第14話
仁君に告白されてたら、まだ返事をできずにいる。
断るには惜しい程の逸材。
以前に好意のあった人。
付き合ってみたい。
和希の事も、、諦めたい。
諦めなきゃいけない。
でも、それ以上に、仁君のあの言葉が
刺さって抜けない。
バツイチ、子持ち、年上の私は
仁君の家族からも反対される事は間違いない。
そしてその時、みんなとの関係が崩れ、
私達はさらに傷つく。
若い頃だったら何も考えずにいけたかもしれない。
でも、今の私には無理。
大人になるって、どんどん選択肢が少なくなる事だと言うけれど、
本当にその通りだと思った。
心のままには動けない。
動いてはいけないと、自分の中の自分がストップをかける。
自制する。それが大人だから。
「仁君、ごめん。すごく嬉しかったけど、
やっぱり付き合えない」
と送った。
「理由聞かせて?あの人?」
「違う。」
和希と付き合うといえば良かったのかもしれないけど、ウソはつけなかった。
「もしかして俺の言った言葉、気にしてる?
まじで、自爆やん。俺」
「いや、それは事実やから、刺さったんやと思う」
「違うって。電話していい?」
返事をする前にかかってきた。
仁君と電話するのは初めて。
声が心地良かった。
「一旦、あの時俺が言った言葉は忘れて。
そういう意味じゃないから。」
「意味もなにも、事実やから。」
「いいから!一旦忘れて、デートしよ。
それから決めて」
「え!突然そっちの展開?」
「お願い。自爆したまま終わったら
俺、また後悔して、
ずっと忘れれなくなるから」
切ない声。
「そっか。分かった」
と言った。
和希に
仁君とは2度と会うなと言われたけど、
あれからも何も連絡ないし、
そもそも、あれは演技で、仁君は私のことを侮辱なんてしてない。
1回だけデートしてみよう。
そして
もう和希の事は諦めよう。
忘れよう。
和希が私を守ろうとしてくれて距離を置くことを
選んだなら、
私もそれに答えよう。
それが和希の為。みんなの為。自分の為。
「やったー。ありがとう。
最高のデートプラン考えとく」
「そんなに期待値上げて大丈夫?
それこそ自爆するで笑」
「任せろ!自信しかない」
「じゃあ、めーーっちゃ楽しみにしとくー」
と言って電話を切った。
暑さも落ち着き、私の好きな季節がやってきた。
少し肌寒くなってくる季節。
でもたぶん、和希は1番嫌いな季節。
元カノと友達に裏切られた季節。
だから私は和希といたら、一生、この季節が好きだとは言えないだろう。
カラッと晴れた午後の昼下がり、
仁君が家の近くまで迎えに来てくれた。
初めて乗る仁君の車。爽やかないい香り。
和希の車のようにタバコ臭くはない。
「何か今日の真子さん、めちゃキレイ」
和希の口からは絶対出てこない、くすぐったい褒め言葉。
いつもスレートの髪を、今日は巻いてみた。
和希だったらその変化にも気づかないだろう。
仁君はそういう事をサラッと言える子だ。
「えーいつもは?」
「相変わらず、って言えばよかったな。笑
でもホントに今日は一段とキレイ」
「ありがとう。照れるから、やめて。
仁君もいつもよりカッコイイ」
本当にそう思った。
「俺等、美男美女でお似合いじゃない?」
「自信過剰すぎーー笑」
と言って笑った。
でも、並んだ感じも和希より仁君の方が
しっくりくる。服のセンスも似ていて
お似合いな気はする。
Gパンに白シャツ、サングラス
シンプルなのに、運転してる横顔が絵になる。
こんな彼氏だったら、みんな羨ましがるだろう。
「このブレスレット可愛い」
私の手を握って太陽にかざすように上にあげた。
さりげないボディタッチ。
さすが上級者。
和希からの誕生日プレゼントとは言えなかった。
「やろ〜私も気に入ってる」
「誰からのプレゼント?」
「自分で買った」
ドキドキしながらウソをついた。
「真子さんって、誕生日いつ?」
「今日は、さん付けやめやん?デートやし」
「確かに笑 まこ?真子ちゃん?
年上やし呼び捨ては言いにくいから、
真子ちゃんにする」
和希は、4つも年上の私を普通に呼び捨てで
呼んでくる。
「じゃあ、私は年上やから、呼び捨てにする笑」
「やったぁ。その方がカップルみが出るな」
「で、真子ちゃん誕生日いつ?」
「7/10やよ。仁は?」
「俺は今日、10/1」
「えーーーー今日?おめでとう」
「だから、自分への誕生日プレゼントに
真子ちゃんとデートしたかった」
「プレゼントになればいいけど。笑」
「先に言っといたら、振られるとかはないやろ。
誕生日に、そんなひどい事する人おらんやろ笑」
「あーえーそういう作戦。。悪っ!笑」
確かに、今日は振れない。
振るつもりもなかったけど。
笑いながら話をしてたら、あっという間に目的地についた。
そこは、私の大好きな
「遊園地!」
私は絶叫マシンが大好き。
「私が好きなん覚えててくれたんや〜
昔みんなできたよなぁ〜」
「当たり前やん。俺も好きやし。」
そうだった。仁も好きだった。
一気にテンションがぶち上がった。




