狙われた美月
先頭を走るのは美波、その後を史緒里が、最後尾を美月が走る。新潟の田舎町、ましてや人通りの無い夜道。この辺りには人家も無い。助けは見込めなかった。自分が何とかしなくては。美月は持ち前の正義感から何とかして2人を逃がす事を考えた。3人の中で一番足の遅いのは史緒里だ。自分と美波は何とか逃げ切れても、史緒里は捕まってしまうだろう。美月は走るのを止め、振り返ると、バトミントンのラケットを男達に振り回した。
「何ですかあなた達!止めなさい!」
男達はニヤニヤと笑みを浮かべながら、美月ににじり寄って来る。
「山下美月ってのはどいつだ?」
「・・・・・・・。」
美月は男達が無作為に自分たちを付けている訳では無い事を悟った。自分が目的なのだ。
「どいつが山下だ。答えろ。」
男達の目的は美月だ。だが、美月が3人のうちの誰だかは分かっていない。一瞬、シラを切る事も頭を過ぎったが、その場合関係の無い史緒里か美波が犠牲になる。
「山下美月は私よ。あなた達は誰?何の目的なの?」
美月は男達に堂々と名乗った。友人を巻き込んではいけないという強い使命感があったからだ。
「お前にちょっと話がある。付いて来い。」
「嫌です。話なんてありません。」
「話をしないって言うんだったら、お前をぶっ殺す。」
男はポケットから鈍く光るモノを取り出して凄んだ。刃物だ。それを見た美月は恐怖で身を竦ませた。足がガクガクと震え、急速に抵抗の意思が凪いでいく。
「心配するな。言う通りにすれば、ちゃんと家に帰してやる。逆らったらどうなるか分かるな。」
美月はガクガクと頷くと、振り回していたラケットを力なく下ろした。
「いい子だ。こっちに来るんだ。」
美月は男2人に両脇を挟まれながら、ズルズルと背中を押され、男達の言う通りに歩き出した。




