第1話 2
2
先輩の説明を要約すると、こういうことだ。
「鉄火マキさんはあまりにも可愛くて賢いから、どうしてもこの課で欲しくて、物流課から無理矢理奪ってきましたとさ。おしまい」
「おまえ人の話を全く聞いてなかったろ。話が進まないからちょっと黙っててくれないか?仕方ないからもう一度言うぞ。
ここ環境安全課は一年前にできたばかりの新しい課だ。ここの工場では安全関係の管理は伝統的に各課に任せっきりだったから、課によってレベルがばらばらだった。しかも最近は小さな事故がだいぶ増えてきているから、大きな事故が起こる前に工場全体できちんと管理していく課を作ることにした。それで柳沢課長と、当時研究所にいたオレの二人で仕事を始めたが、やることが多くすぎて二人ではとても無理だということで、もう一人くれと部長にお願いしていたんだ。で、ようやく増員が認められてやって来たのが君だ。って聞いてるのか?」
「わかりましたが、あたし物流課に決まっていたんですよ?なんで安全とか化学とか全くわからないあたしを選んだんでしょうね?やはり可愛いからでしょうかね?」
「知るか」
あー、適当に流したー。ちゃんと突っ込んで下さいよー。乱ちゃんなら会心の一撃がくるのに、素人はこれだから。まったく。
ぴんぽんぱんぽーん。ぴんぽんぱんぽーん。ぴんぽんぱんぽーん。ぴんぽんぱんぽーん。
この曲は?お昼の本鈴?
「ああ、お昼休みの合図だ。お昼はお弁当か何か持ってきてるか?この工場は食堂があるから利用してみたらどうだ?行くとびっくりするぞ?」
「あたし何も持ってきてないので、食堂行こうと思います。どこでしょうか?」
「ああそれなら、マキちゃんが着替えしていた新事務棟の二階だ」
あ、あたしの着替えを覗こうとしていたことを思い出した!このヘンタイ!
「その節は・・・って、もう忘れてくれないかな?ホントにゴメン」
「あたしは忘れてもいいんですよ。でもメルちゃんが忘れてくれないかも知れないんですよねー。お昼ごちそうしてくれたらメルちゃんに忘れるようにお願いしてあげてもいいんですよー?」
「わかった。今週いっぱい、お昼ご飯はオレが持つ。これで勘弁してくれ」
わーい。なんか一勝した気分。




