第19話 イノシシ
そのまま歩きながら話した。
今日の和希は
すごく自分の事をさらけ出してくれる
「俺、人と深く関わるの苦手になったし、
深く関わってしまうかも
てなると、自分の中でストップがかかるみたい。
だから本当はもっと上手く付き合いたいのに
これ以上は怖い。ってなると
急に冷たくしてしまったり、距離置いてしまったり
してしまう。
嫌いとかじゃなくて、
自分を守るために。」
「そっか」
怖かったんか。
だから、いい感じになってくると
突然無視されたり
会うのを拒まれてたんや。
理解できた。
しばらく無言で歩いた。
−−−−−
突然、和希が立ち止まって私の方を向いたので
私も和希の方を向いた
「俺、変わり者やん。
そこは正直に「うん」と頷いた
この年で仕事もバイトやし、うつ歴あるし、
引きこもり歴あるし、
お酒に頼ってしまうとこもある。
今まで1回も実家から出たことないし、
過去の事があるから
おかんもリサも過保護になっとるし、、
女の気持ちも分からんし。
こんな俺が、誰を幸せにできるはずがない。」
「うんうん」と大きく頷いた
「俺は、真子には不釣り合いやと思う。
お前には、もっといい男が似合う。」
え?なにこの展開。
告ってもないのに、振られるやつ?
このすごくキレイな、お気に入りの場所で?
初デートで、フラれるの私?
それだけはやめて欲しい。
帰り道1時間もあるし。
気まずやん。
−−−−−
それでも和希の話は続く。
「ずっと、ずっとそう思ってたけど、
あいつと付き合かもって聞いて、
俺、頭に血がのぼっておかしくなりそうやった。
自分でもびっくりするくらい、
お前を渡してたまるかって思った。
真子は、俺が幸せするって決めた」
「え」
和希はそう言ってポケットに手を突っ込んだ
そして、私の右手を掴んで
薬指に指輪をはめた。
・・・ピッタリ
一呼吸おいて
・・・・
和希の緊張が伝わった。
「俺、こんなんやけど
真子にずっと一緒におって欲しい。
今までも、この先もずっと、俺にはお前が必要や。
俺、頑張るから。
お前を幸せにできるような男になるから。
俺と、、俺と、、、
結婚してください。」
私の思考は停止した。
けっ結婚?
何でこの人は、0か100なんだろう。
付き合う前に、結婚?
彼女おらんすぎて
順番バグってんのかな?
「ちょっと待って。一旦落ち着こ。
付き合うとかじゃなくて?
いきなり結婚?」
「俺の事、いや?」
いや?っていう聞き方はずるい。
いや?って聞かれたら
嫌ではないけど、、って言ってしまう。
「いやいや、
いやとかじゃなくて、ぶっ飛びすぎじゃない?」
和希が悲しそうな顔をしたのが分かった
「私、バツイチ、子持ち、4つも年上で・・・
和希には、もっと若くて、キレイな子と結婚して、子供産んで、幸せな家庭を築いて欲しい
って、リサもお母さんも、私も望んでる。」
「お前がバツイチ、子持ち、年上、リサのツレ
そんなん、ずっと前から知っとる。
全部分かった上で、
お前しか無理って言ってるんやけど。
あと、
お前が絶対リサの事気にすると思ったから、
先に家族に言ってきたから。
俺は真子と結婚するって。
もし、反対するなら、俺は縁を切って
家を出ていくって。」
「はぁ〜〜〜あ?」
あまりにもぶっ飛んだ回答に
びっくりしすぎて、変な声が出た。
この人、前世、イノシシなんかな?
「え、いつ言ったん?
リサ、何て?」
「お前が、遊園地行っとった日」
あ、覚悟決めて電話したって言ってたの
その事やったんや。
いきなり覚悟決めすぎやろ!
もうちょっと、段階を踏んで欲しい。
しかも、リサから何の連絡ないけど?
「みんな、びっくりしてたけど、
もう俺はもう人を好きになれやんやろなー
って、勝手に諦められとったみたいで
結婚するなんて言葉が出てくると思ってなかったって。
喜んでた。
あんたにまた好きな人が出来て、嬉しいって。
でも、真子が和希でいいって言うかは分からんよ?
その覚悟はしときな。って言われた。」
「え?反対は?」
「なんも。
逆にみんな俺が振られる事を心配しとる。
だからお前、俺を振ったらリサに絶交されるかもな。笑」
「脅迫やん。
いやいや、渋滞しすぎて、全然追いつかんのやけど。
でも、私なんかでいいんや。リサもお母さんも。」
それはホッとした。
私は、平和ボケみたいに
仁と和希どっちと付き合うか迷って
幸せを感じてる段階で
初デートを楽しもうぐらいの感じやったのに、
和希はそんな事まで考えてたとは、、、
本当に変わってる。
今世紀、最大のサプライズ。
急な事で
なんて返事したらいいのかも分からないけど、
今はただ、和希を傷つける事だけは避けよ。
それだけに全集中しないと、
リサに殺される。
−−−−−
「俺、おかしいかな?」
「うん。おかしい。 って言うか、
焦りすぎてない?」
「チンタラしてたら、あいつに取られそうで。
もう俺2度とそういう思いしたくないから。」
やっぱり、また誰かに取られるのが怖くて
焦ってるんや。
私は何も言わず、和希をやさしく抱きしめた。
和希は私より強く抱きしめ返した。




