大いなる力には大きなる責任が伴うとは言うけどこんなのじゃない気がする
お待たせしました!もう50話か・・・予定では二章に入っている話数だったのに・・・完結まで何年かかるんだこれ?まあ、完結はさせますので気長にお願いします!
お風呂から上がった後今後のことを話したかったが眠気が私をベッドに行けと激しく唸るので寝る事にした。
一緒に寝ない?とカレンに言ったが流石にハレンチだよ!と言われ客室に入って行った。
まあ、私も眠気が限界だ。ベッドの中で仲良くおしゃべりしたかったがまた別の機会にしよう。
明日は学校だ、それに皇さんからの告白の返事が返ってくる日でもある。
というか、皇さんは大丈夫だったかな?
逃げ切れたとは思うけど私はいないし代わりに二人の男性が横たわってるから混乱してるだろうなぁ・・・
あ、スマホ預けたままだし朝一のママの電話には出れそうにないな。
考えるのはやめて、もう眠りにつこう。何があっても明日の私がなんとかするわ。
***
ピピピ、ピピピ、ピピピ、スマホのアラーム音が部屋に響く音が私の耳に入ってきた。
「ん、んん・・・」
眠い。手を動かしてアラームを止めると再び眠りにつく。
「起きろ優理。まだ眠いだろうが起きないとまた遅刻するぞ」
「んー、あと5分・・・」
「5分寝てなんになる。カレンはとっくに起きて制服を取りに行ったぞ。お主も起きんか」
「・・・」
「優理?」
「ZZZ・・・」
「二度寝するな!まったく、最初からこうしておけばよかったな。念動魔法」
クリカラが魔法を唱えると私は宙に浮いて布団がベッドに落ちる。そのまま空中で運ばれると窓の前に落とされる。
そこには陽の光が当たっており閉じていた眼を刺激した。
「ん!?なにすんのよ」
「光を浴びないと目が覚めないとだろう?とっと浴びて目を覚ませ。食事の準備は自分でするのだぞ」
「わーかってるって、アンタは私の先生なの?いちいち言わなくっていいって」
「言わせているのはお主だ」
クリカラのお小言を聞いた後陽の光をたっぷり浴びると体のエンジンがかかったのか一気に目が覚めた。
「よし!気分爽快!ご飯食べよ!」
寝室からリビングに出てキッチンで朝食を作る。いつものヨーグルトとシリアルと三枚の餡子を乗せた食パンだ。
「・・・山で行方不明だった二人の男性が発見されました。」
「ん?これって」
「ああ、昨日の魔獣を撃破した時に中から出てきた男達のことだろうな」
朝のニュースを見ていると記憶に新しい出来事が報じられていた。
「行方不明だったんだねあの二人」
「ああ、魔獣に体を乗っ取られていたからだろうな。その時の記憶があるかもしれん聞きに行くぞ」
「これから学校。聞きに行くのはいいけど警察が取り調べするだろうし魔法で盗み聞きすれば?」
「それだな。それでは聞きに行ってくる。分霊魔法」
「あ、ちょ!」
クリカラは剣の部分だけを残していってしまった。
「まだ朝だから取り調べはしてないんじゃないかしら?まあ、分かんないけど」
いいや、取り調べしてなかったら戻ってくるでしょ。
朝ご飯を食べ、身支度を整えるとインターフォンの音が鳴った。
カメラを覗けば鳴らしたのがカレンなのが分かった。
