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森の結婚式と永遠の誓い

1. 女神への回答


朝日が昇りきった頃、俺たちは再び世界樹の前に立った。 シルフィの手は、俺の手を痛いほど強く握りしめている。


光の粒子が集まり、女神の姿が顕現した。 『おはようございます、農家さん。……答えは出ましたか?』


俺はシルフィと顔を見合わせ、頷いた。


「ああ。俺は帰らない」 俺は女神を真っ直ぐに見据えた。 「便利な生活も、懐かしい故郷も魅力的だ。でも、俺にはここでやり残したことがある」


『それは?』


「こいつと一緒に、世界一美味い野菜を育てることだ」


俺の答えに、女神は満足そうに目を細めた。 『ふふっ。それが聞きたかったのです。あなたが「戦うため」ではなく、「愛するため」にこの世界に残ると決めたことが、何よりの希望ですから』


2. 【祝福】純白のドレス


女神はシルフィに向き直った。 『異世界の魂を愛し、繋ぎ止めてくれたあなたにも、祝福を』


女神が指を鳴らすと、世界樹から降り注ぐ光がシルフィを包み込んだ。 泥だらけだった服が分解され、光の糸となって再構築されていく。


「えっ、わわっ!?」


光が晴れた時、そこにいたのは純白の衣装に身を包んだシルフィだった。 ふわりと広がるスカート、透き通るようなレースのベール。 それは、俺の知る**「ウェディングドレス」**そのものだった。


「きれい……。これ、私が着ていいの?」 シルフィがおずおずとスカートをつまむ。


「ああ、最高に似合ってる」 俺は見惚れていた。いつもの活発な彼女もいいが、今日の彼女は森の女神のように美しかった。


3. ハイエルフの本気


「まあっ!! なんて美しい……!!」


そこへ、様子を伺っていたエリシアたちが駆け寄ってきた。 ドレス姿の妹を見た瞬間、エリシアの「姉バカ」スイッチが入った。


「決まりましたわ! 今すぐここで結婚式を挙げます! 神官団、総員配置につきなさい! 最高の式典にしますわよ!」 「ええっ!? 今すぐ!?」


「当たり前です! 世界樹様と精霊様が見守る中での挙式など、歴史上ありえません! ……ポン太さん、資材を!」 「はいです! 商会の在庫を全て開放するです! お祝いの宴だー!」


静かだった都が、一瞬にしてお祭り騒ぎになった。


4. 農具で作る愛の証


「カイト様、これを使うです!」 ポン太が差し出したのは、銀色に輝く金属の塊だった。 『ミスリル銀:魔力を通しやすく、永遠に錆びない金属』


「ありがとう。……よし、やるか」


俺は【万能農具】を『彫金ハンマー』と『ノミ』に変化させた。 農具は農業だけでなく、「暮らしに必要なもの」なら何でも作れる。 指輪だって、二人の未来を「耕す」ための道具だ。


カン、カン、カン……


繊細な音が響く。 俺は二人の指のサイズに合わせてリングを削り出し、表面に小さなツタの模様を刻んだ。 仕上げに、小さな「世界樹の木片」を埋め込む。


完成したのは、素朴だが温かみのある、世界に一つだけのペアリングだ。


5. 【挙式】世界樹の下で


準備は整った。 世界樹の根元に作られた祭壇。 エリシアが神官として前に立ち、ピコが空から光る花びらを撒いている。


俺とシルフィは、参列者たちの間を歩いた。 ハイエルフたち、ポン太、そして森の動物たちも顔を出している。


「……緊張する?」 「ううん。カイトが隣にいるから平気」


シルフィがベール越しに微笑む。 祭壇の前で、エリシアが咳払いをした。


「えー、本来なら長い説教をするところですが……お二人の絆に言葉は不要でしょう。誓いの言葉を」


俺はシルフィの手を取り、指輪を嵌めた。


「シルフィ。俺は異世界から来た、ただの農家だ。剣も魔法も使えないけど……一生、お前の胃袋と心を満たすことを誓う。病める時も健やかなる時も、収穫の時も」


会場からクスクスと笑い声が漏れる。俺らしい誓いだ。 シルフィも俺の指に指輪を嵌め、潤んだ瞳で見上げてきた。


「私は、カイトがどこの世界の人でも構わない。あなたが作るご飯と、あなたが作る未来が大好き。……ずっと、あなたの隣で笑ってることを誓います」


6. 永遠のキス


「では、誓いの口づけを」


俺はベールを上げ、彼女の唇に触れた。 世界樹がざわめき、黄金の葉が舞い落ちる。 女神が遠くで微笑んでいるのが見えた。


「「「おめでとう!!!」」」


割れんばかりの拍手と歓声。 シルフィが俺の胸に飛び込み、俺は彼女を抱き上げた。


「カイト! 愛してる!」 「俺もだ、シルフィ!」


青い空、緑の森、そして黄金の世界樹。 俺たちのスローライフは、ここで一つの完成を迎え、そして新しい「家族」の物語へと続いていく。

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