Let'sRock!
お待たせしました!
今回は少し長めです!楽しんでくれると幸いです!
決戦の火蓋が切って落とされ戦いが始まった。
私達の最初の作戦は黒と白、ユボーガとガルインのどちらかを先に倒してしまうこと。
狙い目はまだ体力が残っているであろう白い毛並みのガルインだ。
魔獣どもは私を殺すべく二匹で襲いかかってくる、しかし私の二倍はある背丈にもう恐怖は感じない。その頭に付いている左右三つずつ並んだ気味の悪い目に見られても何ともない。
今の覚悟を決めた私ならコイツら二匹なんてぶっ飛ばせる!
二匹は左右から攻めてくるが私の狙いは白い方、ガルインだ。
そっちから潰す!
「粋がってんじゃねぇ!」
白い方が先に鋭爪で切り裂こうとしてくるがタイミングをよく見て剣を構えた後その爪が剣の間合いまで来るのを待つ。
「ッ!」
利刃出鞘、まさにそれが一番合う言葉だった。私はガルインの右爪が間合い入った瞬間クリカラを振るい下から上へと素早く斬り鋭爪が私を傷つけることはなかった。
「何!?」
「焦るな!」
反対側からユボーガが左前足で叩き潰そうとしてくる。
ぐしゃり!肉が裂ける音が響くと私はその叩き潰しを受けてしまった。
「は!この程度だったか、まるでハエ叩きで壁に叩きつけられたハエの様な最後だったな」
「そう?むしろ、私には蜂の毒針に刺されたようにした見えないけど」
「なっ!?」
私は叩き潰しを避けられなかったのではない、避けなかった。今の私の膂力ならコイツらの一撃は受け止められる!
なら、それを活かしてチャンスを作る!
聞こえた肉の裂ける音は私が左前足を受け止めつつクリカラで手を突き刺した音だ。
私がダメージを受けたんじゃない、コイツが傷ついた音だ。
「オラッアアア!!!」
力任せに刺した剣を振り下ろし左前足を切り裂いた後、更に追撃にかかる。
二度と左前足を使い物にならなくする勢いで剣を振りズタズタにしていくと黒い毛並みのユボーガは思わず後ずさった。
「ぐぅう!な、なんだコイツ!さっきとは比べ物にならない程強くなってやがる!何が起きた!?」
「知る必要はないわ、どうせ知ったところで冥土の土産話にしかならないわ」
「調子に乗るなよ!」
呪いと融合の力か、爪を再生させたガルインは私に再び襲いかかる。
その複眼でしっかりと私を捉えていたガルインはその一部の視界を失った。
「がっ!?」
その原因はどこからか飛来した矢だった。
その矢が的確にガルインの真ん中の左目を撃ち抜いたのだった!
「矢だと!?どこから!?」
「あら、よそ見なんて余裕そうね!」
その隙を私は見逃さない、飛び上がりガルインの眼前まで来るとその鼻っ柱に着地してクリカラを下から上に斬り上げ、奴の左目を全て切り裂いた。
「ぐがぁああ!!」
痛みは感じるのか咄嗟に左目を左前足で押さえようとしたのでそれに巻き込まれないように降りながら右目の一番上に剣を突き刺して上から下まで切り下ろした後地面に着地した。
「今なら!」
「待て!後ろから来る!」
会心撃を放とうとするがクリカラの呼びかけに反応して中止する。
横っ飛びでユボーガの攻撃を回避した後、双方を睨む。
よし、弓矢での奇襲は上手くいってくれた。
流石はカレン、あんな距離から当てるなんてね。
作戦会議で決まったカレンの役割は弓矢での後方支援。
奴らは再生こそするが再生するまでは傷ついた器官は使用できなくなるからチャンスを作れる。
さっきの目潰しみたいに撃った後は場所を変えて位置を悟られない様にしてくれている。
「チッ!チビに微かについた匂い、アレはエルフの匂いか!戦いの邪魔だ!ガルイン、殺してこい!」
「オレに指図してんじゃねえ!コイツを殺す!」
「クソが!相手のペースに乗るな!」
ガルインは私に跳躍して飛びかかりそれを見たユボーガは合わせる様に尻尾の棘を飛ばしてきた。正面と上からの攻撃、一方の攻撃を阻止すればもう一方が来るが今の私には関係ない!
「来い!」
上からのガルインの急襲攻撃をクリカラで受け止めた後正面から棘が飛んでくるが前の私とは違うのだよ!
