5、手紙
『我が知恵の神へ向けて恐れ多くも手紙を送ってしまいました。
どうか許してください。
我が知恵の神の安寧なる生活を願って色々と手回しをいたことをご伝達したく送りました。
どうか許してください。
謝罪の言葉も並べ終わった所で説明致します。我が知恵の神の動向を陰ながら見守っていましたが、開口一番、到着一番倒れるものですから、怖くなりました。それで居ても立っても居られなく病院に運んだのは自分です。
どうか許してください。
いいや、私が伝えたいのはこういうことではないのです。自分が我が知恵の神の恩人あると自慢したい訳ではなくて、手回ししたことを報告しようと思ったのです。
これから報告します。自分は我が知恵の神が人間になったことを受け、今戸籍を作っておきました。戸籍謄本です。戸籍がなければ黒孩子です。我が知恵の神は一人っ子でもなくその世界にいないものですから、作らなければならないのです。これで我が知恵の神は知恵の神ではなくなった。人間になったと言えるかもしれませんが、自分に取って見れば今だに知恵の神であらせられるので、そう呼びます。
どうか許してください。
そしてこれに加えて勝手なことをしましたのでどうか許してください。
我が知恵の神の年齢は優に現存生物よりも遥か彼方でありますが、しかし、殊に見た目だけ抽出してしまえば稚い十四歳から二十歳程度に見えてしまうのです。だからこそ身を学校に置いてもいいかと愚考に至りました。
薫陶してもらうべきではなく身分としてそれが良いと思いました。ご勝手ながら入学手続きをしてしました。明日入学です。高校三年ほどです。標準偏差値六十程度の高校です。これを前提にしますと居住地も必要かと思います。
お金も必要かと思います。それは下記に住所を記しておくので行って見てください。通帳は同封して置きました。額は心もとないかと思いますがどうか許してください。
最後になりますが、これが自分が天に懇願して整えてもらったいわば退職金みたいなものです。本当に常々ご迷惑お掛けして申し訳ありませんでした。また仕事が空いたなら会いに行きます。
どうか許してください』




