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答えのない世界で、それでも僕らは歩き出す  作者: UTARO
第六章 祝福の値段
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Ⅶ残された課題

 オクシリア北西の荒野。


 日が傾き始めたころ。


 砂嵐の中、ミレアはゴーグルとマスクをつけ、前を歩く隊員について進んでいた。


 巻き上がる砂が服を叩く。


 一歩踏み出すたびに靴が沈み、足を取られた。


「パウナさん、これじゃほとんど前が見えないですよ」


「もう少しよ。この先に中継拠点があるから」


 パウナが振り返る。


 焼けた肌に、短い黒色の髪。


 捜索へ加わってから、ミレアと行動を共にしている隊員の一人だ。


「分かりました」


「さすがに疲れたでしょ?」


「疲れましたけど、まだいけます」


「若いわねぇ」


 パウナが前へ向き直る。


 砂煙の間に、馬に乗った隊員たちの姿が見え隠れしていた。


 ロスト体の捜索が始まって、今日で五日目。


 ミレアが参加したのは二日目からだった。


「今の学院では、こういう場所を歩く訓練もするの?」


「いえ。やったことはありません」


「私もオクシリアに配属されるまで、こんな場所を何日も歩いたことなかったもの」


 パウナが少し先を指した。


「ほら。見えてきたわよ」


 砂煙の向こうに、小さな光が揺れていた。


 その周囲には、いくつもの黒い影が並んでいる。


 馬車だ。


 さらに近づくと、その間に張られた簡易テントも見えてきた。


「やっと着いた……」


「今日はもう歩かなくて済むわよ」


 中継拠点へ入ると、隊員たちが馬から降り、荷台から荷物を下ろしていた。


 ミレアもゴーグルを外し、桃色の髪に入り込んだ砂を払った。


「目、痛くない?」


「大丈夫です」


「ならよかった。髪に入った砂は、なかなか取れないのよね」


 パウナも短い髪についた砂を払った。


「先に何か食べましょ」


◇


 砂嵐が収まった頃には、辺りはすっかり暗くなっていた。


 月明かりの下、いくつかの焚火が並んでいる。


 ミレアはその一つの前に座り、温めたスープを口へ運んだ。


「どう? オクシリアでの実習は」


 隣に座ったパウナが尋ねる。


「まだ砂ばっかりで、街は全然見てないんですけど」


「街に戻ったら、温泉に連れていってあげる。オクシリアは、いいところがたくさんあるのよ」


「いいですね。連れていってもらおうかな」


「星がすっごく綺麗に見えるところがあってね。そこで入ると、疲れも飛ぶわよ」


「それは楽しみですね」


 パウナが薪を一本、焚火へくべた。


 火が少し強くなる。


「卒業したら、どこの街で働きたい?」


「特にないです。どこに行っても、ちゃんと仕事ができるかの方が気になってて」


「私でもできてるくらいだから大丈夫よ」


「パウナさんは、もう何十年もやってるじゃないですか」


「長くやってるだけよ。私が学院生の時なんて、セントリア希望って書いたら、先生に『そんな成績で行けるか』って言われたのよ」


「それで、どうしたんですか?」


「『都市ならどこでもいいです』って書いたら、オクシリアになったの」


「そんな決まり方だったんですか?」


「そんなものよ。最初は砂と荒野のイメージしかなくて、正直嫌だったのよね」


「今は違うんですか?」


「全然違うわ。街は大きいし、何でも揃ってるし、人もあったかいのよ」


「それなら、戻るのが少し楽しみです」


 パウナはスープを一口飲んだ。


「そういえば、ミレアさんのクラスには男の子いるの?」


「いますよ」


「いいわねぇ。私の時なんて、なぜか女子ばっかりで。恋愛の『れ』の字もなかったのよ」


「恋愛ですか……」


「ミレアさん、気になる子とかいないの?」


 ミレアは少し考えた。


「いませんよ」


「余計なこと聞いちゃったかしら」


「いえ。ただ、こういう話には慣れてなくて……」


