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第3話 5

マキ視点に戻ります。

5

 蜘蛛型ロボットは逃げるあたし達の所に追いついてきた。

 大きさがおおよそ50cmの細長い足を八本持った艶のない黒い蜘蛛は、あたし達に追いつくと、背中のプロペラを停止させて、地面に降り立った。しかもひとかたまりにいるあたし達四人を3mくらいの距離でぐるりと取り囲んでいる。 

 

 蜘蛛の後ろに人影が見えた。あれは新入社員研修のときに吹雪と一緒にいた正殿融(せいでんとおる)、なにかコントローラーの様なモノをもってこちらへ歩いてくる。

「さあ、ここまでだ。おとなしく第三世代を渡してもらおうか?」

「あんた馬鹿なの?こんな蜘蛛のおもちゃ、月平が簡単にやっつけちゃうわよ!」

 こんな細い足の蜘蛛なんて月平からしたら楽勝だよ!20体だってへっちゃらだよ!たぶんだけど!


「じゃあ、これではどうだ?」

 正殿が指をぱちんと鳴らすと、正殿の後ろから黒糖吹雪と竜田揚紅茶、そして縄に二人で縛られたスズちゃんと御心君が現れた。

「え?いったいどうしたの?」

 あたしは自分の目が信じられなかった。

「マキねっちゃ、ごめんなさい」スズちゃんがとても小さな声で話しかけてきた。「急にこの黄色い人がわたしたちにローブかけてきて・・・」

「お姉様、申し訳ございません。僕がいながらスズちゃんに迷惑を・・・」

 いやいや悪いのはあいつらだから!スズちゃん達はなにも悪くないから!


「ヘイ、ジャージガールー。妹さんはー、いただきましたよー♪」

ヘンタイ一号はさっきもスズちゃん達を捕まえようと襲っていたのか!あのとき逃がさないでいれば!すごく悔やまれる。

「雪ちゃん、絶対に鞄から出てきちゃだめだよ。大丈夫だからね。出てこないでおとなしくしていてね」

「マキちゃん?わたしスズちゃんを助けたい。わたしあいつらに捕まってもいいから、ズズちゃんをたすけて!ね?」


「さあ、今度こそ第三世代を渡してもらおうか。さもないと君の妹は大変な目に合うことになる」

 やはりあいつらの狙いは雪ちゃんか。でもスズちゃん達を人質にして雪ちゃんを奪おうというの?

「そんなの選べないよ・・・・。あたしスズちゃんと雪ちゃんどちらかを選べなんて言われてもむりだよ!そんなのひどすぎるよ!あたしどうしたらいいの?わーーーーー!!!」


 あたしはストレスで頭が真っ白になって、どうしようもなくて思わず叫びだしてしまった。

だってスズちゃんは大事なあたしの妹で、雪ちゃんは大事な友達で、どちらかを犠牲になんかできない。

あたしにとってはどちらも大事で、あたしにとってはどちらもかけがえのない家族だから。

あたしには無理、無理だよ!あたしはいつの間にかうずくまって涙を流していた。

あたしがしっかりしないといけないのに。大変なのはスズちゃんと雪ちゃんなのに。あたしの命だったらいくらでもあげるのに、あたしがしっかりしないといけないのに・・・。


「鉄火さん、しっかりして下さい」定食太郎さんがあたしを励ましてくれるが、今のあたしには重荷にしかならない。

 

「マキ、お前はしっかりしなくてもいい。いつものお前のままでいい。俺が、俺たちがお前を守る。お前達を絶対に守ってみせる。だから泣くな」

 月平があたしの負担を軽くしようと慰めてくれる。だけど解決策がなにもない。

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