玄関に向かいドアを開けてカレンを家に入れる。
「おはようカレン、昨日はありがとうね」
「おはよう。大丈夫だよ、それともう体は大丈夫?」
「問題無し!今日も元気いっぱいよ」
「良かった!もしもの時の為に家から色々持ってきたけど杞憂だったね」
「何持ってきたの?」
「活性化の秘薬とか、気力回復の秘薬だよ」
「違法なやつ?」
「全部合法だよ!もう!」
「あっはは!ごめんごめん!」
そんなやりとりをしているともう一度インターフォンが鳴った。
うん?誰だ?クリカラじゃないよね?あの魔法壁とか通り抜けるしインターフォンは押せないはず。
リビングまで行ってカレンとカメラを確認するとそこには大好きな人がいた。
「ママ!?」
インターフォンの操作盤で向こうのマイクと繋げる。
「ママ、どうしたの!?」
「はーぁい、ゆーちゃん!ちゃんと起きてたね久しぶり!」
「いや、久しぶりなのはそうだけどなんで急に!?」
カメラに映るあの姿は間違いなくママだ。私と同じ髪色に長い髪、頭から生えた短い二本の角、背中に生えた黒い蝙蝠の様な翼は翼膜がうっすらと紫色になっている。
身長は176cmの長身でサキュバスらしく抜群のスタイルをしており左手の薬指には結婚指輪がはめられている。
「電話したけど友達に貸してたんでしょ?連絡つかなかったから行っちゃえ!って思って来たわ!」
くっ!遺伝子を感じる!こうゆうところは私とそっくり!家族だから当然と言えば当然だけど。
「開けてくれないのー?合鍵で入っちゃうわよー!」
「はいはい!今開けるから待ってて」
小走りでドアまで向かうと開けてママと対面した。
約二週間ぶりに会う家族にいつものようにハグをした。
「ママ!会いたかった!」
「ゆーちゃん!私もよ!」
互いに力を込めてギュッと抱きしめ合う。
この一週間で起こった様々な出来事によって溜まったストレスが解放されていく様だった。
大好きな家族のあったかい抱擁を交わすのは幸せだ。私の年頃になると一般的には恥ずかしくなるみたいだけど私は幼少期に家族との時間があまり取れなかったからか今でもハグは全然恥ずかしくないしむしろ家族との距離は近い。
「あら?あの子はお友達?」
ママが見つめていたのはドアの先、あまりにハグしている時間が長かったからカレンが様子を見に来たのだろう。
「うん、私のともだ、」
しかし、私の言葉を遮るようにカレンは焦った様子でママに向かって挨拶した。
「ゆ、優理ちゃんの彼女の月僧カレンです!不束者ですがよろしくお願いしますお義母様!」
「!?!?!!!?!?!?!!!???!?」
し、しまったーーー!!!口裏合わせるの忘れてた!!!
「ゆ、ゆーちゃん?どうゆうこと?」
「え、あ、えーっと」
マズイ!マズイ!!マズイ!!!学校始まってまだ一週間よ!?絶対にママにドン引きされる!恋人作るにしても早すぎでしょ!RTAか!てか、恋人が女の子だしそこも説明しないと!!!
面倒な事になるから秘密にしておきたかったけど起こってしまった事は仕方ない!
「本当に恋人なの?ゆーちゃん」
「えーっと、はい。恋人です・・・」
お、怒られるかな?高校一年で同級生の女の子恋人にするとか色々ヤバいでしょ!
