破っていいのはガラスとルールだけ
この私が二日連続で投稿するなんて・・・明日は槍が降るね
本当に私、この人と愛し合う関係になれるのかな。
何もかもが違う気がするんだけど、いや!まだ諦めちゃダメでしょ。
「・・・蓮護さんは宝石を出すのと隠してるのどっちが好み?」
「え?」
魔族は宝石のある種族で体のどこかに拳くらいの大きさの宝石が生えている。その宝石を見せびらかすのは古くからの魔族の文化であり今もそれは続いている。
そして魔族の多くはその宝石を見せびらかす様なファッションをする事が多い。魔族である証の周りを飾り付け見せびらかし自分を誇示するのだ。
実際宝石の色が綺麗で形の整っている魔族は同じ魔族から羨望の眼差しを向けられるとかなんとか。
私は魔族じゃないからよく分からないけど宝石を見せびらかすのは魔族にとって重要な行為であるみたい。
しかし今の時代は普通に隠している人もいる、なぜならどこに宝石が生えるかは個人差があるので見せたくないところにある魔族は服装などで隠す傾向にある。(それでも見せつける人は見せつけるが)
体に宝石がある種族が魔族と分類され魔人にラミアやケンタウロス、セイレーンにヴァンパイアなんかも魔族の分類、ライカンスロープとクーリエは似ているけど宝石の有無で種族が分かれているのもいる。
皇さんの種族である魔人は頭に角、腰に尻尾がある魔族でそれ以外の見た目は人間と変わらない。
皇さんの姿を見るが体のどこにも宝石は見えていない、そして聞かれた宝石を出している方と隠している方どちらが好みかという問い・・・
ここは素直に答えてみよう。
「出している方が好きかな、魔族の人の宝石って綺麗だし思わず見ちゃうんだよね」
「・・・そう」
私の答えに皇さんは短く返した後深く何かを考え込み始めた。
な、なんだ?何か間違った?沈黙が怖いんだけど・・・
私が何か話題を切り出そうとした時、皇さんはおもむろにワイシャツの胸元に手をかけ。
━━━ブチィッ!!!
そのままボタンをちぎり飛ばし胸元から大きく開かれた。
開かれた胸元には皇さんの瞳と同じ色のルビーの様な宝石がワイシャツから解放された喜びからか光り輝いて見えた。
そして胸元がガッツリ見えると言うことは透け防止であろうベージュインナーがはっきりと見えた。
・・・・・・・・・は?
「はぁあ!?ちょ、なにやってるの!!?」
そのあまりに突然の行動に一瞬呆気に取られたが周りに人がいることを思い出しすぐさま皇さんに近寄り開かれたワイシャツを直して隠そうとする。
「何やってんの!何やってんの!?なんで急に解放感求めちゃったの!?」
「・・・つい勢い余って」
「余りすぎでしょ!走り幅跳びだったら世界狙えるレベルの勢いだったわよ!?」
ワイシャツのボタンをかけようとするが、そのボタンがどこかに飛んでいった様であるべき場所に付いていない。
なんてこと、突然の休暇にボタンも驚いているに違いないわね、って考えている場合か!
「え、ちょ、これどうするの?てかなんでこんなことしたの!?もしかして私が宝石見えた方が好きって言ったから?」
「・・・別に、蓮護さんの為にじゃない」
「じゃあなんで!?」
「・・・暑かったから」
「嘘つけ!」
「・・・破きたかったから?」
「私に聞かれても困るんだけど?」
ええい!なんで私の周りには変な女の子しかいないの!?
監禁してくるエルフに続いて突然ワイシャツをぶち破る魔人だよ!
「類は友を呼ぶ・・・」
「なんか言った!?」
「いや、何も」
まったく、この剣はそんなことを言っている暇があったらこの状況をなんとかして欲しい。
てか、マジでこれどうするの!?ボタンは行方不明だし付けるにも裁縫道具とか無いし!
