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第2話 4

4

「それじゃ、行くね」

 あたしはぐっすりと眠っている雪ちゃんをメルちゃんに預けた。そして緊張しつつ、30mの高さまで螺旋階段を昇っていく。バンジーの紐のフックを付けるためのハーネス型安全帯付きジャケットもきちんと着込んだ。

 吊り橋はあたしが思っていたよりも揺れが少なく、あたしは持ち前の足の速さですんなりと駆け抜けた。ここでだいぶ時間を短縮したね。

 次のバンジーの紐を繋ぐところでもたついてしまった。ハーネスの安全帯のフック用金具は背中に付いているので場所がわからなく、なかなかフックが引っかからない。

カチャっとようやくフックがかかった。引っ張ってみて外れないから大丈夫だね。

 と、ここであたしは大変なミスをしてしまっていた。焦っていたせいで、二個フックを付けなければならないところを、一つしか付けていなかったのだ。しかもフックの外れ止め装置にもう一つのフックが引っかかって正しく働いていなかったらしい。

 あたしは気がつかず、かなり時間をロスしてしまっていたので、思いっきり踏み台からバンジージャンプした。実はこれが初バンジーだったが、そんなもの楽しむなんて余裕は一切ない。

 バンジーは幸いにも無事にできて、あたしはぶらぶらと、10mの高さに吊り下げられていた。今度は体を揺らしてはしごに取り付過なければならない。しかし体をどうひねってみても体が振り子のように揺れていかない。

 みんなが下で見ている横に大きな電光表示板があって、おおきな赤いランプが経過時間を表示している。もうすでに45秒が経過している。ハンデの10秒を足しても60秒までもう時間がない。

 あたしは焦って体をぴょんぴょん跳ねるように動かしてみたりしたが、一向に左右に振れてこない。あせって、さらに思いっきり体を動かしてみた。

 と、その時にあたしの体がふっと急に落下する感覚があった。

 あれ?なに?あたし落ちてるの?このまま死んじゃうの?一瞬で考えられたのはこれだけだった。最後に走馬燈見たかったな・・・・。


 落ちたあたしを受け止めたのは月平だった。あたしの動きがおかしいと思って、柵で入場禁止になっていた、あたしの真下までダッシュで向ってくれたそうだ。

 あたしは恐かったのと、ほっとしたので月平にお姫様抱っこされているまま、不覚にも泣いてしまった。だって、本当に恐かったんだから。月平ありがとう!

 

「事故があったが、勝負は俺様の勝ちだな。約束どおり・・・」

ばちん!

一瞬なにがあったか誰もわからなかった。

咲さんが山猿男の頬を思いっきりビンタしたのだ。

「咲!なにしやがる!」

「あんた本当に馬鹿ね!どうしようもない大馬鹿だね!あんたなんて死んでしまえばいいのに!」

咲さんそこまで言わなくても。あたしも思ったけど、言わなかったんだから・・・。

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