「・・・そう、ゆーちゃんに恋人ができたのね」
「ママ?」
あれ?てっきり、ゆーちゃんにはまだ恋人は早すぎます!ちゃんとデートとか色々したの?とか言われると思ったけどママは何かを決心したかの様な顔をしていた。
「ゆーちゃん、まだ時間ある?」
「え、まだ学校いくまで少し時間あるけど・・・」
「なら、手短にあなたの事を話すわ。ずっと隠していた本当の事を」
「え?」
ママの真剣な顔を見るのは指で数える程だったので見ると自然と背筋が伸びてしまう。アレからカレンとママと一緒にリビングに向かい、座りながら話すことになった。
「それでママ、話って?隠してたことってなに?」
「あの、その話はわたしも聞いて大丈夫なのですか?」
「うん、カレンちゃんにもぜひ聞いて欲しいわ。ゆーちゃん、あなたはサキュバスと人間から生まれた人間なのは分かるわね?」
この世界の種族は基本的に同じ種族でしか子を成せない。しかし人間は別で色んな種族の子を産ませ、産むことのできる。
それは相手が卵生だろうが胎生だろうが関係ない、カルノクスは卵生だが人間と子を成すことができる。
異種族と交われば人間の方が割合的には生まれやすいみたいだがしっかりと異種族の子も産まれる、なので人間は基本は胎生だが卵生の異種族と子を成すと卵から生まれる人間もいる。
もちろん子を成せるのは男女のペアだけだが片方が人間なら子を成せない種族はいないという。
これは人間という種族がこの世界に最も多くいる理由であり強みだ。数の少ない種族は人間と交配することによって数を増やすことができるため今でも絶滅した種族は少ない。
そして、異種族と交わって生まれた人間の子供にはその異種族の特徴が現れることがある。
人間とエルフなら目が少し良かったり、耳がエルフ耳になってたり寿命が少しだけ長かったり。
カルノクスと人間なら皮膚が少し硬くなったり皮膚の一部に黒い甲殻が生えたり、熱さに強かったり。
クーリエとなら動物の耳が生えたり尻尾が生えたりなど。
その異種族の特徴を一つか、二つ受け継ぐことがある。
動物の尻尾と耳が生えていても種族的には人間という人は偶にいる。
そして私の場合、サキュバスと人間のなら角か、翼、尻尾、人に好意を持たれやすくなるフェロモンを少し出せたり、好意持ったり持たれたりするとパワーアップするしたりするのがあるが私は尻尾を受け継いだ。
しかし上手く尻尾が生えなかったみたいで赤ん坊の頃に切ってしまったと聞いている。
「うん、サキュバスであるママと人間のパパとの子供でしょ?」
「優理ちゃん、人間と変わらなかったからご両親は人間だけかと思ってたよ」
「そういえば詳しく話したこと無かったわね。私のママは音楽家で世界中飛び回ってたのは昔のことだけど今は日本国のあちこちで活動してるんだ」
「蓮護レイラさんですよね?昔、ダイヤモンドホールで演奏を聴きました」
「え!?知ってるの!?」
「ふっふーん!ゆーちゃんね、ママってば有名人なのよ?色んなところで演奏して指導してるんだから!そういうあなたは月僧カレンさんでしょ?クルシュシタイン帝国の皇帝様の前で演奏した天才エルフさん」
あ、やっぱカレンってすごい人なんだ。ママも知ってるなんて。
「知ってもらえて光栄です、苗字が同じだったのでもしかしたらとは思ったのですが・・・まさか本当に優理ちゃんとお義母様なんて」
「そう畏まらなくていいのよ。しかしゆーちゃんの恋人がカレンちゃんなんて・・・どうやってこんな良い子射止めたの?」
「私が知りてぇ・・・」
そういや、なんでカレンが私にあんなにラブなのか知らない。
階段で助けられた時に好きになったとは聞いたけど普通に助けただけなんだけどなぁ・・・
「優理ちゃんには、その、色々助けられてそこから恋に落ちたといいますか・・・その女の子同士ですけどちゃんと好きでお付き合いしてて!」
「大丈夫、ちゃんと分かってるわ。ゆーちゃんにはちゃんと恋人がどうゆうものか教えてるから。遊びで告白とか恋人とか作ったりしないからね」
