焦らず戦おう
なぜ私はガルインとアルガの名前を間違えてたんだ?
そしてなぜ今まで気づかなかったんだ?
お待たせしてすみません!
今回も楽しんでくれると嬉しいです!
「さて、地獄に行く準備はいいわね?」
「はっ!何を言いやがる。お前はもう魔力がねぇだろ?あの一撃は強力だが魔力を激しく消耗するはずだ。アレはもう使えない、ならどうやって不死身のオレに勝つんだ?」
呆気に取られていたユボーガだったがすぐに切り替えて私の状況を推理してきた。
実際当たっている。私の魔力はほとんどないし使えても魔法一回分ってところ。壊滅の一撃はもう出せないし強力な一手は私の手札にはもうない。
「無理だろ?お前はオレを追い詰めたんじゃない、自分から追い込まれに行ったんだよマヌケ!」
だが、強力な一撃は必要ない。対策はすでにある。
「マヌケ、ね?必死に自分のことを悟られない様にキャンキャン吠えてるの?バレてるわよ、アンタらの能力の秘密は」
「なに?」
「アンタ、無限に再生できるわけじゃないんでしょ?そうよね、魔法だって魔力を使うんだもの再生にだってなにか使ってるはず」
「なにを!この体は魔神様がくれた」
「はいはい!そうゆうのいいから!それにこれに気づいたのはアンタのお陰よ?アンタ、私の攻撃を避けた時があったでしょ?アレ、おかしいと思ったのよね。だって無限に再生できるなら肉を切らせて骨を断つをノーリスクでやれるはず。なのにあの時、アンタは回避した。さて、ここで問題。なんで私は白い方に壊滅の一撃を使ったでしょうか」
「あ?」
「答えは白い方がまだ呪力?みたいなものに余裕があったから。私と前から戦闘していたアンタは避けなければいけない程今、呪力が少ないはず。余裕のある方を削ってアンタを相手にする為にそうしたのよ」
クリカラも分からない得体の知れない魔獣、もしかしたら本当に分断の力を使わないと不死身なのかも知れないと思っていたけどアイツが私の攻撃を回避した時に違和感を覚えた。
この世に無限の物はない。三千世界に永遠は無い、女神が言っていた言葉だがこれは神でさえいつかは死ぬということ。なら、あの呪いの力をこの世に産み落とした神でさえそれは例外では無い。神でさえ永遠に続くものを作れないのだから魔獣如きに不死身の力なんてもの無い。ただ、そう信じ込んでいるか悟られない様に取り繕っているだけだ。
無限の力がないのなら殺せる。分断の力も壊滅の一撃も無いが相手の再生に必要なエネルギーが無くなるまで切り刻み続ければいつかは死ぬ!
だから呪力の多そうな白い方を先に倒して黒い方を相手しようと考えたのだ。
「アンタが魔力を感知できないように私達も呪力を感知できない。もしかしたらまだ余裕があるかもだし私の考えが間違ってるかも知れない。けど、アンタの毒で余裕のなさそうな顔を見るかぎるに当たってたみたいね」
白い方が散る前に撃たれた毒が効いているのかユボーガの顔からは焦りが見て取れた。
「それがどうした!余裕ぶっこいてるが今のオマエはあの防御の魔法すら発動していないだろう!魔力がないと言うことは剣に常に操ってもらうことは出来ない!オレの爪がそのアホ毛の付いた頭をぶち抜けば一撃で死ぬんだよ!オマエは!オレはまだ余裕がある、その前にオマエに一撃入れればオレの勝ちなんだよ!」
「あっはははははははは!!!」
その言葉を訊いて私は腹の底から笑いが出た。
「なにがおかしい!」
「まだ自分が勝てると思っているそのスカスカの頭がおかしくってね!一撃入れれば終わり?そうね、確かにその通りのよ。でも、当たればの話でしょ?」
私はクリカラを軽く回しながら続ける。
「アンタのその話は野球で全部ホームランを打てば勝てるって言ってるようなもんよ。私にさんざん攻撃しといて当てたことあった?ないでしょ?下手くそなのはいつもママにご飯獲ってきてもらってるからなの〜w」
「ぶっ殺す!!!!!」
私の煽りにのりユボーガは歯を剥き出しにして殺しに来た。
「ラウンド2、来い」
相手の残りの呪力は少ないはず、傷を付けまくって呪力を空っぽにすれば再生能力は無くなるはず。毒で更に消耗してる筈だし斬りまくってその消耗を加速させる。
だとすると、一度に複数に傷を付けられる武器が有効ということ。
「クリカラ!モードチェンジ!」
「あれか・・・正直邪道でやりたくないしそもそもアレは剣ではなく鞭ではないか?」
「いいから早く!その剣としてのプライド捨ててくんない!?邪魔!」
「はぁあああああ!??!?お主今なんと言ったか!お主は人間としてのプライドを簡単に捨てられるというのか!?」
「ちょっと形が変わるだけでしょ!?うだうだ言ってないで早よせんかい!」
「くっ、仕方ない・・・」
渋々と言った感じでクリカラは魔力を使うと自身の体を変化させた。
「くたばれ!!!」
