第17話 デート
考えに考え、やっと場所が決まった。
車で1時間程の所にある海。
和希とはゆっくり話がしたかった。
そこは、何kmにも渡る長い砂浜があり、
夏は人気の海水浴場。
海もキレイ。星もキレイ。月もキレイに見えて、
海に月が映って水面がキラキラ輝く。
私を救ってくれた海。
私のお気に入りの場所。
和希も気に入ってくれる気がした。
道中で一緒にコンビニも行けるし。
和希の要望も1つは叶えてあげられる。
−−−−−
デート当日、朝からソワソワ、ワクワクした。
ちゃんと下着の上下も揃えた。
仕事が終わったら和希が
迎えに来てくれる事になった。
仁の時よりもはるかに緊張する。
和希の仕事が終わる時間になって、手に汗がにじんできた。
「終わった〜今から行くー。作業服でいい?」
え?
「うん。いいよ〜」
あ、和希はそんな感じか。
1人でオシャレをしてしまった。
仁とのデートの時と同じ髪型にした。
キレイって言われたから。
「じゃあ直で向かうわ〜」
「ありがとう。待ってる〜」
10分くらいで来てくれた。
本当に、ザ・仕事終わりの格好。
素の和希をみて、私の緊張もとけていった。
「お疲れ〜ありがとう」
「おぅ」
髪型気付いてない?
褒め言葉は一切なかった。
オシャレしてるのにも気付いてない?
やっぱり仁とは違う。
そしてタバコ臭い車。
爽やかさは皆無。
全然違う。
「ココに夜ご飯たべに行きたい。」
と言って携帯を見せた。
「めちゃ美味しそうじゃない?」
海に行く途中にある、カジュアルなイタリアン。
和希が行かなさそうな、オシャレなお店。
「女ってこういう店好きやよな〜」
「いや?」
「全然いいよ。女とじゃないと入れやんから。
そういう店。 行ってみたい。
てか、俺、この服で大丈夫?」
「んー微妙かな〜 私はいいけど」
「家帰るのもめんどいし、どっかで上だけ買ってくわ」
「そやな!そうしよ」
「真子が選んで」
「オケ〜」
近くのユニクロに寄った。
初めて2人でお買い物。
店内にある大きな鏡に、並んだ2人の姿がうつった。
客観的に見たら、意外とお似合い。私たち
「これは? あ、白は汚すか〜」
「俺は子供か。
でも怖いから、それの黒にする」
「1回着てみる?」
「いや、めんどいからいい。入るやろ〜」
「後ろ向いて」
と言って肩幅を合わせた。
思ったより肩幅が広くて、大きな背中に
男を感じた。
「肩幅広いな」
「そう?」
「私より」
「そりゃそうやろ笑 男やで」
「真子も何か買う?」
「別に何もいらんけど、
そのロンT使えそうやし、私も同じの買おかな〜」
「似合う?」
と、体にあてて見せた
「こんなシンプルな服、似合わん奴おらんやろ」
じゃあ、似合うよって言ってくれたらいいのに。
言えないのが和希か。
レディースだと少し形が変わってしまうから、
私もメンズのSにした。
「貸して。俺が買う。デートやろ?」
「えーいいの?笑 じゃあ、買ってもーらお」
素直に甘えて、和希に寄り添った
「ありがとう」
と言って腕を組んだ。
嫌ではなさそう。
デートは男が支払う。が染み付いてる昭和の男。
お金を払って得意げな顔をしてる。
和希らしくて可愛い。
ペアルック。
一緒に着る事はないと思うけど、
繋がった感じがして、スキップしたい気分。
−−−−−
車に戻ったら、和希が作業服を脱ぎだした。
え、ここで?
こっちが恥ずかしくなって目をそらした。
「別に見てもらってもいいけど?
もう見られとるし、お前のも全部見たし 笑」
と和希がからかってきた。
たぶん、私の顔赤くなってる。
「どう?」
「うん!いいやん。黒似合うな」
想像以上にかっこ良かった。
ただのユニクロでの買物がこんなに楽しく思えたのは初めてだった。
これが初デートです。って言われても
十分満足なくらい。
コンビニやスーパーでも
和希となら最高のデート場所になったかも
と思った。
遊園地は、楽しい場所だから、
別に誰と行っても楽しい。
ユニクロは普段は楽しい場所ではないけど、
和希とだから楽しい。
−−−−−
しばらく走って、レストランについた。
和希は緊張してるのか、背筋がピンと伸びている、
「カジュアルなところやから、そんなに緊張せんでいいよ」
「別に緊張してないし」
「笑。何食べる?」
「選んで」
「じゃあコレにしよ」
2人でシェアして食べる、カップルコースがあったのでそれに決めた。
サラダやパスタはシェアになっていて大皿で
届いたので、
和希が慣れない手つきで取り分けてくれた。
きっと、男がリードしないと。
と思って頑張ってる笑
微笑ましい光景だった。
慣れた感じで、サラッと取り分けてくれるより、
たどたどしい方が、嬉しい。
和希の食べる姿を見ながら、笑い合って
同じ物を食べている事に、すごく幸せを感じた。
そして、やっぱり和希はパスタソースを服に飛ばしていた。
黒にしといて良かった〜。と笑い合った。
幸せだ。
(どこに行くか)よりも、(誰と行くか)
(何を食べるか)よりも、(誰と食べるか)
の方が重要だという事に、
デートの序盤で気付かされた。
デザートまで食べて、心身ともに満たされた。
ここも和希が男前に払ってくれた。
「ありがとう。ごちそうさま」
「おぅ」
車までのキョリも、腕を組んで歩いた。
−−−−−
ここからが本番。私の行きたい海。
すると和希が
「俺、行きたいとこあるんやけど」と言い出だした。
「え?コンビニ?」
「違う」
「ホテル?」
「アホか」
「でも、私も、この後行く所考えてあるんやけど」
「あ、そーなん。ごめんごめん。
メシで終わりかと思った笑
じゃあ、そこ行こ。俺のはまた今度でいい」
「ちなみに、どこ? 通り道なら寄ってこ」
「たぶん、通り道とかじゃない。
お前の行きたいとこはどこ?」
「私は、、、私のお気に入りの場所」
「ホテル?」
「違うわ〜!ばか。 海。」
「えっ!!!どこの?」
すごく驚いた様子
「〇〇ヶ浜、海きらい?」
「すげーーーー俺の行きたい所もそこ!
今日1びっくりした、いや過去1かも」
「まじ?すごすぎやん」
「奇跡やん」「すげーーーー」
子どものように興奮して、2人で何回も同じ事
を言った。
リサとはよくある事。
和希とは初めてのシンクロ。




