第七章 真実
私の村……カグラノ村は、
私の一族によって、暴力によって支配されていた。
家に代々伝わる妖刀……狂桜のお陰だ。狂桜には、持ったものをどんな奴でも刀の名人にするという恐ろしい力を宿していた。
その刀を使って、罪人と決めつけた人を処刑したり、言うことを聞かない人を切ったり、村中にお金を稼がせて自分たちは何もしないで金を稼いだ。
狂桜は……私の一族のことを、憎んでいた。
本来、狂桜は私の先祖が、村を守るために生み出したものだった。でも、いつしかその力は悪用され、現状に至る。
そして——
私は、本当に刀の天才だった。
今まで私の一族の当主は、刀の力で威張ってこれた。
だが、グリザイユは本当に刀の名人の素質を持っていた。
——だから、刀が選んだ。
狂桜は、私の体を飲み込み——多くの人を殺させた。まずは、私の一族全員。そして——「救う」ために、村中の人々を殺した。
多くの人が、私から逃げ惑う。だが、すかさず追いついて切り伏せる。
こうして——村人全員、約五百人。その命を……私は……
「ハア……ハア……!!!」
体が震える。声が出ない。私は……私は……。
ちょっと刀に触ってみたかっただけだった。「正義」のために、あんなに多くの人を殺すなんて思わなかった。まさか……あんな惨状になるなんて……。
その日の記憶は、今日という今まで都合のいい記憶にすり替わっていた。親と大喧嘩して、狂桜を盗んできたという都合のいい、幸せな妄想に——
「う……オエッ……」
嘔吐する。気持ち悪くて、このまま内臓全部がのどから出てきそうだ。
そして。
《……やっと思い出したか……》
「ハア……ハア……テメエッ!!!」
ガシャン!!と音がする。私は、オリの柱に掴みかかっていた。
「よくも私を洗脳して……!多くの人を殺させたなッ!!!」
《……お前の為でもあったんだ。グリザイユ》
「ハア……!?」
《お前は……親が良くないことをしていることに感づいていただろう?その優しい心……そして刀の実力……まさに、私とお前は運命共同体だ》
「……チッ!!」
大きく舌打ちをする。
「何が正義の道を歩むのを助ける、だよ……!?大勢の命を奪っておいてッ!!」
《……あの村人はな。他の村の人から金を巻き上げていたんだ》
「何……?」
狂桜はゆっくりと語る。
《下僕には、更に下僕がいる……自分が切られないために、近くの村の金品を暴力で奪っていたらしい》
「だからといって……」
《それにな》
《お前は覚えていないかもしれなが……あの日、血まみれになって村から出て来た時……ふもとの村人全員が、お前に泣いて感謝したんだぞ》
……記憶がよみがえる。そういえば、そうだった。村人全員を殺したと言ったら、その村の人は泣いて喜んでいた。
「……」
《正義とは、難しいな?グリザイユ……》
「……うるせえ。一旦、出せ」
狂桜を手に取る。そして……。
ジャキンッ!オリを切る。そして、外に出る。
「……みんなに謝らないとッ……」
頭には、皆の顔が浮かんだ。カゲエちゃん、ミライ・ユ、キアロ、トロンプ、バロロさん……。
——皆には、本当に申し訳ないことをした。許してもらえないかもしれない。追い出されるかもしれない。でも……謝らなければ。
そのまま部屋を出ると……何やら声が聞こえた。行ってみると、テレビだった。
「つけっぱなしかよ。……ん?なんだコレ……?」
緊急速報、巨大竜巻が魔法都市を襲撃……。
コレだ。
私は狂桜に話しかける。
「おい……狂桜」
《……なんだ》
「……今度こそ、本当の正義の道を歩まないか?」
《何……?》
私は息をのむ。
そして。
「お前の本当の力を……私に貸してくれ」
《……》
狂桜は一瞬黙った。
そして。
《はは……》
《それでこそ私の末裔だ……》
次の瞬間、狂桜は光だした。
そして、新たな姿へと変貌する。
そこには——
これから、英雄になりに行く男の姿があった。




