第0話 2
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「お前、危険物免状乙四いつ取れるんだ?環境安全が危険物免状も持って無くてどうする!」
本能寺先輩があたしの頭をこぶしでぐりぐりと締め付ける。
「いだだだ!先輩痛いです、痛いですよ!神奈川県では来月まで試験が無いんですってば!」
「それなら東京行ってとってこい!あそこなら毎週やってるぞ!」
「東京遠いじゃないですかー!それにまだ心の準備が・・・」
「お前まだ勉強してないだろ!毎日あれほど言っているのになにやってんだ!」
「そんなこと言ったって、あたし理系じゃないし、あんなの頭に入ってくるわけないじゃないですかぁ。法律関係はともかく、物理とか化学なんて無理ですよぉ」
「あんなの基礎中の基礎だろ!あんなの小学生だってとれるわ!」
「いや無理だって。いくらなんでも無理ですよぉ」
「レイカは小学生で丙種とってたぞ。お前んとこのスズちゃんだったら甲種だって勉強しなくてもとれると思うぞ」
「姉妹と比較するのはやめて下さい。比較対象が極端すぎます!」
あたしと職場の先輩の本能寺さんは毎日こうして言い争いをしている。
先輩はバリバリの理系で以前は研究所にいたそうだ。この男はなにかと知識をひけらして、嫌みな態度をとってくる。面倒くさい人選手権全国大会があれば栄えある優勝も楽勝だ。
しかも先輩はあたしのレイカお姉ちゃんと知り合いで、お姉ちゃんも本能寺先輩に輪をかけた理系なので、あたしはいつも比較されてしまう。
もっと言うと、妹のスズちゃんはレイカお姉ちゃんを遙かに超えた天才児。あたしの実家の近所では、あたしは姉と妹に脳みそを全て吸い取られた残りカスと認定されている。
「スズちゃんは高校一年生なので甲種の受験資格は持っていないんですよー。そんなこともわかんないんですかー?センパイ?」
あだだ。無言で余計に頭を締め付けられた。




