79.潜入
アトラス山脈はアルジェリアにある。モロッコにあるのはオート・アトラス山脈。ただし、地元の人は単にアトラス山脈と呼んだりするので、観光客などは混乱する。
大魔道士のいる拠点はここ。山肌にレンガ作りの赤茶けた建物が点在する地域で、観光客なんかもわりと来たりする。童話の魔法使いと違って、現実の魔道士は人のこない山の中に住んでるわけではない。昔は宮廷に出入りしてたくらいなので、文化的な生活は手放せないはず。周りに店やホテルがある場所のほうが住みやすい。
その赤茶けた普通の民家のうち、それぞれが離れた3軒が出入り口。真の拠点は地下、山の中にある。出入り口が3つあるのは、当然だが、脱出経路の確保。
潜入チームは、観光客に偽装して現地入り。出入り口の2つに見張りを置き。残りの一箇所から侵入する手はず。複数箇所からの同時侵入も検討されたが。いろいろ試した結果、大魔導師と遭遇した分隊が全滅する危険が高い。という結論となり、戦力分散の愚は避ける。という事になった。
ミッションスタート。町外れにある、空き家に見える人影のもっとも少ない民家から侵入開始。ここは、本来なら中が攻められた時の最終脱出ルート。なので、中の人通りも少なく、外からも発見されにくい。ということで選ばれた。
ただし狭いので。比較的小柄な兵士が先頭になって侵入。ある意味、弾除けと言うかカナリア役なので損な役回り。さっきまで観光客に偽装してたので、防弾チョッキも薄め。ご愁傷様です(まだ死んでないけど)
武装は拳銃(P320)と短機関銃(MP7)とナイフの他は、ウチで販売した魔術カード、英語版商品名”Magi card”。ポーチはお高い版なので、念じるだけでカードが手元に来ます。ケチって死んだら目も当てられないもんね。
ハンドサインで敵の発見が知らされ。隊長からのサインで前方の兵士が睡眠のカードを使用。無詠唱で使えるので、隠密任務に最適という評価を頂いています。倒れたところを引きずり込んで確保。引き抜き対象でも重要人物でもないことを確認したら、あっさりとナイフで死んで頂きます。雑魚にかまっている余裕はないし、人道団体でもないので。このへんの扱いは非情。
そのまま侵入を続行。さらに二人始末したところで、近づいてきた敵に発見され、非常ベルが鳴り響きます。このへんの手際の良さは、敵もちゃんと訓練してるのね、と感心。もはや隠密行動は無用。ということになり、声もだしてよしの交戦許可がでました。
確保対象と明確にわかる人物以外は全力攻撃を許可。うっかり誤射したら不幸な出来事。という、米軍にありがちな押せ押せで進行。まあ、突入する兵士にしたら、ゆっくり相手の確認していて自分が死んだら割に合わないもんね。一緒に訓練したのでよく分かる。
捕虜をまったくとらない状態で、つまりは殺しまくった挙げ句に大魔導師様と対峙。先方からは攻撃してこないのと、二人の魔女っ子がいるので。これは助けたいと思い。隊長に説得をお願いします。
ミランダ警告っぽい上から目線の説得。説得する気があるのでしょうか。交渉決裂。
おとなしく説得を聞いていたのは呪文の詠唱をしてたから、うん、知ってた。魔女二人からの旋風と火炎の合体攻撃発動。ここで魔法盾のカードが活躍。レジスト成功。魔女さんたち、驚いてる。多少は効果があると思うよね。残念でした。
ここで、隊長に、再度の説得を依頼。
今回は聞いてくれる気があるのか。「しばしまて」と、ようやく交渉のテーブルに乗ってくれた。ま、援軍が向かってきてるのは、こちらも敵も知ってるので。時間稼ぎもあるのは明白ですが。ここで、隊長に断ってからダメ押し。「接近する援軍を無力化します」と、わざと相手にもわかるように声に出して、シロ顕現。止めようかと迷った魔道士達の横を、すり抜けるようにして、シロが通路に消えます。
明確に実力者と見なした俺を見て。「日本の陰陽師と見受ける。なにゆえ米軍に味方するか?」と、問うてきたので。「そちらのお身内。アンナを救うため」と答えます。逡巡する老人と魔女たちに向かい。「彼女は私のところにスパイとして派遣されてきました。されど、品性卑しからず。テロ組織で生きるより、日の当たる場所で生きられないかと米国の魔法部隊と交渉。私が協力することで、彼女や若い世代の人間を司法取引で救ってもらうよう要請をした次第です」と答えた。
「あいわかった」と答えた大魔導師。魔女たちに向かい。「そなた達は降伏せよ」。そして隊長に向かい。「この娘たちの身柄を陰陽師殿に預ける事を条件に降伏させたい」と、告げた。あ、年増の魔女はいらんのだけど。見た目は若い娘だけど、鑑定したら中身はアラサーだしなあ。と嫌そうな顔をしたのに、隊長が了解してしまった。
「だが、儂とて300年を生きた魔道士」。あ、そんなに生きてるのか。予想より長生きですね。「ただで屈するのは矜持が許さん。それに、久々の魔法比べ。老いた心が躍る思い。いざ腕試しをせん」と、こちらを杖でご指名。
「あのー、もし私が死んだら。彼女達の保証人がいなくなりますが」と答えたら。「負ける気など無いくせに」と喝破。「万が一そうなれば、残りの雑兵を蹴散らすのみ」と返された。
「初手は譲る」と、言うので。隊長達と、こちらに来た魔女っ娘(中身はアラサー)を下がらせて。「拘束第二段階開放」と声に出す。これはキーワードになっていて。ポーチのカード選択が、モンキーモデルから本物に変更される。文言の元ネタはあの方です。
式神も展開。和紙の式神を身内以外の目の前で使うのは初かも。16機の折り鶴がこちらの周囲を飛翔。術式はビット兵器。当然、こんな術式は伝統的陰陽術にはありません。我が、オリジナルの五行陰陽術。なので名乗ります。「五行陰陽術。宗家。矢野晶。お相手つかまつります」
さあ、戦闘開始だ。
地元の人のアトラス山脈呼びは旅行した時の実体験。文言の元ネタはHELLSING