「なんか、おせっかいな身内みたいになっちゃったわね」


「そんなことないですよ」


 夜の荒野は少し肌寒かった。


 ミレアは残っていたスープを飲み干し、暗い荒野へ目を向けた。


「ロスト体って、頻繁に現れるんですか? 私、まだ見たことがなくて」


「最近は目撃情報が多いわね。前は数年に一度くらいだったのに」


 パウナが焚火へ手をかざす。


「私も一度だけ見たことがあるんだけど、異形の身体のどこかに、人だった頃の特徴が残ってるの。怖かったわ」


「あ、ごめんなさいね。怖がらせること言って」


「大丈夫です。知っておいた方がいいと思うので」


「でも、私たちは捜索が役目だから。見つけた後は、二級員以上の人たちが対応してくれるわ」


 少し離れた場所で、隊員が声を上げた。


「パウナ、交代だよ」


「あ、呼ばれちゃった」


 パウナが立ち上がる。


「ミレアさんは先に休んでいいわよ」


「はい。お疲れさまです」


◇


 夜が更けても、ミレアはまだ眠れず、テントの外で焚火のそばに座っていた。


 火は小さくなり、起きている隊員も少ない。


 拠点の外周では、見張りの隊員たちの隊服に走る青いラインが、暗闇に点々と浮かんでいた。


 風が砂の上を流れていく。


 夜の静けさが心地よかった。


 小さくなった火を眺めていると、頭の中がぼんやりしてくる。


 ……恋愛、か。


 今頃どうしてるんだろう。


 目を閉じかけた。


 ヒヒィィンッ!


 繋がれていた馬が突然暴れた。


「何……?」


「馬を押さえろ!」


 見張りの隊員が馬のもとへ駆け寄る。


 向こうの暗闇で、赤い光が地面を這うように近づいてきた。


「何かいるぞ!」


「撃て!」


 ドンッ!


 銃声が響く。


 ミレアも立ち上がり、腰の銃を抜いた。


 ドンッ!


 ドンッ!


「ロスト体、確認!」


「警戒態勢! 全員起こせ!」


 ミレアが目を凝らす。


 明かりの端へ、異形の姿が滑り込んできた。


 人の上半身。


 そこから下が、蛇のように細長く伸びている。


 黒ずんだ人肌に覆われた身体が地面を這い、異様に長い両腕を砂の上へ引きずっていた。


 目も鼻もない顔の中央には、赤いコアが剥き出しになっていた。


 コアの下には、大きな口が開いている。


 細く尖った歯が、隙間なく並んでいた。


「コアを狙え!」


 近くの隊員たちが一斉に銃を構え、パウナも銃口を向けた。


 ドンッ!


 ドンッ!


 銃弾がロスト体の身体へ当たった。


 蛇のような下半身が、とぐろを巻く。


 次の瞬間、身体ごと回転した。


 砂の上を引きずっていた長い腕が、横薙ぎに振られる。


「ぐっ!」


 数人の隊員が吹き飛んだ。


 一人が馬車へ背中から叩きつけられ、隊服の青いラインが激しく点滅した。


「この化け物が!」


 隊員が柄を抜いて刃を起動し、青く光ったブーツで一気に踏み込んだ。


 振り下ろした刃が、ロスト体の腕を斬りつける。


「くそっ、浅い!」


 隊員が着地した瞬間、ロスト体の下半身が足元へ伸びた。


「しまっ――」


 細長い身体が一気に巻きつく。


 締めつけられた隊服の青いラインが、点滅する。


「大丈夫! 今助けるわ!」


 パウナは銃を握ったまま、反対の手で柄を抜いて刃を起動した。


 青く光ったブーツで一気に間合いを詰め、赤いコアへ刃を振り下ろす。


 ギィンッ!


 硬い音が響き、刃が弾かれた。


「硬いわね……!」


 巻きついていた下半身がほどけ、隊員が砂の上へ落ちた。


 長い腕が跳ね上がり、パウナを掴む。


「パウナさん!」


 ロスト体が大きく口を開き、刃を握った腕へ食らいついた。


 隊服の青いラインが激しく点滅する。


「っ……!」


 ミレアが駆け出そうとした。


「行くな!」


 後ろから腕を掴まれる。


「でも、パウナさんが!」


 パウナに噛みついたまま、ロスト体が暗闇へ滑るように進んでいく。


 砂の上を引きずられながら、パウナが銃を向けた。


 ドンッ!


