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奪われた日常~広がるゾンビ達の狂気~  作者: オリオン
2日目、安全地帯を求めて
13/30

覚悟

悪夢を見て、我を忘れて皆に抱きついた私。

それから少しして、冷静さを取り戻してきた。


「どう? 落ち着いてきた?」

「うん・・・ごめん、いきなり抱きついちゃって」

「いいえ! 別に何の問題も無いよ! むしろもっと抱きついてくれてもいい!」

「え?」

「あぁ、ご、ごめん、それで、なんであんなに泣いちゃってたの?」

「実は」


私は悪夢の事を皆に話した。

あまり思い出したくもないけど、話したらすっきりすると思ったし。


「ふーん、そんな夢を・・・」

「晴姉ちゃん、怖い夢を見ても大丈夫だよ、皆居るから」

「こんな状況ですし、そんな夢を見てしまってもおかしくはありませんね」

「確かに私もこの状況を夢だったらいいのにって思いますよ」


皆は私の話を真剣に聞いてくれた、こんな状況だから聞いてくれたのかな?


「ありがとう、真剣に聞いてくれて」

「友達の話だからね、真剣に聞くよ」

「それにしても、晴さんはかなり消耗しているようですね」

「そうみたいですね、晴先輩、大丈夫ですか?」

「私は大丈夫・・・あれ?」


私は自分の腕を見てみた、そして、包帯が私の腕にしてあった。

あの時ゾンビに噛まれた場所・・・結構血が出ていたよね。


「あぁ、包帯が気になります?」

「はい、あの、あんなに血が沢山出ていたのに、あまり血で汚れてないから・・・」

「あなたがゾンビに噛まれた後、私達は安全だった4階に戻って、包帯を探したんだ」

「それで、ようやく見つかって、包帯を巻こうとしたときには、もう傷が結構治ってたんだよ」

「え? あ、あんな傷だったのに?」

「そう、だからおかしいなとは思ったんだけど、すぐに包帯を巻いてね」


あんなに沢山血が出ていたのに、ほんの少しの間に結構治るなんて・・・

一体どうしてだろう・・・こんなに傷の治りは良くなかった。

そもそも、そんなすぐに傷が治るなんておかしいよね・・・


「どうしてか分かる?」

「分からないね、でも、治ったって事は良いことだし」

「う、うん、そうだよね・・・」


私は少しだけ無茶をして笑顔を作って見せた。

でも、多分そんなに上手い笑顔じゃ無かったんだと思う、それは皆の表情で分かった。

皆も少し無茶をしたような表情を見せていたから・・・


「・・・・・・」


もしかしたら、私はもうゾンビになっているのかもね・・・こんな治りはおかしいし。

でも、私はまだ人の意識がある・・・でも、その内・・・ゾンビになっちゃうかも知れない。

やっぱり、私はここに居ない方が・・・私がそんな事を思っていると、久美ちゃんに肩を掴まれた。


「な、なに?」

「晴、私達から離れようって思ったでしょ?」

「え? そ、そんな事・・・」

「やっぱり・・・晴、大丈夫、あなたは人間、ゾンビじゃない」

「でも、もしかしたら私・・・ゆっくりとゾンビになっていくかも知れないんだよ!?

 傷がこんなにすぐ早く治るなんておかしいし! 思い返してみれば、力も強くなってる・・・

 こんなの! 私じゃない! 皆だって分かってるでしょ!? 私がおかしいのは!」

「晴さん、大丈夫ですよ、大丈夫、あなたは人間ですから」

「うぅ・・・・・・うぅ!」

「晴姉ちゃん」


真由美ちゃんが凄く心配そうな表情で私を見ている・・・そうだよ、しっかりしないと・・・

弱気になってどうする・・・そうだよ、考えてみれば、まだ私には意識があるんだ。

それに、傷の治りも早いんだ・・・噛まれてもゾンビにならない、いや、なるかも知れないけど

多分、まだ先・・・気持ち悪いとかそういうのはないし・・・そういう風になったら駄目だけど。

そうならないなら、私はずっと動ける、ゾンビにならないでずっと・・・

だったら・・・だったら! 私は皆を助けるために頑張らないと!


「・・・ごめん・・・そうだよね、私はまだ人間なんだ」

「そうですよ」

「それに、ゾンビになるのも遅い・・・だから、ゾンビになっても良いから・・・皆を守らないとね・・・」

「何を言ってるの?」

「私は大きな怪我をしてもすぐ治るし、ゾンビになるのも遅いなら、私が皆を守る

 力持ちになったから、戦う事も出来る・・・だから、私が皆を守るから!」

「晴・・・」


こうなったら、もうゾンビになっても良いから! 絶対に皆を守らないと!


「私、頑張るから!」

「晴先輩、無茶はしないで下さいね、5階の事を考えるといくら回復速度が速くても傷を受けすぎると

 死ぬ危険性も十分ありますよ」

「・・・わ、分かってる、でも、私だけが噛まれても大丈夫だから、無茶でも頑張る!」

「晴・・・私はあなたを守るて言った、だから、私はあなたを守る」

「でも、久美ちゃんは」

「分かってる、でも、私はあなたを守るわ」


久美ちゃんは私の方をジッと見てそう言った。

久美ちゃん、私はすぐにはゾンビにならないけど、久美ちゃんはすぐにゾンビになっちゃうかも知れない。


「駄目だよ! 久美ちゃんは!」

「私が勝手にあなたを守るの! それに、お互いを守った方が良いでしょ!?」

「そうだけど、でも・・・」

「親友なんだからさ、私も頼って?」

「久美ちゃん・・・分かったよ、でも、久美ちゃんは噛まれたら終わりかも知れないんだよ?」

「それは分かってるわ」


久美ちゃんは私を守ってくれるって言ってくれた。

私がゾンビになるかも知れないのに、守ってくれるって。

本当は絶対に駄目って言わないと駄目なんだろうけど、私は嬉しかった。

だから、私は久美ちゃんに守って貰うことにした。

だから、私も久美ちゃんを守る、いや、久美ちゃんだけじゃない、皆守る!

私だけなんだ・・・私だけ噛まれても動ける・・・だから、皆を私が守らないと!

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