第1話 15
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高校の近くの喫茶店に四人で入った。
「あたし、スズちゃんが学校でいじめられているので、犯人を捕まえに来たんだけど?」
「わ、学校がら家さ帰るどごだったの」
「僕は鉄火さんに告白しようと」
「わたくしは御心さんを迎えに来たのですけれど」
話を整理すると、スズちゃんが学校でいじめられているというのはスズちゃんの勘違いだったらしい。ここにいる御心君という男子がスズちゃんを好きだということで、他の人達が遠慮して遠巻きにしていたということのようだ。御心君はこの高校の理事長の息子なのでみんな気をつかってたらしい。
でも、本当なのかな?なんか話が出来すぎでひっかかるけど。
御心君はメルちゃんの弟でメルちゃんもここの卒業生。
そうだったのか、やはりお嬢様だったんだね。
「で、なんでウチの大事な妹を入学から短期間なのに好きになって、告白までするのよ。スズちゃんをだまそうとしてるんじゃないの?」
「はずかしながら一目惚れで・・・」
よく見るとこの子美少年。あたしも一目惚れされたかった。目元が涼やかで鼻筋が通っていてメルちゃんによく似ている。
「メルちゃん、いいの?弟さんがどこの馬の骨ともしれない美少女にぞっこんなんだよ?」
馬の骨の美少女はあたしの妹だけど。それに今時の高校生は恥ずかしげもなく好きだとか告白したりするの?告白できるの?あたしは年齢イコール彼氏なしなので、告白されたこともない。
「もちろん困りますわ。御心はわたくしの大事な弟ですから。しかし」
メルちゃんはスズちゃんの方をじっと見つめて言った。
「マキちゃんの妹様でしたら大歓迎ですわ。もしも御心さんとスズちゃん様が結婚したら、わたくしマキちゃんの姉妹となるのですね。この場合どちらが姉でどちらが妹なのでしょうか?わたくしとしてはマキちゃんにお姉ちゃん、と呼んで欲しいと・・・」
メルちゃん脱線しながらもだえてるよ!
「でもあんた、スズちゃんを無視してたんでしょ?スズちゃんの証言があるわよ?どう申し開きすんのよ?」
「え?僕は無視していませんよ?むしろお話したかったのですが、恥ずかしくて何も言えず・・・。今日こそ告白を決心して校門までついて行ったのですが、そこにお姉様方がいて・・・」
もしかしてあたしが御心君の告白を邪魔しちゃったの?
「鉄火さんの南部弁を聞いたときに僕のハートはこう、きゅーっと絞られたような、なんともいえない感じがあって、これが恋なんだと。『方言萌え』たまりません!」
あんたもかい、男子。
「御心君くらい美少年だったら、告白してくる女子なんて多いんじゃないの?彼女とかいなかったの?」
恋バナは大好物です。しかもリアル美少年の!
「いえ、今まで女性とおつきあいしたことはありません。なぜか僕に近寄ってくる女子はほとんどいませんでしたし。
お姉様!鉄火さんとの交際をお認め下さい!」
スズちゃんは嫁にはやらんよ!あ、スズちゃんのこと忘れてゴメンね。
「で、スズちゃんはどうなの?いきなりこんなこと言われても困るよねー。さっきまでいじめられてるって思ってたわけだし。お姉ちゃん無理だと思うよ?お姉ちゃんの経験上、こんなイケメン苦労するよ?」
神様ごめんなさい!見栄はってました!羨ましいだけです!
「わ、でよがったら・・・」
スズちゃんがもじもじしながら御心君の方をちらちら見て恥ずかしそうに言った。スズちゃんもイケメンがいいの?この子のどこがいいの?顔?
えー、なんでー?なにこの展開?おかしいでしょ?お姉ちゃんだってまだ彼氏いないんだよ?だって、年齢的にあたしが先に幸せになるんじゃないの?違うの?なにか間違っているの?
スズちゃんの幸せよりもあたしが不憫で涙を流していると、隣のメルちゃんがあたしにハンカチを差し出して、
「マキちゃん、なんてお優しい。わたくしもお二人の幸せを祈っておりますわ。そして一刻も早くマキちゃんと姉妹の契りを・・・」
二人が結婚とか話が早すぎるよ!都会の人の思考はどうなってるの?
ここは若い二人に任せてお邪魔虫は退散いたしましょう、というメルちゃんに引きずられて、あたし達は喫茶店の外に出てきた。二人っきりにしたら危ないよ!男はオオカミなのよ!
「もしかしてメルちゃん、知ってた?御心君がスズちゃん好きだってこと?」
「うふふ、どうでしょうか?わたくしは御心さんの味方ですから」
「さっき、御心君が言っていた、女の子が近寄ってこないってどういうことかな?よほどもてないんだ?」
「うふふ、どうでしょうか?わたくしは衣奈家にふさわしくない子には近寄ってもらいたくないだけですけど」
なんか、メルちゃんの笑顔が恐いよ。なにかしてたの?御心君大丈夫なの?