 ドンッ!


「離して! 離してぇっ!」


 青い光が遠ざかっていく。


「パウナ!」


 隊員の一人が叫んだ。


 パウナの悲鳴が、少しずつ小さくなっていった。


 暗闇の中で、青い光も見えなくなった。


 やがて、銃声も途絶えた。


「追います!」


 一人の隊員が馬へ向かう。


「追わないで!」


 班長の声が響いた。


「この暗さじゃ危険よ! 警戒陣形を組んで、夜が明けるまでここを動かないで!」


「はい!」


「襲われた方角と状況をまとめて! すぐ報告を上げる!」


◇


 夜が明けても、パウナは戻らなかった。


 中継拠点には、昨夜の跡が残っている。


 倒れた荷物。


 砂に残った血。


 馬車のそばでは、負傷した隊員たちが手当てを受けていた。


 脚へ巻かれた包帯が、赤く染まっている。


 昨夜ロスト体に巻きつかれた隊員は、胸を押さえ、苦しそうに息をしていた。


 朝には、数名の隊員を連れた執行員が到着していた。


 昨夜ロスト体が消えた方角を確認し、そのまま排除へ向かったとのことだった。


「ミレアさん」


 班長に呼ばれ、ミレアが振り向く。


「私たちの捜索はここまでよ」


「はい」


「このあとは、連絡用の中継地点をいくつか設けながらオクシリアへ戻るわ」


「負傷者は先に馬車で街へ戻すわ。ミレアさんには、付き添いをお願いしたいの」


 ミレアは負傷した隊員たちを見る。


「……分かりました」


 馬車へ向かう途中、ミレアは昨夜パウナが連れ去られた方角へ目を向けた。


◇


 オクシリア、AEGIS医療センター。


「ルーナさん! 痛み止め、急いで!」


「はい!」


 ルーナは医療セットを抱え、処置台へ駆け寄った。


 廊下には負傷した隊員が並び、呼び声が途切れない。


 入口から、また担架が運び込まれてくる。


「まだ来るのかい」


 看護師長が手袋を替えながら入口を見る。


「北西の荒野からです! 負傷者、六名!」


 担架と一緒に入ってきた隊員の後ろに、見覚えのある桃色の髪が見えた。


「ミレア……?」


 ミレアもルーナに気づいた。


 空いている処置台は、一つしかなかった。


 二つの担架が運び込まれる。


 一人は青白い顔で脚を押さえていた。巻かれた布から血が染み出し、担架にまで広がっている。


 もう一人は隊服の胸元が大きく裂け、胸が不自然にへこんでいた。目を閉じたまま、かすかに息をしている。


 脚を負傷した男が、担架の端を握った。


「頼む……早く……」


 ルーナは胸を負傷した男のそばに膝をつき、手を取った。


「聞こえますか?」


 返事はない。


 駆け寄った医師が呼吸と脈を確かめ、胸の傷を調べた。


「……この人は、もう助けられない」


 男の指が、ルーナの手の中でわずかに動いた。


「でも、まだ……」


「ルーナさん、こっちを手伝って!」


 看護師長は脚を負傷した男の傷を押さえていた。


「この人は、今なら助けられる!」


「……はい」


 ルーナは男の手を離し、看護師長と代わって傷を押さえた。


 押さえた布が、すぐに赤く染まる。


「もっとしっかり!」


「はい!」


 力を込めると、男が声を上げた。


「痛み止めを急いで!」


 看護師長が別の看護師へ指示を出す。


 ルーナは傷を押さえ続けた。


 隣の担架で、男の顔に白い布が掛けられた。


 ……さっきまで、生きていたのに。


 ルーナは唇を噛み、目の前の傷を押さえる手に力を込めた。


◇


 セントリア、中央研究所。


 エリオは作業机に広げた図面へ、細い線を引いていた。


 向かいにいた女性主任が、手元を覗き込む。


「エリオ君、だいぶ慣れてきたね」


「ありがとうございます」


 女性主任が、机の端に置かれた別の図面を手に取った。


「自分が図面を描いた部品が、最後に組み上がった時は、感動するんだよ」


「早く僕も体験してみたいです」


「なかなか図面どおりにはいかないからこそなんだよねぇ」


「でも、まずは基礎。描いて、描いて、描く」


「はい」