ママにはそこら辺ちゃんと教えてもらった。遊びで付き合うとか恋人とか言ってはいけないと。恋人同士とはどれほどロマンチックなものかをパパとの惚気話と共に何回も聞かされた。
「はいはい!話逸れてる!それで?何を隠してたの?」
「あ、そうだった。話を戻すわね、二人とも特性完全顕現現象って知ってる?」
「それはもちろん。中学の種族学でやったやつ」
「人間が異種族の特徴を完全に受け継いで生まれる事ですよね」
特性完全顕現現象、さっき言った通り異種族と人間の間に人間の子供が生まれるとその異種族の特徴を少し受け継ぐことがある。しかし特性完全顕現現象はその異種族の特徴を完全に受け継いで生まれることを言う。
この現象はかなりのレアケースで報告されているのは世界で100件以下だ。中にはエルフの寿命を完全に受け継いで1000年の寿命を持つ人間やカルノクスの黒い甲殻を両手に持つ人間も確認されている。
全ての特徴を受け継ぐ訳ではなく一つだけでエルフの寿命が完全顕現してもエルフ様に目がいい訳ではない。逆にエルフの目が完全顕現したら長寿ではないということだ。
特性完全顕現現象で受け継ぐのはどれか一つ、中にはクーリエの耳と尻尾を完全に受け継いでほぼ見た目がクーリエと変わらない人もいるとか。
「こんな感じだったよね」
「うんうん、ちゃんと勉強できて偉い!それでゆーちゃんはさ今まで自分の力が強いって思った事はない?重いものを持てたり走るスピードが他の子よりも速かったり」
「え?それは思ってるけどこんなもんじゃないの?」
「いや、優理ちゃんのパワーはどう考えてもその細腕で出せる力じゃないと思うけど・・・」
「そうなのよ、ゆーちゃんのその力は女の子にしてはありすぎる」
「もしかして!さっきの特性完全顕現現象?」
「うん、そうなの。昔ゆーちゃんには尻尾を受け継いで合わなくて切っちゃったって言ったけどそれは嘘。本当は別のサキュバスの特徴を完全に受け継いでいるの」
それは、まさか。外見には現れず力の強くなる特性・・・
「大昔のサキュバスはね、自分の身を守る為にフェロモンで異性を惹きつけ恋人にするの。一人や二人じゃない、沢山の異性を恋と愛で縛り自分の身を守らせるの。そしてサキュバスはその恋人からの愛情や恋慕の気持ちを受け取る事で力を増すの。最近の研究では20人くらいが力の上昇限界って言われてるけどね。でも沢山の恋人を持って力を付けたサキュバスはオーガやテングルドでさえパワーでは勝てないほど強くなるの。その恋人たちからの愛情や恋慕の気持ちが強い程サキュバスは
パワーアップする。ねぇ、ゆーちゃん。カレンちゃんと恋人になった時凄く力が強くならなかった?」
「ッ!」
心当たりはある。あの魔獣戦の時カレンと恋人になった後明らかに力が溢れてきた。薬のお陰かと思ったけど今はその効果が切れているにも関わらず少し筋力が落ちた程度だ。
「うん、前よりも格段に上がったわ・・・もしかして」
さっきからの会話で思いついた。ママの隠し事、特性完全顕現現象、私に受け継がれた本当の特性、人間とは思えないフィジカル。
「うん、ゆーちゃん。あなたは初めてサキュバスで特性完全顕現現象を発現させた人よ。あなたに受け継いだのは尻尾じゃ無いわ、恋人や恋慕でパワーアップするサキュバスの力、総愛総護を完全に受け継いだ人間よ」
蓮護レイラ:優理のお母さんでかつては世界を飛び回る音楽家であった。サキュバスのイメージを変えようと音楽で頑張っていたがサキュバスの奏でる音楽なんて淫靡だ!と非難されていた。世間の勝手なイメージに振り回されて諦めようとしたその時公演にて夫となる蓮護修司と出会う。
そこから修司に支えられながら勝手なイメージをぶつけてくる連中を音楽の腕で黙らせ今や名だたる音楽家達の仲間入りを果たした。年齢は55歳だがサキュバスとしてはまだまだ若い。
今は優しく柔和な彼女だが昔は荒れていたし自分に子供ができることを不安がっていたがいざ優理が生まれると子煩悩になりその不安はどこかに消えてしまった。夫婦仲は未だに冷める事はない。