「ふん!」
腹筋に力を入れて固めた後、飛んできた棘がそれに当たる。
ガキン!と腹筋に阻まれて棘は弾き飛ばされた。
「はぁ!?」
「そらよっと!」
受け流していたガルインの攻撃を後ろにそのまま投げ飛ばした。
ガルインが着地すると私はユボーガとガルインに挟まれる形となる。
「優理よ、お主さっき腹筋で弾き飛ばしてなかったか?」
「カレンから貰った、体を硬くして防御力があがる薬のお陰よ!私の腹筋がバキバキな訳じゃないからね!」
「いや、ガキンッ!て金属音してたが?」
「気にするな!」
いやー、あのゲームやってて良かったわ。腹筋でガードなんて、あのゲームやってなかったら思いつかなかったわ。
やっぱり運動は大事ね。
「さてさて、さっき殺すとか言ってたけど後何時間やれば殺せそう?難しいならママに手伝ってもらったら〜?」
「クソガァアア!ぶっ殺す!」
「おい!落ち着け!」
ガルインは挑発に乗り怒りのままに私に突撃してくる。ユボーガはそれに合わせて攻め込んでくる。
挟み撃ちにされるが問題無し、私なら無傷で切り抜けるのは無理かもしれないけど私には頼もしい存在がいる。
「チェンジ!」
「任された!」
私が叫ぶと体の主導権がクリカラに渡る。
これも作戦会議の時に決めていたこと。相手は二匹いる為連携されると剣素人の私では捌ききれない事態があるかもしれない。魔力管理を徹底しないと決定打が無くなる為、クリカラに頼れる回数は少ないがないよりはマシだ。
クリカラは正面に剣である自分を構え、右手を背中に回すと間合いに入るの待った。
焦りもせず、ただ時が来るを待つ。
そして時は来た!
「氷消瓦解!」
正面からのガルインの右前足の振り下ろしを剣で弾き、後ろからのユボーガの左前足の薙ぎ払いを背中を向けて右手で止めみせた。
まるで後ろに目でも付いているかのように完璧なタイミングだった。
「今だ、優理!敵の動きを止めよ!」
「あいさ!そっちも準備しときなさい!」
攻撃を見事いなしたクリカラは私に体の主導権を渡してくれた。クリカラがくれたチャンスをものにしてみせる。
正面のガルインの懐に突っ込むとまずは機動力を削ぐ為に足を狙う。
「はぁあああ!」
構えたクリカラを右からバットを振るみたいにして右後足に刃を入れる。
「チッ!クリカラみたいに上手くいかないか!」
「振り方が間違ってるぞ!なんでバットを振るみたいに剣を使うんのだ!」
「あー!うるさい!」
クリカラは一振りで足を切断していたが技術の足りない私にはまだ不可能。だったらもう一発!
「パワーーー!!!」
足の中心まで入った刃に横から蹴りを加えると見事、切断できた!
一つの支えを失ったガルインは体制を少し崩した。
「うっし!」
「力技すぎる!もっと剣は丁寧に!」
「はいはい!」
「このクソガキがぁああ!!!捻り潰し、ぐっ!」
「ぐがあ!」
二匹が呻き声を上げたのは飛んできた矢のお陰だった。
またまた、カレンが決めてユボーガとガルインの目に矢が再び刺さった!
ん?二発同時?あれ、弓って2本同時に撃つものだったっけ?
まあいいか!細かい事は気にしない!
カレンが決めてくれたんだから私も決める!
「これで崩す!」
力一杯に振り抜いた剣はまた左後足の中心で止まるがまた蹴りを入れて切断する。
「ぐっ!クソが!調子にのって、な、なんだ!?体が上手く動かな・・・」
「もう効いたのね、二発も撃ち込まれれば当然か」
「二発?矢か!あの程度の攻撃でオレが怯むとでも」
「違う!ガルイン!毒だ!この矢に毒が塗ってあるんだ!」
「なっ!?」
「はっ!その反応だと再生しても毒は消えないみたいね!予想的中!アンタらのその再生の力は、呪いで融合の力をまとめてるんでしょ?クリカラが言ってたわ、融合の力は何かを一つにする力。それなら毒を入れたらそれは体と一つになって蝕み続けるじゃってね!」
「く、クソがぁああああああああ!!!魔神様からくれたこの体になんて事しやがる!どうしてくれるんだ!」
「知るかボケ。頭はデカくなっても脳みそはそのままみたいね」
毒はカレンが山をかけまわってその場で毒草と持ってきた素材を調合した特製の毒だ。
人の肌に触れたら大変危険らしく私は瓶に触らせてもらえなかった。
毒の効果として吐き気とか強い痺れとか体の機能を弱らせるとか色々物騒な事をカレンが言ってたけど本当にみたい。
一体どこでそんな危険物仕入れてくるのかしら?
まあ、その危険な毒がコイツらも体をぐるぐると回ってるわけ。足をよく見ると再生能力も弱くなっている、体を働きを元に戻す為に再生しては毒に蝕まれ、再生しては毒に蝕まれを繰り返してのイタチごっこになって他の部位の再生が遅くなっているのか?これは嬉しい誤算だ!
動きは鈍くなり、致命の一撃を入れるチャンスは近い!
後はもう一匹を一時的に動けなくするだけ!
そしてそれはクリカラの番!
「クリカラ!」
「任せよ!炎魔法!」
クリカラの剣先から魔法陣が現れるとそこから大きな火球が現れユボーガに襲いかかり爆発した!