 エリオが再び鉛筆を動かす。


 女性主任が壁の時計へ目を向けた。


「そろそろ時間だね」


「エリオ君、いったん手を止めて。ネヴィアさんが迎えに来るから」


 エリオは鉛筆を置いた。


 研究室の扉が開いた。


「二人とも、そろそろ行くよぉ」


 ネヴィアが入口から顔を覗かせた。


 大きめの白衣の袖は手の甲まで隠れ、長い前髪の下には濃いクマが残っている。


◇


 会議室。


 長机には、ネヴィアと二人の主任が座っていた。


 エリオも端の席へ腰を下ろす。


「それじゃ、今月の定例会を始めるよ」


 ネヴィアがエリオを見る。


「今日は、研修中のエリオ君にも参加してもらってる」


 エリオが背筋を伸ばした。


「普段は主任以上だけど、現場を見てきた学生の意見も聞きたくてね」


「よろしくお願いします」


「気楽に聞いてて。あ、ここで聞いた内容は、研究所の外では話さないでね」


「分かりました」


 ネヴィアが手元の資料を開く。


「エリオ君にも、この前話したと思うけど、今月のお題は標準装備の見直しと改善案だよ」


「はい」


「じゃあ、始めよっか」


「では、私から」


 女性主任が資料を一枚、机の中央へ出した。


「空き時間での検証ですが、現在使っている携帯端末に、登録済みCodeの詳しい性質や、過去の使用例まで入れられないか試してみました」


 ネヴィアが資料へ目を落とす。


「面白いねぇ。入れられそう?」


「現状の端末では容量を超えます。連絡端末としての機能をかなり削れば可能ですが、それでは本来の用途を失います」


「んー、難しいね」


 ネヴィアが頬杖をつく。


「現場から、そこまで要望は上がってないだろ」


 男性主任が言った。


「数は多くありません。以前集めた意見書には、判別されたCodeの性質まで、その場で詳しく確認したいという声がありました」


 女性主任が資料をめくる。


「過去にどのような使い方をされたか分かれば、警戒する際にも役立ちます」


「現場で確認できれば助かるけど、連絡機能は削れないね」


「そうですね」


「要望が増えたら、専用の端末として検討しようか」


「異議ありません」


「俺もない」


「じゃあ、これは保留」


 ネヴィアが男性主任へ目を向けた。


「次、お願い」


「俺は、セルの容量を増やして、装備の稼働時間を伸ばせないか検討した」


 男性主任が一枚の図面を広げる。


「やはり一番減りが早いのはブーツだ。最大出力で使い続けた場合、何十分も持たない」


 エリオが図面へ目を向ける。


「そこで、ブーツ専用の大容量セルを使えないか検討した」


「どうだった?」


「今の格納部には入らん。蓄えられる量を倍にしようとすれば、セル自体が三倍近い大きさになる」


「そんなに大きくなるんですか?」


 エリオが尋ねる。


「容量だけ増やせるわけじゃないからな。全隊員分のブーツを改造する余裕もない」


「厳しいですね」


 女性主任が言った。


「それなら、大型化するより予備を増やした方が現実的じゃないですか?」


「それも難しい。予備に回せるだけの数がない。今の配備数を維持するだけで精一杯だ」


「やっぱり、そこがネックですか」


「じゃあ、これも変更なしで」


 エリオは広げられた資料を見比べた。


 ここまでの話を整理するだけで、頭の中がいっぱいになる。


「といった感じでねぇ」


 ネヴィアがエリオを見る。


「ふと気になったことを、空いた時間に検証して持ち寄ってるんだよ」


「……これ、空いた時間でできる検証なんですか?」


「できる範囲でね」


「じゃあ次は、エリオ君の番」


「は、はい!」


 エリオは用意していた図面を取り出した。


「僕は、隊員の生存率を上げる装備を考えてみました」


「生存率かぁ。そういえば前に、隊服の防御機構を頭部まで広げられないかって案があったね」


「実験段階まではいきましたね」


 女性主任が答える。


「連動と接続がうまくいかなくて中止になりました」


「そうそう。ごめんね、話の腰を折った。続けて」


「はい」


