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第3話 6

6

 黒いロボットの蜘蛛があたし達を囲んでいる周りにいろんな格好の屈強そうな男達が集まってきた。40人以上いそうだ。

この人達はどこから来たのだろうか?この人達は味方なのだろうか?何人かはどこかで見たことがある顔をしている。妙にイケメン揃いだ。


「ようやく来たか。おい、正殿!お前達は包囲されている!もう逃げられないぞ!あきらめてその子達を解放するんだ!」定食太郎さんが正殿達に話しかけている。


「なにを言っている?こちらには人質がいるんだ。お前達にはどうしようもない。人質には痛い目に合ってもらうことにするか」

 なにをするつもり?駄目!そんなことしちゃ駄目だよ!


「正殿、ちょっとやり過ぎよ?子供に怪我をさせるのは契約違反よ?」

吹雪が正殿に注意しているが、敵にもルールがあるのだろうか?

「そんなこと知ったこっちゃない。俺は俺のやりかたでやる。口出しするな、吹雪さん」


 状況は膠着状態だ。だが、なにか音がする。だんだん音が大きくなってくる。地響きのようだ。なにかがものすごい勢いで近づいてくる音だ。これは何?敵なの?味方なの?


「こぉらあー!お前達!なにをやってるの!その子達を放しなさい!さもないと!おほほ!」

 蜘蛛を包囲している男達の後ろから、さらに四人のおばさん達が駆けてきた。このどこかで人達見たことがある。ものすごい迫力だ!

「この間は諏訪湖でひどい目に合わしてくれたわね!おほほ!」「この間といい、今日といい、もうゆるさないわよ!おほほ!」「小さな子をいじめるなんてゆるさないわよ!おほほ!」

 あれは『おほほ星人』のおばさん達!なんでこんな所に!?この間は五人いたのに今日は四人だし!でもわたし達の味方になってくれるんだ!・・・でも緊張感ない。

「ああー、母さん・・・」定食太郎さんが力なくため息をついた。そう言えば定食太郎さんの苗字って銀鮭だったから?ん?風雲、若鮎、桜鯛、初鰹・・・。アフロの初鰹さんがいない?


 敵方では吹雪が涙目で「ひぃいー」と震えている。『おほほ星人』がよほど恐そうだ。ひょっとして『おほほ星人』になにかトラウマを?

 これはチャンスだ。敵も仲間割れしているようだし。今の内になにか打開策を。


 ふと正殿達の後ろに小さな影が見え隠れする。あれは?あ、そうだ!あたしは一か八か、無茶を承知で行動することにした。


 月平にもなにも言わずあたしは急にとらわれているズズちゃん達の方へ駆けだした!

あたしの急な動きに驚く正殿達、だが彼らはスズちゃんを捕らえているロープを引っぱり、スズちゃんを逃がさないように、自分の方に引き寄せた。

 あたしに気をとられた隙に、正殿の後ろにいた黒いモノが正殿の後頭部に飛びついた!乱ちゃんのパートナーMoNStErカラスの黒光勘九郎が正殿の頭をクチバシでつついたのだ。


「なにをする!」

 あわてて勘九郎をふり払おうとするが、勘九郎は巧みに位置をずらして頭をつつき続ける。横にいた吹雪も勘九郎を追い払おうとするがなかなかうまくいかない。近くにいた竜田揚紅茶は冷静にスズちゃん達を押さえたままだ。

 正殿がたまらず一歩前に足を踏み出した時、正殿は何かを踏んづけた。その瞬間に、何かは1mもの大きさに膨れあがり途端に正殿は1mも飛び跳ねた!

層君のパートナーMoNStErカエルのぴょん吉が踏まれた衝撃で膨れあがったのだ。跳ねた正殿は衝撃で竜田揚紅茶にぶつかり、つかんでいたロープは手から離れた。


 走って近づいていたあたしは丁度いいタイミングでロープをつかむことができ、スズちゃん達を確保した。

 あたしの後ろから月平が走って来て、竜田揚紅茶を羽交い締めにして動かなくさせ、正殿もまた走って来ていた定食太郎さんに地面に押さえつけられていた。


 まさに一瞬の出来事だった。あたしはスズちゃんと御心君のロープをほどいて解放する事ができ、吹雪は走って来たメルちゃんが、これもどこからか出してきたロープでぐるぐる巻きにして捕まえていた。


 あー、よかったー。一時はどうなるかと思ったよー。あたしはスズちゃんを抱きしめて、ほっとしたのか涙を流していた。

「マキねっちゃ、ありがと。つかまってごめんね。わ、すごく恐かったの。御心君も捕まって、わ、どうしていいか・・・」

スズちゃんもあたしと一緒に泣き出してしまった。スズちゃん、泣いちゃ駄目だよ。スズちゃんが泣いたらあたしもっと悲しくなって、もうだめ。

「すずちゃーん。ぐすっ、ぐすっ、わーーん」


「御心さん、ご無事でよかったです!」

メルちゃんも御心君を抱きしめて泣いていた。御心君はメルちゃんの豊満な胸に顔を締め付けられて苦しそう。あたしだってスズちゃんにむぎゅー!・・・無理でした。


「マキ、まだ終わっていない。あれを見ろ」

 月平が指さした先を見ると、周りのロボット蜘蛛がかさかさとこちらへ近づいている。こいつらは正殿が操っているんじゃなくて、人工知能で自分で考えて動いているんだ!

あたしたちはそれぞれ吹雪の一味を捕まえて押さえ込んでいる。このままじゃ蜘蛛に襲われて、吹雪達は再び逃げ出してしまう。万事休すか!

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