この少女、凶暴につき
お待たせしました!
「・・・マジ?」
「マジよ」
なんてこと、私にそんな秘密があったなんて。
「確かにスチール缶を片手で潰せるし、クーリエより足が速いし、中学生の時に100人の不良どもと喧嘩したことあるけど勝ったし、人間しては力あるなーとは薄々思ってたけどまさかそんな秘密があるなんて」
「気づこうよ!人間の小柄の女の子にはできないことだらけだったよ!?」
「いや、ほらママとパパの娘だからこんなもんかとか思ってたから」
「限度があるよ!?」
「ごめんなさいねカレンさん、この子鈍いところはとことん鈍いから・・・まあ、だから隠し通せたってのもあるけど。まったく、パパに似たわね」
「いやー、それほどでも」
「褒めてないから」
「でもなんで隠してたの?そんなに隠す力には見えないけど」
別に力が上がるくらいなら隠さなくていいのに、むしろ知ってないと危ないんじゃない?
「ゆーちゃん、中学生の頃何回学校から呼び出し受けたか覚えてる?」
「十より先は覚えてないわ!」
「だと思った!もう!少なくとも40回はゆーちゃんが何か起こしたって電話がパパとママのところに来たわ。調子に乗ると碌なことしないから恋人ができたら話そうってパパと決めてたの」
「ひどい!そんなこと言われるなんて!」
「小学生の時、からかわれたからってそのグループ全員殴り飛ばしたのは誰かしら」
「・・・・・・・ちがうもん、あれはあったから仕掛けてきたらノーカンだもん」
ま、まあ確かに少し荒れてた中学生時代にこんな事を知ったら周りに恋人侍られせて王様にでもなってたかもしれない。
「はぁ・・・ごめんなさいねカレンさん。この子の突拍子も無い行動に振り回されてない?」
「あー・・・ちょいちょいあります」
「カレン!?」
いや、思い返してみればだいぶ振りましていたような・・・
告白もそうだしカレンが私を避けていた時も無理矢理捕まえて遊ぶ約束取り付けたし・・・
・・・・・・・あれ、私がカレンに振り回されてる感じに思ってたけど逆だった?
なんでこんな女を好きになったんだカレンは?
見た目か?可愛いからか!?
「本当にごめんなさいね。良い子には育てられたけど落ち着きないところが残ってるの。あ、普段は強気だけど根っからの寂しがり屋だから構ってあげてね。連絡できる時にしないと拗ねちゃうから」
「もう!ママ!」
「はいはい、ごめんなさいね。でも大事なことなの。ゆーちゃん、怒ったりするのは雷より速いけど辛い事は溜め込んじゃうのだからこの子の側になるべくいてあげてね」
「はいお義母様!絶対に離れたりしません!ずっと密着してます!」
「ずっとはやめて!」
マズイ、このままママに喋らせると私の恥ずかしい事をあれこれ話しかねない!もうちょっと話したいけど帰ってもらおう。
「ほら、ママ!仕事あるでしょ、私達も学校あるからこれで解散!」
「えー?もうちょっと話したいんだけど。ねーカレンちゃん」
「はい!昔の優理ちゃんの話聞かせてください」
「学校があるでしょ!ママも帰って!」
「えー!久しぶりに会ったのにー」
「ほら、帰って!」
ママを立たせて玄関まで強引に押しやると観念した様で余裕そうに微笑みながら頭を撫でてきた。
「ふふ、そうね。昔話は二人でね、恋人同士の楽しみを奪っちゃうところだったわ」
「もうそれでいいから!」
「はいはい。あ、車で駅まで送ろっか?」
「いいよ、この時間帯混むから走ったほうが早いし」
「分かった。あ、そういえば車にお土産あるからゆーちゃん取りに来て」
「分かったわ、カレンはちょっと待ってて」
「うん、分かった」
ママと一緒一階まで降りて駐車場に向かうと久しぶりに見るシルバーのスポーツカーがあった。ママがドアを開け中の座席に置いていた物を取り出した。
「はい、これ餡子ドーナツ!大好きでしょ?」
「わあ!ありがとうママ!」
ママが買ってきたのは私の大好きな餡子系のドーナツだ。
達歳館というお店のお菓子で昔からの私の好物だ・・・今食べちゃダメかな?
