白石の影
男が発した言葉の意外性に美月は呆然とした。何故、この男は自分が強化指定選手であることをしっているのか?何故、それを辞退しろなどと言うのだろうか?何か理由があるのか?
「・・・・・どういう事ですか?私が強化指定を受けた事は、あなた達には関係ないじゃないですか。なんでそんな事を言われなければならないの。」
「屁理屈言うな。明日、学校に行って、ダルマに強化指定を辞退すると伝えるんだ。さもないとタダではおかないぞ。」
そこで美月はピンと来た。美月を強化指定から辞退させたい人間。それは3年の白石先輩だ。白石が知り合いの男を使って、美月に脅しを掛けて来ているに違いないと思われた。なんて卑劣な!美月の持ち前の正義感がメラメラと燃え上がった。
「お断りします。」
美月はキッパリと言い放った。
「な、何だと!」
思いも寄らぬ美月の言葉に、男達はいきり立った。
「あなた達が誰から頼まれてこんな真似をしているのか想像は付きます。その方に伝えて下さい。私は実力で強化指定を勝ち取ったんです。辞退しろ云々、言われる筋合いはありません。」
「何だと!てめえ!」
「キャッ!痛い!」
激高した男が髪の毛を引っ張ったので、美月は悲鳴を上げた。助けに来るものは誰も居ない。
「実力で強化指定を勝ち取っただと。良く言うぜ。ダルマに特別扱いして貰っただけだろうが。俺ら全部知ってるんだよ。」
「・・・・・・・。」
美月は髪の毛を掴まれながら、男の言葉を聞き洩らさなかった。「ダルマに特別扱いして貰っただけだろうが。」と言った。美月はこの前の大会で白石よりいい成績を残したので強化指定に選ばれたと皆に思われていた。だが実際には白石に批判的なダルマに因る強い推薦が決め手だった。何故、この男達はその事を知っているのか・・・・?




