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貴様ぁあああ!!!

息抜きでミッドナイトノベルズにて短編投稿してますので見てくれると嬉しいです!タイトルは心臓に咲き誇る依存の花です。倒錯的百合ものでこの作品とは作風全然違いますけどね。


それでは本編どうぞ!

案内されたのは一つの空き教室、持国さんは部屋に入った後誰か忍び込んでいないかの確認だろうか、くまなく教室を調べた後入室を促した。


机を動かして対面で座り弁当を広げ、持国さんは竹刀袋から木剣を取り出した。そしてそのまま私と皇さんの机の横に立つ。


 「え?なんで木剣?」


 「貴様が不埒な事をした時制圧するためだ」


 「しないよ!?私をなんだと思ってるの!?」


 「貴様、二日前私の横を通り抜けて舞桜様に近づいたのを忘れたのか。あの時は不覚をとったが今回はそうは行かん」


いや、あれは私じゃなくてクリカラなんだけど・・・説明しようがないしこのままか、はぁ・・・


 「えっと、皇さん話って」


 「貴様ァ!」


 「へ?」


私が話しかけた途端に木剣を振りかぶり一瞬で首に当てた。


 「きゃああああ!?なにすんの!?」


 「貴様、話は舞桜様からされる。それまでその美味しそうな弁当でも食べていろ!」


 「普通に言ってくんない!?木剣を首に当てる意味ないよね!?」


 「律、落ち着いて」


 「は!失礼しました」


その後持国さんは私に向かって舌打ちをした後木剣を首から離した。


その間も皇さんは眉ひとつ動かさず持国さんを落ち着かせお弁当をお箸で食べていた。いや、少しは驚こうよ。あんたの護衛、凶暴すぎない?


 「むう、あの護衛やるな。今の優理では全く勝ち目が無いぞ、我が出ないと」


 「マジ?皇さんの護衛だから実力は確かなんだろうけど・・・」


これでも喧嘩には慣れていて強い方だと思ってたけど勝ち目が無いと言われる程とは。てか、持国さんの種族ってなんだろ?人間かカルノクス?


 「いただきます」


 「あ、いただきます」


聞いただけで清らかな声が私に響くとそれに合わせていただきますを言う。


皇さんのお弁当は意外にもシンプルだった。


お嬢様だから牛肉に金箔でもふりかかってるのかなと思ったら肉は少なめで野菜と魚中心だ。バランス重視というか栄養が考えられてそうなお弁当だ、専属シェフが作ってくれたのかな?


私よりもお弁当箱は小さいが彩りは皇さんのお弁当の方がある。私は自分の好きなものを詰め込んで申し訳程度の野菜を入れるだけなので全体的に茶色になりがちだ。いいもん、自分で作るなら美味しいものいっぱい食べたいし。


持国さんの言う通りに皇さんが話すまでお弁当を食べるが空き教室は箸の動く音と人の音しかしない。


き、気まずい・・・


うう、黙って食べるのって苦手なのよね。みんなで話しながら食べる方が絶対に良いに決まってる。


皇さんの方を見る。


皇さんは食べる姿すら美しかった。弁当からご飯をお箸で摘んで取り、口に運ぶその所作さえも丁寧で美しい。皇グループのお嬢様なのは知っているけど所作だけでも見惚れてしまう。


艶のある黒髪に赤のインナーカラー、黒い角に凛々しい顔。

今、一緒に食事しているのが信じられないほど住む世界が違う人。


そんな人と私恋人にならないといけないんだ。なんだか今でも信じられない。恋人になったらどんなこと話すんだろ?趣味とか好きなものとか全然知らないね。てか、顔綺麗ね。

傷ひとつないっていうかまるで宝石みたい。


 「貴様ァア!」


 「きゃああああ!?」


持国さんが再び私の首に木剣を押し当てて来た。


 「貴様、舞桜様をいやらしい目で見たな!!!」


 「見てない!見てないって!ただ、綺麗だなーって思っただけ!」


 「見ているではないか!」


 「いやらしく見てはないでしょ!」


 「律、落ち着いて」


 「は!失礼しました」


デジャブ?さっきもこのやりとりしたわよ。


持国さんは再び舌打ちをした後木剣を首から離した。木剣とはいえ普通に怖いからやめて欲しいんだけど?


しばらくお弁当を食べていると皇さんが口を開いた。


 「・・・最近どう?」


 「え?最近?」


 「うん」


 「えーっと、普通かな?」


 「そう」


 「うん」


 「・・・・・・」


 「・・・・・・」


お父さんか!!!思春期に入った娘と会話がなくてなんとか話題を切り出すけど短いやり取りで終わっちゃうお父さんか!


