい続ける化物であるという事実から目を逸らし、自らの生存を正当化するためには、絶対に狂わないコンパスが必要となる。そこで必要になるのが、理想論という名の愛なのだ。愛という大義名分を掲げることで、私たちは初めて、狂うことなく他者を食い殺し、血に塗れた明日を生きる権利を得るのである!


だがよね!


ここで私の思考は止まらないんだ!


私はさらに深い地獄の底まで見透かしている!


そこでさらに必要になるのが、「一般感覚」である!


自分がどれほど学と武を極め、完璧な外見を構築し、究極の愛という名の理想論を掲げていようとも、自分がいかに「お利口さん」な正論(ぶたねごと)を並べ立てようとも、この無慈悲な社会の大多数を占める凡愚の群れに受け入れられなければ、何の意味もない!


狂豚(くるいぶた)は、群れから排除されて死ぬだけだ!


狂気と真理を内包したまま、平然と日常という舞台で生活のふりをするためには、大衆が持つ凡庸で退屈な「一般感覚」を正確にトレースし、自らの内にインストールしなければならない!


さらに言えば、その、利己的で押し付けがましい一般感覚は、「他者の視点」がなければ成り立たない。自分が他者からどう見えているか。自分の振る舞いが、社会というシステムの中でどのようなノイズを発しているか。常に自らを上空から見下ろし、客観的なデータとして処理する冷徹な観測者の視点。それがなければ、一般感覚はすぐに独りよがりな妄想へと腐敗していく。


そして、これらすべての要素、すなわち学、武、外見、愛、一般感覚、他者視点。これらが完璧なバランスで組み上がったとしても、最後の最後、それを現実の物理法則の中に叩き込み、実際に引鉄を引き、他者の首を狩るための、悪魔的な、常軌を逸した、超越した「実行力」がないと、すべては机上の空論で終わるのだ!


そう!


これこそが、私が絶望と孤独の泥沼の中から掬い上げ、自らの血肉を代償にして完成させた、究極の宇宙の法則。「ヴェリタスの最終定理」の全貌である!


私は、自らが書き殴っていたあの小説のシリーズの登場人物たちに、この定理のすべてを込めたのだ!


ただの萌え・萌え・キャラクターでは、ない!


彼らは、私がこの狂った世界を解体し、再構築するために生み出した、概念の受肉そのものなのだ!


学を司り、世界の構造を論理で切り刻むのは、エラーラ・ヴェリタス。彼女の冷徹な知性は、この世界のあらゆる嘘と欺瞞を見破り、急所を的確に割り出す!


武を体現し、あらゆる障害を物理的に粉砕するのは、ナラティブ・ヴェリタス。その圧倒的な腕力は、エラーラが示した急所を容赦なく穿ち、自らの生存を確定させる!


理想論としての愛を掲げ、他者を食らう行為に大義を与えるのは、アリシア・ヴェリタス。彼女の存在があるからこそ、この闘争は単なる殺戮ではなく、生存権を懸けた至高の儀式となる!


一般感覚を持ち合わせ、狂気の論理を現実の社会に適合させるのは、アスナ・クライフォルト。彼女の凡庸さこそが、この強大すぎる力に対する最大の迷彩であり、社会の防壁をすり抜けるためのパスポートとなる!


他者視点を提供し、自らの外見と立ち位置を正確に測るレーダーとなるのは、ニーア・ヴェリタス。その澄み切った瞳は、周囲の欲望と恐怖を読み取り、自らの振る舞いを完璧なものへと修正し続ける!


そして、これらすべての要素を束ね上げ、いかなる躊躇もなく現実世界に血の雨を降らせる、超越した実行力。それこそが、私自身がなりたかった姿であり、私が生み出した最凶の怪物、ルキア・ブラックである!


これが、私が導き出した最終定理である。エラーラ、ナラティブ、アリシア、アスナ、ニーア、そしてルキア・ブラック。この六つの歯車が完全に噛み合った時、一人の人間は運命の奴隷であることをやめ、自らの意志で世界を食らい尽くす超越者へと変貌するのだ!


私を、ただの気狂い萌え萌え倶楽部の一員だと断じたあんたたちは、甘かったね!


私は、遺書を仕上げていたから、百鬼夜行(エレクトリカルパレード)をしている暇なんかなかったんだよ!


……百合だとか、ケモノだとか、BLだとか!わけのわからねえ、オナニーやセックスを、さも崇高と語るあんたたちは、あまりにも……あまりにも……馬鹿だよね!


ぼくちんの推しの、ゆかりちゃんは、攻め?


あたちの推しの、たかしくんは、受け?


おまいが描いたおっぱいが、でかすぎる?


その逆カプは、リスペクトがない?


あああああん???


知らねえよ!!!


お前はヤクザか???


自分のオナニーが正しいと言いながら人にぶつかりまくるヤクザか???


てめえが生きることにリスペクトが「ない」から、そんな枝葉末節にこだわってんじゃねえか!


そうだよなああああ!!!


てめえらは、その、推しが半身不随になったら捨てるぜといった、悪魔の(ツラ)をしてるじゃねえかッッッ!!!


お前らには!愛なんかねえんだよ!


オナニーと、加害を、「あたしのオナニーは、オナニーじゃないわよッ!」と、胸を張って語る、その、ケツのように分厚くて臭くて汚い(ツラ)は、いったいなんなんだ!


生きてて恥ずかしくねえのかッッッ!!!!!!


死ねよやッッッ!!!!!!


いや!


貴様らは、生まれてから、今日のこの日まで、一秒たりとも生きていねえええんだよ!!!!!!


てめえらはなあ!最初から、死んでいたんだよ!!!!!!


てめえらは、頭が良いから、なんと、私の話を、あえて「何言ってるかわからない」と断じて切り捨てて、「受け取ってすらいない」んだよ!


未見レビュー!


てめえらは、世界を、他人を、社会を、コンテンツを、豚を、未見レビューしているんだ!


てめえらは、「性格が悪い」だけなんだよ!


私の話なんか、全てわかった上で、いや、想像で断じて、「何言ってるかわかんねえ」と、「あえて」言っているだけなんだ!


だから死ね!


…………


……


……だが、安心して欲しい。


前述の通り、私が、先に死ぬ。


だが、私は、負けたのではない。


この理不尽で、吐き気がするほど不条理な世界を相手に、最後の一瞬で完全なる「解答」を突きつけてやったのだ。


この「ヴェリタスの最終定理」こそが、私の生きた証であり、私がこの宇宙に刻み込む永遠の爪痕である。


あんたたちは、生きろ!


生きて、幸せを掴んで、希望の中に生き続けろ!

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