第4話 1
第四話 世界は巻かれるようにできている
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今日で長かったような短かったような研修も最終日だ。
最後に研修の感想と、自分のパートナーの「MoNStEr」の能力について、一人五分くらいの発表がある。
あたしのパートナーの雪ちゃんはあの事件のあと、お姉ちゃんと大型トレーナーに載せられてどこかへ運ばれていった。それ以来お姉ちゃんからの連絡はない。
発表は配属先毎に順番が決まっていて、あたし達三崎工場は一番最後になっていた。
みんな淡々と報告をしていく。そして三崎工場ではメルちゃんが最初で、ソウ君、乱ちゃん、月平と続き、あたしの番が来た。まだなにも考えてなかった。頭のなか真っ白だ。
「えーと、最初にここにいる皆さんに謝りたいと思います。
あたしとあたしのパートナーの雪ちゃんが皆さんにご迷惑をおかけしました。本当にごめんなさい。
あたしは、今でもこの会社に入れたことが不思議で奇跡だと思っています。学生時代のあたしは走ること以外、全然なにもしてこなかったので。
でも、縁があってこの会社に入社できて、そして三崎工場やここにいる全員と知り合いになれて、一緒に研修が出来て良かったと思います。
残念ながら、雪ちゃんはお姉ちゃん・・・特別講師の先生が治療をしてくれているので、今はここにはいません。
あたしは最初雪ちゃんに会ったときに、なんて綺麗な子って思いました。真っ白な妖精のようだと思いました。
でも、雪ちゃんは最初あたしに一言も話しかけてくれませんでした。あたしが小さい頃に毒蛇に咬まれて入院していたことをなぜか知っていて、自分が蛇だから嫌われるってあたしに気をつかって・・・・。あたしはそんなこと知らないで、雪ちゃんがあたしを嫌っているもんだと思っていました。
あたしの無神経な行動が雪ちゃんを傷つけていたと思うと、あたしは、あたしが情けなかったです。
そして雪ちゃんが敵にさらわれたときも、あたしは雪ちゃんに何もしてあげられなかった・・・、あたしは雪ちゃんを助けることが出来なかったんです。
今も雪ちゃんは苦しんでいるんだと思います。今も意識が戻っていないかも知れないんです。全部あたしのせい、あたしが悪いから、あたしの・・・・」
話しているうちに、さっきまで思ってもいなかった、あたしの心の奥の後悔が次々と押し寄せてきて、あたしは知らず知らずに大粒の涙を流していた・・・。こんな筈じゃなかったのに、研修の最後に笑顔で締めくくりたかったのに、みんなと笑顔でお別れしたかったのに。これじゃみんなに嫌な思い出ができちゃうよ、あたしのせいで。再会できたとしてもずっとこのことが心に残ってしまうよ。でも今のあたしにはどうしようもできないよ。どうすればいいんだろう。もう遅いよ。もうやり直せないよ。ごめんなさい。
あたしが、なにも言えなくなって、黙って壇上で涙を流したまま立っていると、シーンとした会場の、前の座席の方から声がかかった。
「マキちゃん、ウチはマキちゃんと会えて良かったで。マキちゃんと一緒に研修を受けられて楽しかったで。マキちゃん、自分を責めたらあかん。そんなんやったら、雪ちゃんも悲しむで。あの子はホンマにマキちゃんが大好きなんやで」
乱ちゃん、あたしをなぐさめてくれる。こんなあたしを。
「マキちゃん。わたしくもマキちゃんと一緒にいられて幸せですわよ。マキちゃんはいつも一生懸命で、雪ちゃんが心を開いたのも、マキちゃんのがんばりがあったから。マキちゃんが一生懸命に気持ちを伝えたからと思いますわ。わたくし、そんなマキちゃんが大好きですわよ」
メルちゃんも一生懸命にあたしを元気づけてくれる。
「マキさんはもっと自分に自信を持って下さい!あなたはとても優しいから、他人の痛みがわかるから自分も相手の気持ちになって苦しむこともあるけど。あなたはそれを乗り越えて、つらいことを乗り越えることができると僕は信じてます」
層君があたしを応援してくれる。層君ってやっぱりやさしいね。あたし振られたけど。
「鉄火、俺は・・・・」
月平、なんか言えよ。あたしはがっくり来た。
「ぷっ、あはは、みんなありがとね。うん。なんか、あたし馬鹿だからほめられたり、慰められたりすると、すぐにその気になっちゃうみたいなんだ。月平、あんたも馬鹿だね!ははは」
なんかどうでもよくなっちゃった。
「みんな、最後に湿っぽくなって、ごめんなさい。そして、ありがとう!」
あたしの最初で、おそらく最後の新入社員研修はこれで幕を閉じた。