「・・・ゆーちゃん、学校大変?」
「え?急にどうしたの?」
ママの顔を見ると少し心配そうな顔をしていた。
「ゆーちゃんのママだから分かるの。会った時少し元気なさそうだったから何かあったのかなーって」
・・・こうゆう時には鋭いんだから。色々あったよ、剣を抜いたり前世が勇者だって分かったり魔物と戦ったり友達作ったり告白したり女神に会ったり喧嘩したり大きな目玉のある蜘蛛の魔物と戦ったり監禁されたり魔獣倒したり・・・これが一週間ってマジ?
全部話したいし頑張ったねって褒めて欲しいけどこれ以上心配をかけるわけにはいかない。
それに話したところで何か変わるとは思えない、私が皇さんと恋人にならないと世界が滅びるのは確定してる。
普段から心配かけてるし今日来たのも心配だったからだろう。
わざわざ車に呼んで二人きりの時に話したのはカレンの前では話しにくいと考えたからでしょうね、カレンの前じゃ甘えづらいのもあるし。
「・・・心配しないで。ちょっと環境変わったからまだ慣れてないだけ。友達もできたしこれからよ」
「そっか。ならよろしい」
ママはまた私の頭をヨシヨシと撫で始める。多分ママは私が何か隠している事に気づいているのだろう、いつも考えるより行動が先のママだが私の事は女神より見てくれている。
「カレンちゃんのこと大切にするのよ。あと、節度ある付き合いをね!」
「分かってるわよ、ほらお仕事に遅刻しちゃうよ」
「そうね、また近いうちにパパも連れてくるわ。それまで待っててね」
「はーい、いってらっしゃいママ」
「ふふ、行ってきます。学校楽しんでね」
「ええ、頑張るわ」
ママは車に乗った後帰って行った。
まさか会うとは思ってなかったけど、いいリフレッシュになったわね。
よし、学校行く前にドーナツ一個食べちゃおう。カレンは餡子好きかしら?
「あの人が優理の母君か」
「うっわぁあ!」
体の中から急に声がしたのでビックリしたが声を聞くとクリカラだった。取り調べしてないか見に行っていたはずだがいつのまにか帰ってきてたみたい。
「アンタって私にサプライズしないと気が済まないの?」
「サプライズ?何かした覚えはないが」
「厄介な課題と普通じゃない日常をサプライズプレゼントしてくれたじゃない」
「別にプレゼントした訳ではないが」
「皮肉よ、皮肉!まったく、いつから居たの?」
「優理が母君と話したところぐらいだ、見に行ったが取り調べはしていなくてな。居ても収穫はなさそうだったから帰ってきたわけだ」
「ほぼ最初からじゃないの」
「優理の身体能力の高さの謎が解けたな。まさかサキュバスの力を持っているとは、これは使えそうだ」
「待って、何させるつもり?」
家までのエレベーターの中でクリカラが何やら不穏な事を口走った。
「これは良いニュースだぞ優理。その力を使えば魔神にも対抗できるかもしれん、昔サキュバス達はそれはもう強くて厄介だったがその力が加わるとなれば頼もしい事この上ない」
「アナタまさか私に沢山恋人作れって言いたいわけ?」
「できるのならそうしたいが優理は嫌だろう?その力は恋慕でなくとも親しい気持ちがあれば発動する、恋慕の思いよりは効率は悪いが無いよりはマシだ」
「つまり、私に人気者になって関心を向けさせればいいってこと?」
「ああ、その通りだ。具体的な策は思いついてないが強力なカードを手札に加えられたな」
私に力があると分かってクリカラはご機嫌だ。まあ、世界を救うのに邪魔な魔神やらがいるって分かったしそれに対抗できる力があるなら喜ばしいか。