ユボーガが両手で蚊を叩く様に挟み込んでくるが遅い。
跳躍して回避するとクリカラの刀身が流れた。
グリップの部分はそのままで変わったのは刀身、蛇腹剣と呼ばれる鞭に刃がついた様な武器だ。
グリップからはワイヤーの様なものが伸び、刀身は等分にされて複数の刃となりリーチが伸びた。
通常時よりも刀身を伸ばして刃を増やし、最大10mは伸びる。
私の知識の中で相手に距離を取りながら戦えて複数の傷を付けられる武器と言えばコレだった。
これを最初に言った時クリカラはドン引きしてたがゲームの中のモーションや振り方を教えると実践向きの戦い方を考え教えてくれて、それを今から実践してくれる。
「良いか!一度だけだぞ!」
「分かってる!」
魔力の残量ととプライドからかクリカラが手本を見せてくれるのは一回のみ。けど充分だ。
「要は鞭の同じだ、先端を当てるのが良いが刃を巻き付かせて引っ張ればお主の怪力ならズタズタに出来るだろう。動きを体で覚えよ!」
クリカラに体の操作権が移るとワイヤーの様なものに繋がれた刃達は意思を持っているかの様に綺麗な曲線を描いた。
「はぁっ!」
跳躍から着地すると刃を振るとバァン!という音速を超えた証であるソニックブームの音が聞こえた。そして狙ったユボーガの右前足が半分程切断され血と黒い液体が飛び散った。
「グガァア!なんだその武器は!?」
「すっご!」
「先端だけだから完全に切断とは行かなかったな。最初この武器を聞いた時は変わり種だと思ったが優理の怪力と合わさるととんでもない威力を持つな」
「女の子にあんまり怪力とか言わないでくれる?」
「それより動きは覚えたか?」
「問題無し!こうすればいいんでしょ!」
肩から肘、そして手首に力を伝えて滑らかに動かす!それは波となって先端に伝わりユボーガの顔面を傷つけた。
「クソが!」
「ヒット!」
「よし!」
私が提案してクリカラが動きを作って私が真似する、体を直接動かせられるから私も感覚が分かりやすいしいいわねこれ。
「ウォアアアアアアア!」
雄叫びを上げて左前足の爪を立てて切り裂こうとしてくるが見切っている。動きが単調だ!
「はぁ!」
剣を振るって浮かせるとその攻撃してきた足に絡ませ、少し引っ張るとワイヤーに付いた刃が足に食い込んだ。
「ウグァア!」
ユボーガが悲鳴を上げる。ワイヤーソーみたいに回して肉を削ぎ落とすイメージ!地面に踏ん張りながら力を込めていく。
「纏刃!」
グリップを握り全力で引っ張ると食い込んだ刃が肉を切り裂いて行く、ブチブチ!と刃は私の力を受けてどんどん肉を進み続けてる。
「ウォアアアアアアア!やめろ!」
「跪け!」
更に力を込めると蛇腹剣は一周し血飛沫と黒い液体が飛び散った。ユボーガの左前足はズタズタになり体重を支えられなくなったのか崩れる。
「クソがぁぁあああああ!!!オレの体になんてことしやがる!」
「痛そー!お医者さん呼ぼうか?あ、呼ぶなら獣医だったわね!わんちゃん!」
「舐めやがって!!!」
ユボーガは再生した左前足を使い私まで来ようとするがそれは許さない。
「はぁあ!」
蛇腹剣をしならせ先端をユボーガの顔面にぶち当て削ぐ。
「ぐぅ!」
「次!」
この蛇腹剣は最大10mは伸びる、その範囲ならどこでも攻撃可能。アイツは棘飛ばし以外は遠距離攻撃を持たないからここから一方的に攻撃してやる!
ゲームに置いて射程が長いものが勝つのは常!そして現実でもそれは同じ!
顔面の次は右前足、再び顔面、左前足の順番で一方的に肉を削いでいく!
「あっははははは!一方的に殴られる痛さと怖さと理不尽さを教えてあげるわ!」
「ふざけんじゃねぇ!」
ユボーガは必死に体を捩り、尻尾をするって棘を飛ばしてくるがそれを難なく回避する。
しかしその隙を逃さなかったユボーガは距離を詰めてくる。
「死ね!」
「品がないわね!」
右前足を振り下ろそうとしたユボーガだったが飛来した矢に目を潰されて怯んだ。カレンがまた決めてくれた!
「ぐっ!」
「ナイス!歯ぁ食いしばりなさい!」
ユボーガの懐に潜りこむとクリカラを握り締めた。
「覇天無窮!」
乱舞。しなる刃がユボーガの腹を、顎を、後足を、前足を切り刻み続けた。新体操のリボンの様に軽やかに晴れやかに舞うは分かれた刃達。上を切り裂けば血のシャワーが降り注いだ。
「ガァァアアアアアア!!!!!」
「これで終われ!」
薙ぎ払う様に刃を振るうと全ての足が切断されユボーガは地に落ちる。腹の下にいた私は下敷きになりそうになるが力任せに腹を殴ればユボーガの体が少し浮くのでその隙に腹下から逃げ出した。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・チッ!まだなの?」
アレだけ切り裂いたが体についた血液がユボーガに戻っていく。まだ奴の体には呪力が残っている様だ。




