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まな板だよこれ!

 「結論!」


 「どうした急に声を上げて」


皇さんと別れた後家に帰って買った本を読んでいたらあっという間に夜が来た。ソファで寝転びながら読んでいた私の横でゲームをしていたクリカラが一旦ゲームをやめて私に向き直った。


 「いや、さっきまで色々読んでたけどその中で色々学んだことがあってそれをまとめようと思って」


 「そうか、それでどうだった」


 「それはね・・・」


物置からホワイトボードを取り出してクリカラの前に置くと私は結論を書いた。


 「よく分からん!」


ホワイトボードにはデカデカとよく分からんとかっこいい筆記体で書いてみた。


 「収穫なしか?」


 「なしって訳じゃないけど、気づいたことがあるわ」


 「なんだ?」


 「私、恋をした事がない!」


 「・・・そ、そうか」


恋はもっぱら落とす方だったし、恋する側の気持ちなんてよく分からない。半分程度、買ってきた本を読んでみたが相手に恋をしたことがないことを知った。そういえばわたし、初恋すら経験したことないわ。


 「この教室という名の銀河であなたとの128ページのこれを読んで見ないさい」


 「なになに、あなたが私に抱いているのは本当に友達としての感情なの?それとも家族とか身内に向けての好きなの?それとも恋してるの方の好きなの?ちゃんと答えて・・・これがどうした?」


 「家族愛と恋人への愛って違うの?」


 「違うのではないか?我は剣だからな、人同士のそういった複雑な感情はよく知らんが」


確かにクリカラは剣だし、人間に恋愛感情とかなさそう。


え?待って、それじゃあ剣が恋愛対象ってこと?


・・・いや、剣は剣だわ。元々恋愛とかしないわ。


何言ってんだ私?


 「でも恋人って最終的には家族になるでしょ?恋人への愛って最後には家族愛になるんじゃない?」


 「それは親と子の愛だろう?親同士は恋人への愛が続いているのではないか?」


 「うーん、そうなの?」


 「優理の親も両親同士の愛と優理に向ける愛は違うだろ?」


ふむ、確かに私の両親は今でもアツアツカップルよりもアツアツで毎日が新婚みたいな感じだけど私への愛と親同士の愛は違うか。


なんかいろんな知識を一気に覚えたせいで迷走してる気がする・・・


 「確かに・・・でもその違いって何?」


 「うーん、その相手との子を成したいかどうかではないか?」


 「こ、子供!?何言ってるの!?」


 「だってそうではないか?恋人とはその人と子を成したいという感情ではないのか?よく分からんがな」


 「違う!絶対違う!恋人ってのは・・・その、綺麗で美しいものだよ・・・」


 「ふわふわとした解答だな」


 「そ、それにそれは性欲でしょ!性欲と愛は違うわよ!」


 「そうか?何にしても我も優理と一緒でよく分からん」


 「はぁ・・・でもこの本達によると恋ってのは性別や種族を選ばないらしいわ。本人にとって魅力的映る人に恋をしてしまうみたい」


 「優理が魅力的に感じると思う相手は?」


 「・・・強さ?」


 「強さ」


 「あと、かっこよさ?」


 「かっこよさ」


 「それと・・・犬系?」


 「犬系、それはどうゆう?」


 「こう、なんていうのかしら。甘えてくるタイプ?尻尾振って側にきてくれて頼ってくれる人・・・かな?」


幅広くゲームをやっているが好きになるキャラクターがそんな感じだったりする。


 「普通に居そうな気はするがいなかったのか?」


 「犬系の人はいたけどみんな私より弱かったし私の方がかっこよかったわ」


 「あぁ・・・人間としては強かったな。その身体能力の高さは昔からか?」


 「そうよ。けど人間として高いってだけでそこまで変じゃないでしょ?」


 「いや、その腕の細さで出せる力ではないが・・・」


 「話が逸れたわね、とにかく恋愛については勉強しておかないとね。ママにでも聞こうかしら」


 「そうするといい。焦らずいこう」


 「そうね、あー気分転換しょ」


ホワイトボードをしまいリビングを離れると廊下を抜けて防音室に入る。


小さい防音室だが夜にギターをかき鳴らしても隣の人に聞こえることのない素敵なスペースだ。この家は一人で住むにはかなり広く寂しさを感じるがパパとママが用意しようとした家はもっと広かったので防音室と通勤距離を理由に説得しここにしてもらったのだ。


