第5話 恋が始まった夜
和希の姿を見ていた時、
すごいタイミングでリサからの
電話が鳴った。
え!もしかしてリサもどこかから見てる?
あたりをキョロキョロした。
また、何も悪いことしていないのに、
ちょっと焦って
恐る恐る、電話にでた。
リサは最近、家を買ったので
高校時代の友達を誘ってBBQをしようという連絡だった。
なーんや良かった。
私が和希を見てた事は気づかれてはいなかった。
安堵して、参加の返事をした。
−−−
5/5日、快晴
絶好のBBQ日和
オシャレなウッドデッキで、
美味しそうなお肉を前に、
キンキンに冷えたビールを掲げて、
「かんぱーーーい」
高校時代のイツメン。
久しぶりすぎて、楽しくて
お酒が進んだ
すると、
「めちゃ良いにおいする〜」と
お肉の焼けた匂いにつられて
どこからともなく、突然、和希が現れた。
「これ良かったらみんなで食べて」と
お刺身を持ってきてくれた。
和希のお父さんは漁師。
すごく新鮮なお刺身にみんな大興奮。
「ありがと~」「おいしそ〜」
「大きくなったなぁ〜」「背伸びたなぁ〜」「何歳になった?」
みんなが口々に和希に話かけた
和希がみんなと楽しそうに話している姿を遠くから見て、
私もリサも泣きそうになった。
シンが「和希ものんでけ〜」と上機嫌で言った。
和希は、義兄シンにはイエスマン。
ちょっど、冷蔵庫の前に突っ立っていた私が
缶ビールを出して和希に手渡した。
「はい」
「ありがと」
その一瞬、小指が触れた。たったそれだけ。
なのに、私の胸が小さくはねた。
和希に気づかれた気がして、私は慌ててビールを飲んだ。
リサにも気づかれてないか、一応リサの方も見た。
シン「和、ここ座れ〜」と言って席をあけた。
私の隣の席。
え?となり、、
「おつかれ〜」と言いながら2人で小さく乾杯したら、和希は一気に1本飲み干した
「え!はやっ」
「ぬるくなったらまずいやん」
「確かに。私のもうぬるい」
と言うと私の缶ビールを取り上げ、
そのぬるいビールも一気に飲み干した。
冷蔵庫の近くにいたリサに
「ビール2本とって〜」
と言って、私に冷たいビールをくれた。
「姉を使うな」
と言って誤魔化したけど
本当は、ちょっとキュンとした。
その後もみんなでくだらない話ばかりして
ただただ笑った。
和希も笑っていた。
こんな日がくるとは、
暗黒時代には想像できなかった。
−−−
「真子、大丈夫?目ヤバいで〜」
和希が私の顔を覗き込んだ
「大丈夫じゃないかも〜10代に戻っちゃうかも〜」
「だいぶきとるな〜。もう飲まんとき〜」
と言ってまたビールを取り上げられた。
みんなもいい感じに出来上がり、
シンの一声でお開きになった。
お酒大好きな和希は
エンジンがかかってきたらしく
これから1人で飲みに行くと言い出した。
「じゃー真子のタクシーに一緒に乗ってけー」
とシンがえらっそうに言った。
「いい?」
「うんいいよ。この前ハンバーガー奢ってもらったから、タクシー代出すわ」
「ラッキー」
私が帰るタクシーに一緒に乗って行く事になった。
−−−
夜風が気持ちよく
満月がとてもキレイな夜。
近くのコンビニまで和希と歩いた。
ちゃっかり道路側を歩いてくれてる。
真っ直ぐ歩けなくて、
何度か和希の体にぶつかった。
その度、肌と肌が触れた。
もっと触れたいかも
「和希ってこんなに背高かった?」
「高校でめちゃ伸びたけど、さすがにこの前会ってからは伸びてないでw」
「えーうそー絶対5cmは伸びとるってー」
「1ヶ月で5cm伸びてたらバケモンやんw」
「え?違うの?化け物やと思ってたw」
「ドブに落とすぞ」
と言って私を押した。
笑いながらホントに落とされそうになった。
でもちゃんと捕まえててくれて
和希の体が近かった。
私の頭が和希の肩くらい。
ちょうどいい。
−−−
待ってくれていたタクシーに乗り込むと、
突然
和希が手を握ってきた。
「えっ」小さい声がでた
和希の方をみると、和希は真っ直ぐ前を向いていた
「ホテルいこか」
和希が小さい声で言った。
パニックになって、一旦聞こえてないフリをした。
(え?からかわれてる?)
(誰かと間違えてる?)
(私、酔って幻覚みてる?)
(和希は酔ったら見境なくなるタイプ?)
(何て返すのが正解?)
和希がこっちを向いた
真面目な顔
からかわれてはなさそう
「いや?」
「いやって言うか、、、」
「じゃあ行こ」
正直、ちょっと嬉しかった。
男の人から、女性として誘われた事、
もう何年もなかったから。
いや、違う。
和希に女性として見られた事が嬉しかった。
私は
「うん」 と小さく頷いた。
−−−
が、、、だんだん冷静になってきた。
千円くらいしか持ってない。
メイク道具もない。
そして何より、パンツとブラがバラバラ。
1番楽な下着を選んだ事も思い出し
急に恥ずかしくなってきた。
どうしよう。
引かれないかな。
でも、一緒にいたい。
今日じゃないと2度と行けない気がする。




