第3話 コンサート
私には大好きな女性シンガーがいる。
国民的大スター。
コンサートチケットは全く取れない。
これまでに行けたのは
ファンクラブに入ってた時に1回きり。
今はもうファンクラブにも入ってないし、
どうせ無理だろうと思いつつも、、
地元のサンアリーナでの開催という情報を聞きつけ
チャレンジしないという選択肢はなかった。
販売当日、ソワソワしながら、
販売開始時間の少し前に仕事を抜け出し
トイレに駆け込んだ。
時間ピッタリに電話をした。
繋がった。
「やったー取れたー!!!」
思わず大きめの声が出てしまった。
もし、トイレに他の人がいたら
気になるワードすぎるだろう。
奇跡だ。奇跡すぎる。
人生の運を全て使い果たしてしまった気分。
2枚取れたので、リサと行く事にした。
リサも大喜びしていた。
その日から仕事、家事、育児がとてもはかどった。
リサとオソロの服を買い、
コンサート用グッズやうちわを作って、
準備万端でコンサート前日。
ん? 何か体がおかしい、、気持ち悪い、、
お腹が痛い、、、吐き気も、、、
娘も同じ症状で学校を早退してきた。
最悪の予感しかしない。
2人で病院に行った。
人生初の食あたり、、、
大大大大ピンチ。
点滴はしてもらったが、
お医者さんにも明日のコンサートは無理だろうと言われた。
ガーーーーーーーン
2人とも吐き続け、何も食べれず
飲んだ物もすぐに全部でてしまう。
外出するのは不可能なレベル。
私は薬飲んで、意地でも行こうかと思ったけど
さすがにこの状態の娘を預けては行けない。。
断念する事に決め、
泣く泣くリサに電話した。
「えーー?まじ?大丈夫?明日まで様子みる?」
「いや、もう無理やと思うから他の人探して。
本当ごめん。」
悔しさ、哀しさ、体調の悪さで涙が出てきた。
最上階まで上げられて、
地下30階くらいにに落とされた気分。
食欲もなく、出すものも全部出しきって
3キロやせた。
−−−
ドタキャンしまった申し訳なさと
行けなかった悔しさ、
リサだけ行った妬ましさ、
色んな感情が相まって、
あの日以来
リサに連絡していなかった。
何もなかったかのように、
日常生活に戻り、お互い家事育児
仕事と忙しい毎日に追われる日々を過ごした。
−−−
また胸騒ぎがした。
すると
リサから久しぶりに電話がかかってきた。
恐る恐る電話にでた。
「真子〜、ありがと~」
リサの嬉しそうな声。第一声がそれだった
「何が?チケット代?」
お詫びにリサの分のチケット代も私が負担していた。今さら?
「和が、和希が、
やっと、外に出れるようになったんよ」
えーー予想の斜め上いった
何年かぶりに聞いた、その名前。
「えーーー良かったーー!!」
私もすごく嬉しくて声が弾んだ
「でも、何で?私何もしてないけど?」
「それがさ、、、」
私が行けなかったコンサート、
リサは一緒に行ってくれる人を必死で探したけど、
何せ前日、平日、昼間、みんな仕事や子育てで
行ける人がいなかったらしく
1人で行く勇気もないリサは、
最後に、ダメ元で弟の和希にお願いしたらしい。
引きこもりニートの和希は何の予定もなく
姉の困り果ててる姿を見てほっておけなかったみたで、付いてきてくれたらしい。
久しぶりに大勢の人の中に行くのはかなり勇気がいっただろう。
昔から、何だかんだ言って姉思いの和希。
最初はすぐ車に戻ると言っていた和希も
その方の魅力に引き込まれ、結局、コンサートを最後まで見たらしい。
私の作ったキラキラのうちわを持って。
その日から徐々に家族との会話が増え
ご飯も一緒にたべるようになるまでになった。
しかも、元々凝り性の和希は
ファンクラブに入って、過去のブルーレイも全て揃えたとか、、(後日談)
それまでのモヤモヤが一気に吹き飛び
「私、行けなくなってよかった」
心の奥底からそう思った。
神様、ありがとう。私を食あたりにしてくれて。
死にそうになった甲斐があった。




