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第2話 7

7

「あんな、このまま帰っちゃうのももったいないから、もうちょっとだけパークをまわってみいひんかな?」

アフロさんがいきなり提案してきた。

「そうだね。今日は歓迎会らしいことなにもしてないからいいんじゃないかな?実は15時からJIM148の『スタンプゲーム』があるんだよね。月に1回しかないから、折角だから遊んでいこうよ」

定食太郎さんが言った。JIMウォーカー2043年版によると、『スタンプゲーム』とは城ヶ島全体に、1時間だけJIM148のアイドルが散らばって、探し当てるとスタンプがもらえるので、その数を競うゲームということだ。もう少しマシなネーミングなかったのかね?

「お前らがどうしても、と言うなら俺は仕方がないが合意してやるぞ」

山猿男がしぶしぶ合意した。ように見える。


「今日は青婦部と新入社員との交流を深める目的なので、青婦部と新入社員がより親密に会話ができるようにしたいと思っています。そこで、くじ引きでランダムに二人ずつのカップルとなるようにしたらどうかと思って、用意してきました。じゃーん!」

定食太郎さんがどこからか、手が入るくらいの紙の赤い箱と青い箱を出してきた。中にくじが入っているらしい。


「赤い箱には新入社員用の番号札、青い箱には青婦部の幹事用の番号札が入っています。

順番に引いてもらって、同じ番号の人と一緒に、夕方までパークを廻ってもらいます!」

 ふーん。まあ別にいいんじゃないかな?

「あなたたち、なにか企んでいるんじゃないでしょうね?怪しいけど?」

咲さんが疑っている。怪しいかな?

「咲、そんなことないだろう。くじは公平だぜ?」

山猿男が言うと逆に怪しい。

「あーん。わたくしマキちゃんと一緒に廻りたかったんですのに・・・・」

もちろん、あたしもメルちゃんと一緒に廻りたかったよ!でも今日だけはしかたないか。すでに迷惑かけちゃってるし。でも山猿男だけは絶対に絶対に嫌だ。


 くじ引きが開始される。くじの箱は定食太郎さんが持って、呼ばれた人が順番に手を入れて札をとっていく。

 最初は月平、次に層君、乱ちゃん、あたし、そして最後にメルちゃんだ。札の番号はなぜかきれいに月平から1,2,3,4,5になっていた。

 次に青婦部の幹事の皆さん、若鮎さん、咲さん、アフロさん、山猿男、そして最後に定食太郎さん。これも札の番号はきれいに1,2,3,4,5。

 ふーん。偶然だけどそんなこともあるかな?でも一番嫌だった山猿男がカップルになっちゃった。向こうもあたしのことを嫌だろうからおあいこか。

 と、あたしがあきらめていると、月平が、

「ちょっと定食太郎さん、箱を見せてもらえませんか?」

 月平にしては珍しいね。どうしたの?


 箱の底にも穴が開いていて、渡したい札を定食太郎さんが持っていて、上から手を入れた人に、渡したい札を差し出せるような構造になっていた。

「あんたたちはまったく昔からこんな悪さばっかりして!」

咲さんが男三人に正座させて頬をつねる。


「わたしたち四人は小学校、中学校はずっと一緒だったの。わたしと朝海は高校から別だったけど、この馬鹿と定食太郎は横須賀の工業高校も一緒。通称ダブル馬鹿。そして就職先も一緒で、そこにアフロが加わって三馬鹿になったの。いつも馬鹿やってるんだよ。」

 なるほど昔から馬鹿だったんですね。で?

「だから今のくじ引きは無効です!男どもは一緒に回りたい人に自分できちんと申し込みなさい!

 スズちゃんと御心君はごめんなさいね。馬鹿な大人を見せてしまって。こういう大人にはならないように今日は反面教師を見ることが出来た、ということで許してね?」

 あー、なるほど。昔から咲さんが仕切ってたんだね。委員長タイプだったのか。

「は、はい。僕もスズちゃんに嫌われないように気をつけます」

 御心君、言葉を選んだね。この中で一番大人だよ。スズちゃんのことは頼んだよ。ううう。

 

「衣奈さん!僕と一緒に廻って下さい!お願いします!」定食太郎さんがメルちゃんに頭を下げた。

「わたくしマキちゃんと廻りたかったのですが、そこまでおっしゃるならよろしいですわよ」メルちゃん優しいね。


「レイノルズ・乱さん、俺と水族館行きませんか?」

アフロさんが乱ちゃんに申し込んだ。

「まあ、ええよ。そのかわり面白いことして、ウチを笑わさなあかんよ?」ハードル高いね。


「あの・・・、レイノルズ・層君!わたしと廻りませんか?」

男子じゃないけど、若鮎さんがもじもじと層君に申し込んだ。おおー、若鮎さん、イケメン狙いだ。やるねー。

「こちらこそ喜んで」層君って大人だねー!


「あ、あんたはみんなに迷惑かけたから、わたしが責任もって監視しておくからね!」

咲さんが堂々と山猿男を押さえ込んだ。助かったー。咲さんかっこいいー!

「えー、なんでだよ?」山猿男往生際悪いよ。


 じゃあ、最後に残ったのはあたしと月平か。まぁ月平ならいいかな。しかたがないからつきあってあげるよ!

「鉄火、俺でいいか?なんかスマンな」


 メルちゃん×定食太郎さん、乱ちゃん×アフロさん、層君×若鮎さん、咲さん×山猿男、そしてあたし×月平のカップルで残りの時間、パークを廻ることになった。

 スズちゃんと御心君はやっと解放させてあげられた。お二人ともお元気でね。達者で暮らすんだよ?でもスズちゃんに手を出したら再起不能にするけどね。


「月平、どこか行きたいところある?あたしは今日は特にないんだ。朝のウチに大変だったからさ、はは。」

「鉄火、もしよかったら、その、行きたいところがあるんだが、いいかな?もしも嫌だったら断ってくれてもいいが」

「んー、いいよどこでも。でも変な所はだめだからね?ちなみに変な所ってどんな所だ?とか聞いたら再起不能だよ?」

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