「あ!ちょっと自分で胸元隠してて」
私はその場を離れると見て回った時にワイシャツの場所を覚えていたのですぐに取って会計を済ませる。
ここは洋服店だ、替えの服はすぐ側にあった。これでなんとかなるでしょ。
「はい、これ。着替えてきて」
「でも」
「でもじゃない!この後お稽古なんでしょ、そんな胸元開いたシャツで行くつもり?」
「・・・ありがとう」
私からワイシャツを受け取った皇さんは試着室に入って行った。
はぁーなんとなった。いや、なんで急にワイシャツ破いたの?私が宝石見えた方が好きって言ったから?でも本人は否定してたし、なら本当に暑かったとか?それでも破かないでしょ!ここ冷房効いてるし涼しいし!え?じゃあなんで?もう訳わかない。
私、この人と恋人にならないといけないのよね?行動が謎過ぎてついていけないんだけど?あれか?お金持ちだからワイシャツも破きたい放題な環境で育ったとか?いや、オーガの人でもそんなことしないわ!
やばい、頭痛くなってきた。私、本当にこの人のこと好きになれるの?今のところ告白は保留されてるけどもしこれでOKされても価値観が合わなくて破局する未来しか見えない。
ま、破局したら世界が滅びるんだけどね!
あっはははははははははははははははは!!!!
ふざけんなよマジで・・・
これもあれもそれもどれも、前世の私が悪いんだ。
なんだよ、好きな人と恋人になれなかったからって来世までパスしてくんじゃないわよ。諦めたらそこで試合終了とは言うけど来世まで延長戦してくんじゃないわよ、こっちの身にもなれっての!試合すんのあんたじゃなくて私なんだから!
やるけど、世界を救う為にやるけど!マジで一発ぶん殴ってやりたいわ・・・
ここ一週間で私を取り巻く環境が変わりすぎる・・・
一人暮らし始めて、剣を引っこ抜いて、魔物と戦って、女神に会って、友達のエルフから告白と監禁されて、今は恋人にならないといけない前世が魔王の人に振り回されてる・・・
こんな・・・こんな青春を送るはずではなかった・・・
もっと、こう、普通な感じで、友達いっぱい作って色んなところ行って遊びまくって・・・学校を楽しみまくって・・・
私の・・・私の望んだ青春はどこに・・・
「ありがとう、蓮護さん」
「・・・別に良いわよ」
私のネガティブになっていた思考は試着室のカーテンを開ける音と皇さんによって止まった。
ありがとうと言われた際に放たれた笑顔は私の中のモヤモヤを全て吹き飛ばしてしまった。
くぅ、顔が良い!お金も持ってて美人なんて何を持ってないの!?
ま、まぁ?私も美少女でママとパパが頑張ってるからお金に困ったことないし?どっこいどっこいって感じ?
「そうだな、そこに付け加えるなら舞桜は成績優秀で優理は違うと言うことだ。というか何を張り合っているのだ?」
「べ、別にいいでしょ!」
そうだ、何を張り合っているんだ私は。
笑顔に動揺してないでこっから相手の事を知るのよ、知っていけば理解できるかもしれないし!
「あの、皇さん」
「お嬢様、お召し物の用意が整っております。どうぞお戻りくださいませ」
私が話しかけようとした時、いつの間にか隣には黒服の女性が立っていた。
この人がSPさんだろうか。
「・・・時間が来てしまったみたい。ごめんなさい、私のせいで遊ぶ時間が減ってしまって」
「大丈夫だよ、また機会があるでしょ」
「・・・そうね、また会えるわよね」
「ん?学校でいつでも会えるでしょ。それと告白の返事、ちゃんと考えておいてね」
「うん、ちゃんと考える」
その後皇さんはSPの人に連れられて帰って行った。帰る時にSPさんから買ったワイシャツ代を払うと言われたが断った、そんなに高くなかったしあの笑顔を見れただけでも価値はあったから。
・・・何言ってるんだろう、私。




