第0話 3
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今日は環境安全課による工場の月例安全パトロールだ。今月は第三プラント、通称3Pだ。ここではMoNStErの第二世代を製造している。
作られる製品自体は新しいが、製造建屋は五十年モノだ。正直言ってかなりボロい。
「マグロまた来やがったな」
「あんたはまたあたしをマグロ呼ばわりしやがって!」あたしはマグロ呼ばわりされるとキレる性質がある。名前で散々からかわれてきたからだ。
この男はあたしの天敵の風雲烈。高卒でここに入社したので、あたしの六年先輩で二歳年上だが、やることなすこと馬鹿なのでタメ口をきいてやっている。
こいつはこの3Pの班長に今年なりやがった。なんでこんな奴を。
こいつはなにかとあたしに突っかかってくる。あたしがパトロールに来ると嫌がらせをするのだ。マグロ呼ばわりはまだマシな方で、危険な作業をしているところを隠して、わからないようにしてしまう。
たとえば、安全ルールでは、200リッターのドラム缶を手で転がして運搬しないように決められている。ドラムを運搬するためにドラムポーターという便利で安全な道具があるのだ。しかし、この馬鹿はうまくドラムを転がすのを自慢したいのか、あたしが見ていないところではいつも転がしているようだ。
おかげでパトロールの指摘事項にできないので、改善を上長経由で指示することが出来ない。まったく苛つく!
「あんたまたドラム転がしてないでしょうね!」
「ふん。うっせーな。早くどこか行っちまえよ!だいたいお前らの言うとおりにしてたら、仕事が進まねーじゃねーかっ」
「アースちゃんと付けてるんでしょうね?」「あたりめーじゃねーか」
「防毒マスクちゃんと使ってるんでしょうね?」「あたりめーじゃねーか」
「あれ」あたしは別の作業者を指さした。
「あの新人の子、タンクの蓋開けて原料入れてるけど、防毒マスクしてないよ。局排ダクトもしてないし」
「あ」風雲は慌てて新人に注意しに行った。もう遅いわ!
「今月の指摘一件!」
「てめ、たまたまだ、見逃せよ!」
「ふふん。悔しかったら来月は気をつけることね!」
「うっせ。マグロのくせに!」




