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第249話 破壊竜の叫び



足元の床は亀裂だらけとなってしまい、もはや無事な場所を探す方が難しい。

そんな咆哮を受けても囲んでいる幾多の白剣。あの数が一度に降って来ようものならたまったものではい。


「ちっ!」


魔王のブレスが炸裂し避ける。


+8の撃技を纏った夢幻斬を受けてなお、まだ致命的ではないようだ。

深く魔王の身体に傷を付けたが、平然と動く。なら、封神玉を壊せないでいたらどうなっていたことか。


続いて迅斬波、破砕の斬撃より速技を解放し魔王を翻弄しつつ次の攻撃の構え。

攻斬波、烈焔の塵は黒翼を焼き斬っていく。


さらには光化した斬撃が魔王の頭を捉えるーーが、魔王本体から溢れ出した闇の炎によって消え失せる。

光が闇に強いということは、逆もまた然りということか。

初めて見たクランの悲痛の表情がそれを表しているようだ。


「シン! もうこの場所も危ない! 私の能力もこれで最後よ!」


そう言って、メアが魔王の元に向かっていく。


「馬鹿!」


が、そんな俺の言葉とは裏腹に、メアは良い仕事をしてくれた。

絶対零度、メアがそう叫んだ直後、魔王の身体が3分の1ほど凍りと化した。

好機!


夢幻斬、降魔!

グレイロットで夢幻斬を取得して以降、俺はアスティオンから流れて来る声を聞いていた。言葉ではない。

それはまるで、直接俺の意識に語りかけるようにして、剣技のイメージを与えて来る。

降魔は俺たちがファントムドラゴンの幻想と戦っていた時に流れて来た斬撃のイメージ。





遂に……




魔王がーー黒龍が落ちる。



それに伴って、周囲にあった幾多の白剣が塵となって小雨のような音を鳴らして消え去っていく。


その後、床が大きく崩れ始め、俺たちは一先ずその場を離脱した。





魔王と戦ったフロアが崩壊。それに伴い、渡り廊下の急斜面が連鎖するように崩壊していった。

そして俺たちは今、5フロアにてロジェたちと合流していた。

が、其処にテリーの姿はない。

イクリプスドラゴンと融合したベリアルとの戦いでテリーは殉職をした。

勇しく、テリーらしい最後だったとラキは頬に涙を伝わせながら言っていた。

あのテリーがやられるなんて……

俺もラキに釣られてしまうように込み上げるものがあったが、涙までは出なかった。


それに、悲しんでいる場合ではない。

さっきからずっと続く揺れ。

次第にその揺れは大きくなり、俺たちは魔王の城を降りていく。


その際、まだ生き残る魔物が襲って来るものの、さすがにこの勇者の数。

相手にするまでもなく、去っていってしまう。

その後も恐れることなく向かって来る魔物はいたのだが、手応えがまるでなくなっていた。

これが封神玉が壊れたことが理由だとすると、その影響はかなり大きいと見える。

魔王もまさか破壊されるとは思っていなかったのだろう。

“解錠”という能力を持ち、尚且つ魔王の元まで辿り着く者。だが、俺たちは魔王の城を攻略しその頂上まで辿り着いた。

これも仲間やロジェたちのおかげ。魔物撲滅本部の勇者たちも忘れてはならない。


後、1フロア。

上へ向かう時に比べ降りていく時間はそうかからなかった。

そして一階にはケルベロスが鎖を繋がせいたが、俺はその鎖を解錠した。

一瞬、向かって来る様子は見せた。が、ケルベロスは背を向けて行ってしまった。

メアがなんで鎖を外したのと聞いて来るので、何となくだと手短に話を終わらせた。


そうして魔王の城から脱出する。





「ーー魔王は倒せたけど、私たちこれからどうなるの?」


「そうだな……今は成り行きを見てるしかない」


魔王の城は形を崩し、以前と比べると見る影もない。

そんな時、また大きく地面が揺れた。

これはただ事ではないな。


此処は海の下。俺たちが溺れ死ぬのも時間の問題だ。

上には魔王によって大きく付けられたヒビがあり、その上この揺れ。

帰ろうにも俺たちが乗って来た船は大破してしまっている。


「……何か聞こえる」


セシルが耳を立ててそう言い出す。


「なんだ?」


と、俺も耳を集中させる。


その時だった。

大気を割るほどの叫びが辺り一帯に響き渡る。


「ーーなんだったんだ?」


叫びはすぐに収まったが、地面の揺れが酷くなって来た。

だがその揺れも次第に収まっていく。


……まさか、まだ生きてるのか?

俺たちが聞いた声とはまるで違っていたが、あんな叫び魔王くらいしか思い付かない。


「ーー全てを破壊に導く黒き竜。混沌とするこの世を無に還し新たなる闇の時代を迎わせる」


「ロジェ、何を言い出すんだ?」


「魔竜が何故、災厄と呼ばれるのかーーそれは破壊竜の存在があるからだ」


「破壊竜……何も問題ないな。魔竜なら、魔王より下だってことだろ? なら倒せる」


魔物の生態系には魔王をトップとし、その下に魔竜、そして魔人、悪魔族と続くピラミッドとなっている。

……なのだが、ロジェは苦い表情をする。


「ーーシン、物事の通りはいつも唐突に変わるもんだ。破壊竜とはーー」





破壊竜、黙示録に記されている黒き魔竜。破壊を司る神などと比喩されており、その魔竜の存在を知る者たちからは畏怖の化身などと言われている。裏の魔王などとも囁かれており、その叫びを聞いた後、人類終焉のカウントダウンが始まるという。

つまり、既にそのカウントダウンが始まった。


破壊竜は大昔に一度だけその姿を地上で目撃されたことがあるらしく、その姿は悍しく、通過した後の森に生息していた魔物の凶暴性が異常に高くなり、自然災害も各地で発生した。

魔竜でありながら魔王と対等な立場にあり、初代魔王がいた時代から何処かに生息していたとも言われているようだ。

だが、破壊竜がその力を振るったのは大昔に現れたその時だけで、各国は世に災害だったと公表した。

海を割り大津波を起こし、多くの人々が亡くなった大地震を引き起こした大昔の話。俺はてっきり本当に災害だと思っていたのだから驚きだ。


俺たちがロジェから話を聞いている最中、同じくしてこの浮遊島に来ていた者たちが集まっていた。

その多くは魔物撲滅本部の勇者であり、ロジェたちの同志である革命軍もいた。


その後は多くの者たちの助け合いの元、地上への脱出を遂行した。



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