91.黄金の指
エレナの様子がおかしいのでシロに偵察を依頼。
どうやら、エレナの元上司が生きていて連絡をとってきたみたいだ。欧州で討ち漏らしが何人か出たと聞いてたけど。しぶとい。ということで偵察続行。
エレナはギアスのせいで、こちらの関係者に不利益な行動が取れないはずだが。元上司と会うくらいなら大丈夫。と、本人は考えてるってことですね、この手の精神系の契約魔法は、個人の認識の違いで効果がブレるのが問題。本人が害ではない。と、思いこめば縛られない。
会いに行くエレナを隠密を発動したシロが追尾。上司は左手を失っており。足にも怪我しているようで引きずっている。45歳と聞いてたけど、70くらいの老人に見える老け込み具合。髪は汚れたボサボサの白髪。
会話をモニター。
「大導師。初めにお断りして置きますが。私はギアスで縛られていますので。今の上司に敵対する行動は取れません」と、切り出すエレナ。
あてが外れたらしく、気落ちした様子の元上司。それでも、気力を振り絞って。「あいわかった。では、昔の好で、生き残った他の同士達と出会えるまでの資金援助を頼みたい。それなら、今の上司に迷惑はかからん」
あ、迷ってる。迷ってる。実は迷惑かかるんだよね。テロリストの逃亡資金の援助は、確実に罪になる。でも、彼女はそれに気づかないのか?
「あのー。私がお貸しできるのは、この程度だけなのですが」と、差し出されたのは万札数枚。「保護観察中で、カードは凍結されてるし。銀行にもほとんど残高がないし」と、情けない回答。
さらに気落ちした元上司。プルプル震えてる。次のアイデアが出てこないのかな。
「なんとか会社の金を」と上司が言った瞬間にエレナの様子が変わった。完全に関係者に迷惑をかける行動と認識したな。
これ以上は無理と判断したのか。万札を掴んで去っていく元上司。
まあ、逃げられ無いんですけどね。
人混みに紛れようとしたんだけど。日本では外国人というだけで目立つ。おまけに逃亡生活で服がよれよれ。誰が見ても怪しすぎる。追跡して、人混みに紛れつつ、軽く接触。その隙にサイフとエレナからもぎ取った万札を掏摸ます。
拳法の体術を応用すれば、この程度のことは造作もない。逃亡資金を奪ったのは、長距離移動を出来なくするため。これでバスにも電車にも乗れまい。
携帯で中佐に連絡。「テロの残党を見つけたから引き取りに来て欲しいのですが」と言ったら。「今、私は日本にいないんだが」と言われてしまった。変わりのスタッフを手配してくれるというので、こちらは超小型人工精霊を発振器がわりに貼り付けて離脱。
二時間後、駆けつけてくれた魔法兵二人と合流。逃亡者は駅前のベンチで黄昏れてました。三人で近づいたときには、抵抗する元気もなく。無事捕縛。拘束具を付けます。
掏摸たサイフは本人の目の前で魔法兵に渡します。「こいつのサイフです。逃亡出来ないように奪っておきました。何か証拠があるかもしれないので調べてください」と告げると。サイフの受け渡しを忌々しそうに見て、「全てお見通しだったということか。これでは勝てない」と、肩を落として連行されて行きました。
これにて一見落着。エレナには「逃亡資金の援助も駄目」と。説教をしないと。
タイトルの黄金の指は、ジェームズ・コバーン主演のスリ映画から




