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古武術詐欺師に騙された悪役令嬢は今日も無意味な修行に励む  作者: 真宵 駆
▽おまけ4△

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559/560

▼559▲ 理系女子と体育会系女子に高級顕微鏡をプレゼントした時の反応の違い

 顕微鏡にセットした弾丸の位置と角度を少しずつずらして、その拡大画像を観察しながら、


「顕微鏡とか理科で使う器具って何かワクワクするよな。男の子って感じで!」


 理科実験室でテンションが上がる小学生男子と化すエイジン先生。


「分からなくもないですが、今時そういう事を言うと男女差別と取られかねませんよ」


 深刻な状況の下でテンションを上げられないアラン君。


「じゃあ、試しにアンヌの誕生日に高級顕微鏡をプレゼントしてみ?」


「そんな事したら、しばらく口を利いてくれなくなります!」


「だよな。今も昔も乙女心と男のロマンは絶望的に相性が悪い。理系女子ならワンチャン喜んでくれるかも知れないが」


「アンヌはバリバリの体育会系女子です」


「プレゼントした顕微鏡の台座で脳天を思いっきり殴られるかもな。『この不心得者があ!!!』って感じで」


「いや、そこまではしないと思いますが。怒るより悲しむタイプなので」


「なるほど、『浮気した当人に怒りが向くのが男、浮気相手に怒りが向くのが女』ってやつか」


「何の話です?」


「アンヌが殴るとしたら、ヤンキー三人娘の方だろうって話さ」


「いや、彼女達と浮気なんかしてませんし! そもそも顕微鏡と関係ないでしょう!」


 そんなアラン君をおちょくりながら顕微鏡で遊んでいる内に、リング家関係者の医療データのコピーが完了し、


「よし、頂くモンは頂いたし、今日はここらで撤収しよう」


 名探偵よりはコソ泥の方が似合いそうな台詞を吐いて、外付けハードディスクを外し、サンプルの弾丸共々回収して席を立つエイジン先生。


「次はどこへ行くんですか?」


 限りなく黒に近いグレーな作業が終わってホッとしつつも、まだ何かやらされるんじゃないかと不安げなアラン君。


「旅館に戻って状況を整理する。ただ、その前におそらくガル家から――」


 そこまで言いかけた時、エイジン先生の携帯の着信音が鳴り、


「噂をすれば何とやらだ。もしもし」


「エイジン、無事なの!? 何か大変な事になってるみたいだけど!」

「エイジン先生、もし必要とあらば、リング家への強硬突入も辞しません。現在の状況を詳しく教えてください!」


 グレタとイングリッドのポンコツ主従が心配そうにキャンキャンわめく声が聞こえて来た。


「落ち着け、俺は無事だ。今朝の銃撃事件について、リング家から公式に発表があったんだな?」


「エイジンがカウンセリングしてた子が当主に銃を向けたんでしょ? だったらエイジンの責任になるんじゃない?」

「平和なラブコメ漫画のレクチャーでもしていればいいものを、一体何をカウンセリングしてたんですか、エイジン先生! 殺伐としたゴラク系ですか?」


「子供向けカウンセリングと対極にある漫画だな、それ。とりあえず、俺は逮捕されてないから安心しろ。それどころか、目下、この事件の捜査を依頼されて動いてる所だ」

 

「え? よく分からないけど、無事なのね?」

「相変わらず自己保身の立ち回りはお上手ですね、と言いたい所ですが、油断は禁物です、エイジン先生。リング家では当主の気まぐれで何が起こるか分かりませんから!」


「ま、それはともかく、今は病院にいてな。電話は周りの迷惑になるから、一旦切るぞ。建物を出たら、俺からまた掛け直す。そのまま待っててくれ」


 そこで通話を一方的に打ち切ると、アラン君の方へ向き直り、


「ははは、案の定、グレゴリーはヴィヴィアン様の説得に失敗して、事件を世間に公表せざるを得なくなったらしいな。旅館に戻る前に、リング家の屋敷に立ち寄って二人に会ってみようぜ!」


 急遽、次の行き先を変更するエイジン先生。

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