 「久しぶりー元気してた?」


ギタースタンドに立てかけてあるマイギターを手に取りストラップを肩にかける。


 「ほう、それは楽器か?弾けるのか?」


 「弾けるわよ、なに、意外?」


ついて来たクリカラにそう返すとチューニングを終えた後簡単なフレーズを弾いてみせる。


ギターはママに教えてもらったもので小さい頃から弾いており中学生では軽音部の時もあった。ママは音楽は幅広く学んでおり音楽家としてはクラシック方面の活躍が多いがエレキギターなどのロック系の楽器もできるハイスペックなママなのだ。


 「おお、意外な趣味だな」


 「ママが音楽家なんだけどギターとかも色々弾けてね、三歳の頃から教わってたの、ブラジャーよりも付き合いが長いわ」


 「その胸の大きさで必要なのか?」


バゴォォオオオオオオオオオオオオンンン!!!!!


 「は???殴るよ?」


 「殴ってるぞ、なんだそんなに触れられたくなかったのか?」


 「誰が胸が山無平野だ!!!」


 「言ってないわ!」


 「いいもん!動きやすいし!歳とっても垂れないし!この身長でおっぱい大きいと不自然だし!機能美だから!不都合はないから!」


 「言い聞かせている様にしか聞こえないな・・・」


 「うるさい!ちくしょう!なんでママはあんなにおっきいのに私はこんな!こんな・・・!」


 「サキュバスと人間では体の作りも違うだろう。サキュバスは体も大きいが人間はそれほどだ。サキュバスに生まれていたなら望む体型になっていただろうな」


くっ!なんで私はこんなにちんちくりんなんだ!?中学生の頃から全く成長してないんだけど!?絶対パパの遺伝子だよねこれ!パパとママ、結構身長差あるし!


いいけど!別にいいけど!


 「優理」


 「なに!?今度また水平線と同じじゃんwwwとか言ったら埋めるからね!これでも多少はあるんだから!」


 「そんな事言っておらんわ!!!電話!電話が鳴ってるぞ」


 「え、ありがとう」


 「全く・・・」


防音室にある机に置いていたスマホを取るとその電話をかけて来た相手は皇さんだった。


 「皇さん?どうしたんだろ?」


今日のワイシャツの件でお礼とか?皇さん真面目そうだしあり得るね。


そんなテンションで電話をとった私に聞こえたのは


 「もしも、」


 「助けて」


 「え?」


 「助けて、襲われてるの怪物に!」


切迫した助けを求める声だった。


その声は確かに皇さんで突然の状況に頭が真っ白になった。


「え、え!?皇さん?大丈夫!?」


私はなんとか言葉を出すが返事はこず電話は切られてしまった。


 「切れた!?嘘、どうなってるの!?」


 「どうした?何があった?」


 「皇さんが怪物に襲われてるって!」


 「なんだと!?魔物か!?」


 「怪物って言ってるから多分そう。あ!そういえば前に皇さんも魔力持ってるって言ってたよね!?」


 「ああ、舞桜は確かに魔力を持っておる。だがなぜこの時間に?家にいるのではないのか?」


今の時間は夜の11時過ぎ、お嬢様である皇さんならベッドに入っているかお勉強しているかの二択だと思うし家の人がこの時間に外出を許すかな?いや、詳しく知らないから分からないけど。それに外にいるのではなく家にいるところを襲われたのかもしれない。


 「分かんないけど・・・助けないと!」


スマホの通知音が響いて皇さんからのメッセージが届いたことを知らせる。


「学校の裏山」


とだけ書いてあった。


学校の裏山は私とクリカラが初めて出会った場所であり魔物に襲われたところでもある。


 「クリカラ!学校の裏山だって!」


 「分かった、すぐに行くぞ。優理よ体を貸してくれるか、魔法で身体強化して最短距離で行くぞ」


 「分かった!お願いクリカラ!」


 「任せよ、窓から飛んでいくぞ」



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