第18話 2人の海
2人の目的地についた。
車を止めて砂浜を歩いた。
気持ち良いそよ風、潮の香り、
真っ暗な海が、月のあかりで照らされて
キラキラ輝いてる。
空を見上げると満天の星空。
息をのむほど、美しい場所。
「気持ちいい〜」
やっぱりこの場所が好き。
「何でここ?」和希に聞かれた
「昔に、離婚直後くらいかなー
その頃、ちょっと病んでてさ、、
人生、上手くいかんし、
これこら私1人でまだ赤ちゃんのこの子を
ちゃんと育ていけるのかとか、
不安に押しつぶされそうになって。
行き先も決めずに、
車で走ってたら、ココに行き着いて。
この場所すごくキレイでさー
砂浜で寝転んでずっと星見てた。
そしたら、自分の悩みがすごく小さく思えてきて。
私が頑張るしかない。
この子と2人で生きてこ!
そんで、また悩んだ時はココにこればいいや。
って、自然と前向きに
前向きになれた。
私にとってはすごく特別な場所。
和希にも見せたかった。」
誰にも言った事なかったけど、
和希にはスラスラと言葉が出てきた。
−−−−−
「俺も。同じ。
真子に見せたかった。」
「俺らやばない?笑」
「うん。ヤバい。
リサとはよくこういう事あるけど」
「そーなん?遺伝かな?」
「兄弟で? そんな遺伝ある?笑」
腕を組みながらゆっくり歩いた。
ザーーーーッ ザーーーーーッ
さざ波の音に癒される。
何も話さなくても心地良い。
−−−−−
「俺、お前にずっと言いたかった事あるんやけど」
「何?怖いんやけど」
歩きながら話を続けた
「俺さ、、昔、落ちてた時あるやん」
「うん」
「その時、毎日1人で暗い闇の中にいて
誰と話すのも怖くて
こんな思いしてまで
何のために生きやなあかんのか
分からんなって、、、
生きとるだけでみんなにも迷惑かけるし
もういいかなー
って思った。」
和希は詰まりながらゆっくり話を続けた。
「うん」
「毎日酒ばっかのんでさ。
生きる気力もなくなって」
「うん」
「それで、、お前と同じように
ココに行き着いた。」
本当に?そんな同じような事があるんや
「でも、、
そしたら、すごくキレイで、、
こんなところでは死んだら、申し訳ない
っておもって」
「そうやったんや」
「朝までココに寝転がって、
宇宙ってこんなに広くて、こんなにいっぱい星あって
月がこんなに輝いて
水面がキラキラ光って
海がとてつもなく大きくて、
俺はこんなに暗くて小さな場所にこもって
何をしてるやろ、、、って」
「うん」
「もうちょっとだけ、
自分の世界を広げてみよかな。って思った。
前向きになれた、
特別な場所」
「一緒やな」
「うん。俺ら運命ちゃう?
その話、まだ続きがあんねん。
そしたら、次の日
リサが泣きそうになりなから俺とこ来てさ
私と一緒にコンサート行って〜って。笑
何言うとん?コイツ
って思ったけど
俺に言ってくるぐらいやから、
よっぽど困ってるんやと思って、
何か、自分の中でもタイミングがちょうど
良くて」
「それで行ってくれやんや。
ありがとう」
「いや、こっちがありがとうやで。
本当に行って良かった。
無理やりにでも、きっかけがないと
動き出せやんかった。
〇〇が(大物シンガー)
汗だくで、声からしながら、全力で歌って、踊って
走り回って
誰かの心に響く歌を届けたい。って
一人でも多くの人の力になれれば
それが1番の喜びやって。そのために毎日
頑張ってる。
って言ってた。
こんなに人気者やのに、もうそんなに頑張らんでも一生暮らしていける
余裕はあるはずやのに
あんなに必死に、全力で生きてる姿みて、
心が震えた。
歌も言葉も、俺の心にはしっかり響いた。
あれのおかげで人生が変わり始めた。
だから、真子に救わてたと思ってる。
ありがとう。俺の為に
食中毒になってくれて。
それがずっと言いたかった」
「いや、和希の為になった訳ではないけど笑」
最後は笑いで終わった。
「本当にすごいよな。あの方のエネルギー」
「俺、その後すぐファンクラブに入ったもん」
「まじー笑」
「ブルーレイも全部揃えた」
「ガチ勢やん笑」
−−−−−
こんなに長く、真剣に、
和希も自分の事を話してくれて
私に感謝を伝えてくれて、胸がいっぱいになった。
そして、ここの場所は、
和希にとってもそういう場所やったんや。
私たちは本当に運命の相手かもしれない。
と思った。