え?なに?告白の返事を聞きに来たのよね私?なんで最近のこと聞かれてるの?


普通って答えちゃったけど全然普通じゃないし。


 「貴様ァァアア!」


 「ぎゃあ!今度は何!?」


 「口元に米粒がついてる、舞桜様の前だすぐに整えろ」


 「普通に教えてくれる!?いちいち木剣突きつけないでさ!」


 「律、ありがとう」


 「は!恐悦至極でございます」


なに?なんなの?こっちは告白の返事が来るってそわそわしてたのにいつのまにかコントに参加してたの?


そんなこんながありながらお弁当を食べ終えると同じタイミングで皇さんも食べ終えた様だ。


 「蓮護さん」


 「は、はい」


そしてやっと皇さんは私の目を見て話し始めた。


 「まずは蓮護さんに感謝を。想いを伝えてくれてありがとうございます」


 「あ、はい。どうも」


 「それで、その返事なのだけど」


 「うん」


いよいよ来たわね。付き合うか断られるかの二択。正直に言うなら断られる方がいい、友達から始められるし一歩一歩進んでいける。でもいきなり付き合ってなると私もまだ分からない部分が多い。そもそも女の子同士だしどう付き合うか全然分からない。けど、もしそうなったらしっかり考えないとね。


さあ、私は逃げも隠れもしない!どんどこい!


 「もう少し待ってくれないかしら」


 「・・・うん?」


へ?待ってくれないかしら?


 「えーっとつまり今日呼び出したのは」


 「告白の返事を保留したいという事を伝えたかった。身勝手な事は分かっているけど真剣に考えて答えを出したい。正確には休日に考えて答えを出すから4月13日に告白の返事をするわ」


な、なんじゃそりゃあー!私結構真剣に返事に対してどうしようか考えてたのに!まさかの保留!?


 「あー、えっとそうなんだ」


 「いいかしら?」


 「あ、うん。別にいいよ。返事を急いでるわけじゃないから。ただ今日返事が返ってくるって思ってたから拍子抜けだっただけ」


 「そうだったの。勘違いさせてごめんなさい」


 「謝らないでいいわよ。それに真剣に考えてくれるって事でしょ?嬉しいわ」


 「・・・うん。真剣に考えてるわ」


その時の皇さんの表情はとても可愛らしかった。いつもは凛としている彼女だけど今は張り詰めているものが解けた様に少女の様な顔をしていた。


ああ、そっか私が皇さんの事綺麗とか宝石みたいって思うのは大人みたいって感じてたのね。


恐らく同い年の女の子なのに私より遥かに大人で子供っぽい私とは全然違う。けどその大人の表情を崩せて嬉しくって喜んでいるのね私。


笑って欲しいのかしらこの人に。それともただ大人の様に振る舞っているこの人に子供の様な顔をさせたいだけなのかしら。




・・・分からないわ。



その後解散となり空き教室の片付けは皇さん達がしてくれとのことで先に教室に帰ることになった。その帰り道の廊下でクリカラと話す。


 「朝言った約束破っちゃったわ」


 「仕方ないだろう、相手がまだ返事が出せていないのだから」


 「うーん、私としては断られると思っていたんだけどね。急だったし前に星花さんがいつもはその場でバッサリと断るって言ってたから」


 「そうはならなかったという事は優理の事を真剣に考えているということでもあり、他のは違う扱いをしているということでもあるだろう」


 「そうかしら?」


 「そうだとも。我はそうだと嬉しい、優理の前世から我は二人の恋路を見守って来たのだ。二人が恋人になるのを見るのが我の夢といってもいい」


 「ふーん・・・うん?私の前世って勇者よね?」


 「そうだ」


 「魔王の前世は皇さん」


 「そうだ」


 「勇者は魔王を倒して世界に平和をもたらした」


 「そうだ」


 「いや、殺してんじゃん。今まで考えてなかったけど殺し合いしてんじゃん!それで恋人になろうとしてたの前世の私!?」


 「あれは・・・仕方なかったのだ。ああしなければ魔王軍は止まらず世界に侵略を繰り返していただろうしそれを止めるには大将である魔王を殺し勢いを止めるしかなかった。そして最後の最後でお互いの気持ちを伝え合ったのだ」


 「・・・そうなんだ。正直言ってまだ女の子同士の恋愛とか分かんないけど・・・なんとかしてみるか」


 「そうしてくれると助かる。安心せよ、お主は二人ならきっと恋人になれる」


 「ありがとう、クリカラ」


ま、細かいことはいいや。返事は休み明け聞けるしそれまでは青春を楽しもう!放課後はカレンと仲直りデートだし!


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