「な!?ぐぁああああああああああ!!!」
「うっわ、痛そう・・・」
火球を浴びたユボーガは全身が炎で覆われ、地面を体に擦りながら必死に消火しようとしている。
つまり、今こちらには手が出せない。
「死ねや!クソガキ」
「うるさい」
弱くなった腕の振り払いを難なく剣で弾き飛ばすとガルインを見た。
「さて、もう深夜だし子供はねんねの時間よ。今、楽にしてあげるわ」
私はゲームで強敵に勝つ方法を学んだ。
自分にはバフをかけて相手にはデバフを。
二体一の場合には速攻で一体を倒す事(しかし同時に倒さないと復活する系のボスは除く)
相手の能力や行動を把握して隙をつく事。
アイテムを惜しまず使い勝つ事。
「お、お前にオレは殺せねぇ!オレにはまだ呪力が」
「その再生能力を飛ばして一撃で葬るわ」
「なっ!?」
「この世はね、勝ったやつが正義よ。勝てば官軍負ければ賊軍、成王敗寇!この世は勝った者こそ正義!だから、アンタが悪で私が正義!私が上でアンタが下!私の人生を邪魔した悪にはここで消えてもらう!はい!クリカラ!」
私が話している裏で魔力を貯めていたクリカラがそれを解放して碧色の光を纏った。
「今ここで、分断する!」
クリカラが叫ぶと同時に私をその剣を振るう、碧色の光を纏った剣はガルインの顔面を切り裂いた!
「ガァァアアアアアアア!!!」
「今だ!優理!」
クリカラが奴の融合の力を分断して使えなくしてくれた、その時間は五秒。
この時間に剣に魔力を込め、破壊力を増した一撃を当てれば倒せる!
山を登る時にクリカラに言われたことを思い出す。
「よいか優理、魔力を込める時は詠唱をするといい。詠唱はただ言うのではなくその言葉を言うタイミングで魔力を込めたりする導となり魔力を込めやすくし周りにどんな魔法を使うかの合図でもあった。詠唱はなんでも良い、だがオススメは自分の信念や決意を表す言葉が良いだろう」
詠唱、言葉はもう決めてある。
「回路解放」
クリカラを眼前に持ってきて構える。
魔力の流れを意識してコントロールする、クリカラが既に私のクリカラとの間に魔法陣で魔力の通り道を作ってくれている。
「私の前に道は要らない。私の後に道はできる。」
落ち着いて、ゆっくりと魔力を流し込んでいく。
この前みたいに焦って魔力を流しすぎると通路が破裂して自分が怪我を負ってしまう。
まだ、私の魔力操作は素人だ。ゆっくり、慎重に流さないと。
少しずつ、クリカラに魔力が溜まっていく。
あと半分!
「誰も邪魔はさせない。私の人生の」
「遅いんだよ!ボケ!」
「ッ!」
詠唱に時間をかけすぎたのかガルインは既に再生能力が元に戻っており傷つけた顔面は治っていた。
お返しと言わんばかりに振るわれた腕をなんとか回避する。
「無駄だったなぁ!?今のが作戦なんだろ?失敗したなぁ?魔力を貯めて何かをしようとしたんだろうが才能ねぇな!」
「失敗?何を言ってるの?」
「は?」
「まだこれから!」
私の魔力操作が遅いのは分かっていた。だからこそ、コイツにほぼ全ての魔力を使うつもりでいた。
もう一匹はなんとかできるからコイツを速攻で片付ける!
「クリカラ!」
「任せよ!」
剣に貯めた魔力を使いクリカラは再び分断の力を発動した。
「断ち切る!」
私はそのまま剣を振るいガルインを切り裂いた。
「グガァァァァァア!だが!なんどやっても!」
やっぱりコイツらは魔力を感じることができない。
憶測や勘で私の魔力を予想していたようだけど私自身もクリカラに感じてもらってるし私達が呪力を感知できない様にあっちも魔力を感じることができない。
だって感じることができるのなら今剣に貯まっている魔力を見て驚いてるはずだから。
さっきクリカラが分断の力を使って少しは失ったがそれでもプラス!
私の魔力操作が遅いのなら間に合うまで分断の力を使って力を剥がし続けるのみ!
一発でできれば良かったけど仕方ない。
二発目で決める!
「私の人生は誰にも邪魔させない!私の人生の開拓は私だけのものだ!」
剣に魔力を注ぎ終わるとその切先をガルインに向ける。
ああ、そういえばこの技の名前絶対変えるって言ったわね。
使うたびに勇者絶対会心撃とか言いたくないし。
そうね、私の道を塞ぐ障害物を破壊して、邪魔するものを滅する技だから・・・
そうね!この一撃の名前は!
「壊滅のッ!一撃ッ!!!」
轟!!!!!!
剣をぶち当てた瞬間に放たれた魔力の奔流はガルインに言葉を発する機会を与えずに消し飛ばした。
それはまるで風船を針で刺した後の様にバン!と消し飛んだのだ。
その衝撃波は森を揺らし地面を削り取り、その魔力の光は月明かりを塗りつぶした。
融合の力を分断されていたガルインの体は跡形もなく消し飛び爆発音だけが彼に対するレクイエムとなった。
これが壊滅の一撃。
「なん・・・だと・・・」
その光景を見たユボーガは呆気に取られていた。
「さて、次はアンタの番」
クリカラの剣先を私はユボーガに向けた。




