第3話 20
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大型クレーンが来て、体長20m以上の白蛇雪ちゃんを吊り上げて、ゆっくりと大型トレーナーの荷台にとぐろを巻かせながら載せていく。雪ちゃん痛くないかな?大丈夫かな?雪ちゃんちょっとのお別れだよ。早く直してもらって、一緒にあそぼうね。
それにしてもクレーンってば器用なものだね。さすがにあんなに大きくて重いと載せるのも一苦労だ。でもどこに運ぶのかな?
あたしとメルちゃんと乱ちゃんが話をしていると、後ろから万歳さんの声が聞こえた。
「鉄火マキさん、お伝えする事がございます」あれ、万歳さんいつの間にスーツに着替えたの?
「実は鉄火さんには、明日の研修が終了後、一週間の検査入院をしていただくことになりました」
はい?なんで?あたしぴんぴんしてるよ?何なら今から20km走ってくるよ?
「先ほど、白蛇に飲まれたということで、会社としては鉄火さんのお体に異常がないと判断できるまでは、配属先へ出社してはいけないとの判断が降りました」
いつの間に決定したの?早すぎない?それに異常ないよ!何なら今から42.195km走ってくるよ?
「これは会社の安全規定でして、鉄火さんになにかあると大変ですから。それにMoNStErの口の中にお入りなので、なにか未知のウイルスとかがあると、周りの人へ感染する恐れもありますので」
隣でメルちゃんがうんうんと深く頷いている。メルちゃんがそう思うなら、仕方ないか。でも本当に心配なら今すぐ病院に直行するパターンじゃないのかな?
「マキちゃん、ウチからもちょっと話があるんや」乱ちゃんが真面目な顔で、あたしの肩をつついた。横には層君も一緒にいる。
「あんな、明日の研修が終わったら、おそらくウチらはもうこの会社に来られへんかも知れんのや」
「え?いきなりなんで?だってまだ入社一週間も経ってないよ?まだ工場に配属もされてないよ?あたし達会ったばかりなのに・・・」
雪ちゃんに続いて、乱ちゃんまで。あたしのショックは終わりが見えない。
「実はな、あたしらのおかんのお姉さんの旦那さんの近所のおっさんの知り合いが倒れて、あたしらそこへ手伝いに行かなあかんようになったんや」
えーと、それってただの他人じゃないっけ?その人のために入ったばっかの会社を辞めなければならないなんて。
「乱ちゃん、層君、なんて優しいの!あたし感動した!」
「あれ、マキさんこれで信じるんだ・・・」ソウ君がぽつりと言っていたが、あたしは信じるよ!
「うん。わかった。お別れするのは悲しいけど、乱ちゃん達はその人がとっても大事なんだね!まだお別れには早いけど、手紙書くね!」もう層君と一緒のところで働けないなんて!もう会えなくなるなんて!神様あたしの幸せってどこにあるの?
『マキちゃんは人を疑うことを覚えた方がいいわね』って、遠くでお姉ちゃんがぼそっと言っていた。あたし疑い深いってば!今だって検査入院いらないと思ってるもん。
「量、雪ちゃんの治療にはホントはあなたに手伝って欲しかったのだけれど、あなたはこれからちょっと忙しくなると思うから、わたし一人でやっておくわ。そのかわりといってはなんだけど、マキちゃんをよろしく頼むわね」
「レイカ?え?なんのことだ?おれは別に忙しくないぞ?なにが起こるというんだ?」
「うふふ、内緒」