 エリオが三人へ図面を配った。


「僕自身、武器の扱いが得意ではありません。簡易的な盾のようなものがあれば、生存率を上げられるんじゃないかと思いました」


「ほぅ」


 ネヴィアが図面を近くへ寄せる。


「隊服と同じ防御機構を使って、ボタンを押した時に展開します」


 エリオが図面を指す。


「形はいくつか考えています」


「却下だな」


 男性主任が図面の展開部を指した。


「これだけ広く防御を働かせると、セルを食いすぎる」


「必要な出力を確保しようとすれば、装置もコストもガレリア寄りになる。標準装備として全隊員に持たせられる代物じゃない」


「あんたさぁ」


 女性主任が男性主任を見る。


「今の図面で無理なのは分かるけど、直す余地もないの?」


「無理なものを無理と言って何が悪い」


「まずは考えてみるんでしょ。これだから頭が硬いのよ」


「お前こそ考えてみろ。隊服やブーツも使いながら、さらにこれを展開するんだぞ。装備を一つ増やすなら、予備セルの数だって考えなきゃならん」


「だから、どう直せば使えるか、一緒に考えなさいって言ってるの」


「二人とも、落ち着いて」


 二人が黙った。


 ネヴィアはもう一度、エリオの図面へ目を落とす。


「私も、今の案のままだと現実的じゃないと思う」


「……はい」


 ネヴィアが図面を机へ置いた。


「現場を見てきたエリオ君の意見として、銃や刃に続く、第三の携行装備って考え方は面白いと思うよ」


 男性主任も図面を見る。


「盾にこだわる必要はないな」


「支援型で、低コスト。標準装備として持たせられるものなら、検討の余地はある」


 女性主任がうなずいた。


「それなら別の形も考えられそうですね」


「じゃあ、次回はそれにしよっか」


 ネヴィアが三人を見る。


「隊員の生存率を上げる、標準型の支援装備。これを次のお題にする」


「異議ありません」


「俺もない」


「じゃあ、他の主任にも回しておいて」


 ネヴィアが資料を閉じた。


「今日はここまで。お疲れ様」


「お疲れ様です」


「お疲れ」


◇


 会議室を出たところで、エリオがネヴィアを呼び止めた。


「ネヴィア所長」


「ん?」


「すみませんでした。あまり現実的な案じゃなくて……」


「そのままでは使えなくても、次に検討するものは決まったでしょ」


 ネヴィアが歩き出す。


「標準装備って、もうコストも含めて形ができ上がってるからね」


 エリオがその隣を歩く。


「そこへ新しいものを入れるのは、なかなか難しいんだよ」


「でも、生存率を上げるって目的なら、予算も通しやすいかもしれない。試す価値はあると思うよ」


「ありがとうございます」


「君に来てもらってよかったよ」


 エリオが顔を上げた。


「また課題送るからね」


「はい!」


「三年生になっても指名するよ」


「よろしくお願いします!」


 ネヴィアが足を止めた。


「そうだ。次は、新しいガレリア案でも考えてみよっか」


「僕がですか?」


「そう」


「いいんですか?」


「案なら、いくつあってもいいよ」


「ガレリアは、私たち研究者の個性が出るからね」


「君もいつか、自分で作れる日が来るかもしれない。そのためにも、今から図面を描いておくんだよ」


「分かりました!」


ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。

投稿時間を過ぎてしまいました・・・

お知らせ

今後の更新日を月曜日・金曜日の週2回 投稿時間を20時10分に変更します

現在、仕事が繁忙期に入っており、小説の執筆までなかなか手が回っていません

ラフは大量にあるのですが、清書にかける時間が……

外伝クガネからの連続投稿で、ストックもすべて使い果たしてしまいました

完全に私が悪いんですが……。

ストックができ次第、以前の投稿頻度に戻したいと思ってます

これからも『こたぼく』をよろしくお願いいたします

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